栃木県病害虫発生予察予報 第7号  
 栃木県農業環境指導センター
(平成15年10月30日発表)

                        予想期間:10月下旬〜11月下旬

 予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。

1 いちご うどんこ病
 (1)発生予想  発生量:やや多い
 (2)根  拠  ・現在の発生はやや多い。(+)
        ・今後の気象予報は発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・ハウス内が多湿にならないよう、換気やかん水に注意し、通風をよくする。
        ・薬剤による防除は予防を基本とし、モレスタン水和剤、フルピカフロアブル、サンヨールなどをていねいに散布する。
        ・発生の見られる場合はEBI剤、ポリオキシンAL水溶剤などを、葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。

2 いちご ハダニ類
 (1)発生予想  発生量:平年並 
 (2)根  拠  ・現在の発生は平年並。(±)
        ・今後の気象予報は発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・保温開始時に下葉を除去する。
        ・発生が見られる場合はコロマイト水和剤、ニッソラン水和剤、ピラニカEWなどをローテーション散布する。
        ・ハダニの寄生している部分のみの薬剤散布でもよい。
        ・第1果房収穫末期までは、ハダニの密度が1小葉当たり1頭以下になるように防除する。 
 (4)備  考  ・薬剤散布にあたっては、ミツバチの安全日数を考慮する(他の病害虫も同様)。

3 施設野菜共通 ハスモンヨトウ
 (1)発生予想  発生量:やや少ない
(2)根  拠  ・フェロモントラップへの誘殺数は少ない。(−)
        ・一部のいちごハウスには、卵塊や若齢幼虫が寄生している。(+)
 (3)対  策  ・卵塊や若齢幼虫の寄生葉を摘み取り、処分する。
        ・いちごなどの施設栽培の場合は、施設開口部に寒冷紗を張って、内部
         への侵入を防ぐ。
        ・薬剤は若齢幼虫のうちに散布する。農薬の散布にあたっては、収穫前日数、ミツバチへの安全日数等に注意する。
        ・薬剤抵抗性の発現を防止するため、連用を避けて系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
 (4)備  考  ・施設周囲にハスモンヨトウが多発生したほ場があるときは、施設への飛来が多くなる傾向があるので注意する。

4 施設野菜共通 オンシツコナジラミ
 (1)発生予想  発生量:平年並
 (2)根  拠  ・いちごほ場での発生は平年並(±)
        ・今後の気象予報が発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・ハウス内外の雑草防除を徹底する。
        ・トマトでは定植時にベストガード粒剤、アドマイヤー1粒剤などを施用する。
        ・今後作付けする野菜などでは、施設内に持ち込まないよう、定植前にていねいに薬剤で防除する。
        ・発生が見られたら、いちごではモスピラン水溶剤を、トマトではアプロード水和剤、モスピラン水溶剤、サンマイトフロアブルなどを散布する。
        ・トマトでラノーテープを使用するときは、発生初期から設置するなど基本事項を遵守する。特に12月出荷の作型では早急に設置する。

5 麦類 縞萎縮病
 (1)発生予想  発生量:やや多い
 (2)根  拠  ・平成15年産麦(3月時点)での発生はやや多かった。(+)
        ・今後の気象予報は発生にやや適している。(+)
 (3)対  策  ・早まきすると発生しやすいので、適期は種を心がける。
         ・土壌水分が多いと発生しやすいので、排水対策を行う。

6 なし 黒星病
 (1)発生予想  越冬量:少ない
 (2)根  拠  ・今年の発生は全般に少なかった。(−)
 (3)対  策  ・罹病した落葉は越冬源になるので、落葉の処分を徹底する。

その他の病害虫 
                        発生予想           注 意 点
  ○ねぎ   さび病         発生量:やや多い   発生の多いほ場ではEBI剤を散布する。
  ○きゅうり べと病・うどんこ病  発生量:やや多い    施設内が多湿にならないようにする。
  ○きく   白さび病       発生量:やや少ない       同  上

 
※麦類種子伝染性病害(斑葉病、なまぐさ黒穂病、裸黒穂病等)の防除について
  平成15年産麦(5月時点)の斑葉病の発生量は、やや多い発生でした。種子消毒に よりこれらの種子伝染性病害を防除しましょう。
 <粉衣の場合>
 トリフミン水和剤、ヘルシードT水和剤(斑葉病のみ)、ベンレートTコートなど。

 
「農薬は適正に使用しましょう!」
   下記のホームページから農薬の登録内容を検索することができます。
http://www.jppn.ne.jp/nouyaku/
 
────── 関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁10月24日発表)───────
 10月25日から11月24日
  天気は数日の周期で変わるでしょう。
        低い(少ない)確率  平年並の確率  高い(多い)確率
 ○気 温     20%       40%      40%
 ○降水量     20%       50%      30%
 ○日照時間    30%       50%      20%

 
       詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/