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        平成16年度病害虫発生予察注意報第3号
                             栃木県農業環境指導センター 平成16年7月16日発表
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 7月上旬以降、斑点米の原因となるクモヘリカメムシ・ホソハリカメムシが、中山間地域を中心に、イ
ネ科雑草地や牧草地などで多数発生しています。今後、水田への飛来が増加する恐れがありますの
で、その時期を的確に捉え防除を徹底しましょう。
 
 
   作 物 名:稲
   病害虫名:斑点米カメムシ類(クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ)
 
 
1 発生予想  発生量   多 い
            発生地域  中山間地域(上都賀、芳賀、塩谷、那須、南那須地域等)
 
 
2 根  拠
(1)7月中旬の雑草地等での20回振りすくい取り調査では、1ほ場当たりの平均すくい取り虫数が、
  クモヘリカメムシ63.3頭、ホソハリカメムシ5.4頭であった(表−1)。なお、7月中旬の平年値
  は、クモヘリカメムシ41.4頭、ホソハリカメムシ2.7頭(平成6〜15年の平均)である。
(2)雑草地等のすくい取り調査でクモヘリカメムシ・ホソハリカメムシの幼虫も確認され、次世代の発
  生が早まっていることから、越冬世代成虫に加え、次世代成虫の本田飛来が予想される。
(3)7月上旬の本田において、斑点米カメムシ類が確認された。
(4)平年より早い梅雨明けにより、増殖及び加害に適している条件が続いていることから、斑点米の
  発生が懸念される。
 
 表−1 雑草地等での20回振りすくい取り調査結果(頭)
調 査 月 日  調 査 地 点 クモヘリカメムシ ホソハリカメムシ 採取地
7月12日 矢板市 山田         47          12 雑草地
7月14日  矢板市 上太田          2           2 雑草地
喜連川町 下河戸         76          10 雑草地
小川町 薬利          1           7 牧草地
馬頭町 大山田         75           0 雑草地
南那須町 上川井         64           1 雑草地
烏山町 大木須        182           8 雑草地
今市市 小林        102           5 雑草地
鹿沼市 西沢町         10           2 牧草地
粟野町 下粕尾@         73           1 牧草地
粟野町 下粕尾A          0           1 雑草地
粟野町 下粕尾B        112           1 牧草地
粟野町 下粕尾C          0           0 牧草地
粟野町 下粕尾D          3           9 牧草地
茂木町 小山        191          15 雑草地
茂木町 河又           9          10 雑草地
茂木町 河井         129           7 牧草地
          平    均          63.3           5.4  
       平成6〜15年平均           41.4            2.7   
3 対 策
(1)畦畔・休耕田等での防除対策(水田飛来前対策)
  水田畦畔や休耕田などのイネ科雑草の穂は、斑点米カメムシ類が水田に侵入するまでの餌や
 繁殖地になるので、稲の出穂2〜3週間前及び出穂直前の2回の草刈りを行う。ただし、斑点
 米カメムシ類の飛来が見られている場合は、出穂直前の1回のみの草刈りは水田ほ場内への移
 動を促し、逆効果となるので注意する。
 
(2)本田での防除対策
  ・クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシは出穂期以降に水田へ飛来するので、その時期を的確に
   捉え、防除を徹底する。なお、斑点米の発生は主に幼虫による加害が原因となるので、
   密度を下げる
ことを目標に、下記防除時期に表−2の薬剤等で防除する。
  ・出穂の早い稲は被害が集中しやすいので、防除を徹底する。また、晩生品種は8月下旬の乳
   熟期以降に新成虫の飛び込みも懸念されるので注意する。
   [防除時期]
   ★粉剤・乳剤等で防除する場合
    @出穂期〜穂ぞろい期越冬成虫の加害・産卵時期
    A乳熟期幼虫の加害時期
    B糊熟期終齢〜新成虫の加害時期
       飛来が見られる場合は、@・Aの2回の防除が必要。
       ※多発した場合は、Bの時期の追加防除が必要。
      ※剤ごとの使用時期には、十分注意すること。
   ★粒剤で防除する場合
    出穂期〜穂ぞろい期に散布する。(湛水状態で散布し、3日間は入水やかけ流しはしない。)
 
 表−2 斑点米カメムシ類に登録のある主な薬剤一覧(本田施用剤)
  薬 剤 名(商品名) 散布量・濃度 使用基準
スミチオン粉剤3DL 3〜4s 14/*
ディプテレックス乳剤(劇) 500〜1,000倍 14/4
トレボンEW(蚕) 1,000倍 21/3
MR.ジョーカーEW(蚕) 2,000倍 14/2
ベストガード粉剤DL 4kg 14/4
スタークル粒剤・アルバリン粒剤(蚕) 3s 7/3
ダントツ粒剤(蚕) 3〜4s 14/3
  ※使用基準:収穫前日数/使用回数         *印は3回(出穂前は1回)
   (劇):劇物、(蚕):蚕に対する毒性が長期間にわたる薬剤
 
 
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