平成16年度病害虫発生予察注意報第2号
               栃木県農業環境指導センター 平成16年7月7日発表

作物名 :水 稲(早植栽培)
病害虫名 :いもち病(葉いもち、穂いもち)

 
発生地域 県全域
発生程度 多 い

 
根 拠
(1)
 取置き苗調査では平年より発生が多く、感染源になりやすい状況にあった。
(速報を6月15日に発表し、注意を促した。)
 7月5、6日の本田調査では、発生ほ場率は60.3%であり、発生株率も11.8%と高く、平年より多く発生している。(表−1)
(2)
 
 現在見られる病斑は下葉での停滞型が主体であるが、広域的に発生が見られ、今後の気象経過によっては、上位葉への進展や穂いもちの発生が懸念される。
(3)
 
 BLASTAM(アメダスデータを利用した葉いもちの発生予測システム)による感染好適日が6月26〜28日にかけて広域的に出現している。
(4)
 天気予報は、向こう1週間は曇りの日が多く、降水量は平年より少ないと予想されているが、夕立の多い時期であり、夜間はいもち病が発生しやすい条件になることがあると予想される。
 (表ー1) 葉いもちの発生状況                            (7月5,6日調査)
 地 区
 
平成16年 平 年 平成16年 平 年
発生ほ場率(%) 発生ほ場率(%) 発生株率(%) 発生株率(%)
 県北部
 県中部
 県南部
  66.7
  63.9
  44.4
 17.8
 30.4
  6.8
 19.4  
 10.7  
  3.8 
  3.3
  8.5
  0.4
 県全体   60.3  21.9  11.8    5.1
 ※調査ほ場数:78ほ場。下都賀、安足地区は普通植栽培を含む
 
対 策
(1) 葉いもちの防除

 本田の中に入り、よくイネを観察して発病が見られたら、早急に茎葉散布剤(参考の表を参照)による防除を行い、上位葉への進展を防ぐ。特に、箱施用剤など予防剤を散布していないほ場では、発生程度が多い傾向である。
 
(2) 穂いもちの防除  
 @

 
水和剤、粉剤等による防除
 防除適期は、穂ばらみ期(出穂7日前頃〜前日)と穂揃い期(8〜9割出穂
した時)の2回である。
 A

粒剤による防除
 薬剤によって使用基準が異なるので、各ほ場の出穂期を把握し遅れないように散布する。また、散布は湛水状態で行い、処理後4〜5日は落水やかけ流しをしない。
 なお、現在葉いもちが発生しているほ場では、粒剤散布前に茎葉散布剤で葉いもちを防除しておく。
 B  現在稲の生育は7日程度進んでいることから、出穂期が早まると予測されるので、散布時期を逃さないように注意する。
(3)
 
 薬剤は、使用基準に基づき使用する。また、薬剤耐性菌の出現を防ぐため、同一系統の薬剤の連用を避ける。













 
  (参考) いもち病に登録のある主要薬剤一覧                  
   薬 剤 名
 
 使 用 量
(10a当たり)
   使 用 基 準
  収穫前日数  使用回数
茎葉散布剤(水和剤等)
 カスラブサイドゾル
 ノンブラスフロアブル
 ブラシンフロアブル
 

1,000〜1,500 倍
    1,000 倍
    1,000 倍
 

   21日まで
   21 〃
   21 〃

*5回以内
 2 〃
 2 〃
 
茎葉散布剤(粉剤)
 カスラブサイド粉剤DL
 ノンブラス粉剤DL
 ブラシン粉剤DL
 

   3〜4 kg
   3〜4 kg
   3〜4 kg

   21日まで
   21 〃
   21 〃

*5回以内
 2 〃
 2 〃
 
水面施用剤(粒剤)
 アチーブ粒剤7
 オリゼメート粒剤
 コラトップ粒剤5
 フジワン1キロ粒剤
 

   3〜4 kg
   3〜4 kg
   3〜4 kg
   1〜1.5 kg

出穂5〜30 日前
出穂3〜4週間前
出穂5〜30 日前
出穂10〜30日前

 3回以内
 2 〃
 2 〃
 3 〃
 

















 
  *カスラブサイドゾル・粉剤DL:5回以内(但し穂ばらみ期以降は4回以内)
  (注)同一成分の使用回数には制限があるので注意する。
詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012