平成17年度病害虫発生予察特殊報第1号
栃木県農業環境指導センター 平成17年7月14日
りんどうの新病害『炭疽病』について
1 病原菌: Colletotrichum gloeosporioides(コレトトリカム・グロエオスポリオイデス)
Colletotrichum acutatum(コレトトリカム・アキテイタム)
2 作物名:りんどう
3 発生経過
栃木県那須町のリンドウ(エゾ系)のほ場において、数年前から夏期(特に8月下旬以降)に
激しい株枯れ症状が発生した。栃木県農業試験場で調査したところColletotrichum属菌が高
率に分離された。分離菌のりんどうへの接種により病徴が再現され、接種菌が再分離された。
分離菌はその形態や種特異的プライマーを用いたPCR検定により、上記2種の糸状菌と同定
された。
4 病徴
茎葉に褐色の斑点を生じ、病勢が進展すると激しい株枯症状を呈する。
現地での発病状況 激しい株枯れ
5 病原菌の形態及び生育適温
○Colletotrichum gloeosporioides(コレトトリカム・グロエオスポリオイデス)
分生子は無色、単胞で両端が丸い円筒形で、大きさ11.3〜19.5×5.0〜7.5(平均14.0 ×5.8)
μmであった。PCA培地上での付着器は暗褐色、不正形で、大きさ7.5〜15.0 ×5.0〜10.0(平
均11.5×7.6)μmであった。菌糸の生育は、10〜37℃で認められ、 適温 は28〜30℃であっ
た。
○Colletotrichum acutatum(コレトトリカム・アキテイタム)
分生子は無色、単胞で紡錘形〜両端が尖った長楕円形で、大きさ10.0〜17.5×3.8 〜6.5(平
均13.5×5.1)μmであった。PCA培地上での付着器は暗褐色、棍棒形で、 大きさ7.5〜12.5
×5.0〜8.8(平均9.2×6.2)μmであった。菌糸の生育は、10〜35 ℃で 認められ、適温は
25〜28℃であった。 (1μm=10−6 m)
培地上の菌叢
グロエオスポリオイデス アキテイタム
6 防除対策
(1)降雨は発病を助長するので雨よけを行う。
(2)排水対策を行う。
(3)強いかん水は発病を助長するので、点滴チューブかん水を行う。
(4)被害株、被害茎葉は見つけ次第取り除き処分する。
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