1.経過 |
県内において、平成16年度にウィン(カルプロパミド)、デラウス(ジクロシメット)等のMBI−D系統薬剤に対する耐性菌を、県北部の1か所で確認した。この耐性菌は、西日本地域で問題になっているほか、東北でも発生が確認されている。
このため平成17年度は、同一剤の連用から耐性菌の発生拡大が懸念されることから、MBI−D剤耐性菌の発生分布状況の調査を行った。
その結果、4市町で耐性菌の発生が確認されたことから、今後いもち病防除剤の使用等について留意する必要がある。
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2.MBI−D剤耐性菌の発生状況 |
(1)
(2) |
平成17年6月から8月に当センターの巡回調査ほ場からいもち病罹病葉を採集した。
これに加えて、農業振興事務所から提供された、いもち病罹病葉を検定に供試した。
検定結果は、29市町83ほ場調査中、4市町6ほ場で耐性菌が確認された。
地域別では那須地域で3市町5ほ場、南那須地域で1市町1ほ場確認された。
なお、これらの地域ではMBI−D系統箱処理剤の使用割合が高い。 |
地域別のMBI−D剤耐性菌発生状況 |
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地域名
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調査ほ場数
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調査点数
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耐性菌
発生ほ場率 |
耐性菌率
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河内地域
上都賀地域
芳賀地域
下都賀地域
塩谷地域
那須地域
南那須地域
安足地域 |
7
10
9
9
9
27
10
2 |
26
36
30
28
35
90
28
5 |
0 %
0
0
0
0
18.5
10.0
0 |
0 %
0
0
0
0
18.9
7.1
0 |
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3.今後の対策 |
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本年度の調査でMBI−D剤耐性菌が確認されたのは、4市町であるが、全国的な発生の動向や同一薬剤の連用などから、将来的に耐性菌が県内で蔓延することが懸念される。
耐性菌が蔓延すると防除効果が低下し、いもち病多発生の原因となり、大きな被害を受ける危険性があることから、耐性菌が発生している地域はもとより発生していない地域においても次のような対策をとる必要がある。 |
(1) |
同一系統の薬剤の連用は、耐性菌の発生要因となるので、作用機構の異なる抵抗性誘導剤やMBI−R剤を使用する。
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(2) |
耐性菌出現リスクを低下させるため、穂いもち防除を徹底し、いもち病の初期伝染源量を少なくする。 |
(3) |
自家採種は耐性菌拡散の原因となるので、必ず、種子更新を行う。なお、未消毒種子を購入した場合は、種子消毒を徹底する。 |
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*
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いもち剤の分類については、参考資料「主ないもち病防除薬剤の作用機構による分類」を御覧下さい。 |
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平成18年度以降も、耐性菌のモニタリング調査を行うことにしています。 |
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詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください。 |
п@028−626−3086 |
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ |