平成17年度病害虫発生予察特殊報第4号
栃木県農業環境指導センター 平成18年3月3日発表
タバココナジラミ バイオタイプQの発生について
病害虫名:タバココナジラミ バイオタイプQ (Bemisia tabaci Q-biotype)
 発生作物:トマト
 
発生確認までの経過
 本県におけるシルバーリーフコナジラミ(タバココナジラミ バイオタイプB)の発生は、平成元年に初めて確認されている。
 本年1月上旬に下都賀地方のトマトにおいて、トマト黄化葉巻病が発生(平成18年1月16日発表 平成17年度病害虫発生予察特殊報第2号)したので、発生地の媒介虫について独立行政法人九州沖縄農業研究センター病害遺伝子制御研究室に遺伝子解析を依頼した結果、各種の薬剤に対する感受性が低下したタバココナジラミ バイオタイプQと同定された。この結果、本県では未発生であったバイオタイプQの発生を初めて確認した。
 なお、平成18年3月までに九州を中心に13県で発生が確認されており、関東では茨城県、千葉県での発生が報告されている。
 
2 バイオタイプQの特徴
(1)形態             
シルバーリーフコナジラミと形態的な差異は成虫、幼虫ともに確認されておらず、形態による識別はできない。 
 
参考〉
 タバココナジラミは世界中に分布し、約40種のバイオタイプが存在する。バイオタイプは、形態的な区別は難しく、遺伝的、生物学的に異なることが報告されている。国内では、バイオタイプが不明な在来系統、シルバーリーフコナジラミ(バイオタイプB)とバイオタイプQが確認されている。 
                            
(2)生態
1996年にスペインで初めて確認された後、2005年(平成17年)2月に国内(宮崎県)で
初めて確認された。生態については不明な点が多い。
バイオタイプBとの交雑は認められていない(宮崎県病害虫防除・肥料検査センター 特殊報)。
(3)被害
  バイオタイプB(シルバーリーフコナジラミ)と同様、トマト黄化葉巻ウイルスを媒介する。また、
多発した場合、成虫の吸汁による生育阻害、成虫の排泄物によるすす病等の被害も発生する。
(4)寄主作物
  これまでにナス科(トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、パプリカ、シシトウ)、ウリ科(キュウリ、メロン)、アブラナ科(茎ブロッコリー)、ユリ科(アスパラガス)、ヒルガオ科(サツマイモ)、シソ科(シソ)、アカネ科(ブーバルディア)等に寄生することが報告されている。
(5)薬剤感受性
  ピリプロキシフェン剤や一部のネオニコチノイド系薬剤、合成ピレスロイド系薬剤に対する感受性
の低下がみられ、有効な薬剤が限られる。
 
 
 
 
3 防除対策
 バイオタイプQは、有効な薬剤が限られることから、物理的防除や耕種的防除を含めた総合防除対策の徹底が必要である。
(1)施設栽培では、開口部に防虫ネット(0.4o以下)を設置し、侵入を防ぐ。また、光反射マル
チや紫外線カットフィルム、黄色粘着板等を活用する。
(2)コナジラミ類の増殖源になるため、施設内外の雑草を除去するとともに、施設内に不要な鉢物等
を持ち込まないようにする。
(3)コナジラミ類の防除を行い、薬剤の効果が悪く、バイオタイプQの発生が疑われる場合には、有効とされる薬剤を散布する(表1を参照)。薬剤散布に当たっては、薬剤抵抗性の発達を避けるため、同一系統薬剤の連用を避ける。
(4)栽培終了後は施設の密閉(蒸し込み)処理を実施し、コナジラミ類を完全に死滅させてから作物
を片付ける。
 
 
表1 タバココナジラミ バイオタイプQに有効とされる適用農薬一覧
分類 薬剤名 成分
ネオニコチノイド系 スタークル顆粒水溶剤
アルバリン顆粒水溶剤
ジノテフラン
 
ベストガード水溶剤 ニテンピラム
ピラゾール系 サンマイトフロアブル ピリダベン
その他 粘着くん液剤 デンプン
オレート液剤 オレイン酸ナトリウム
微生物農薬
(施設栽培)
プリファード水和剤 ペキロマイセス フモソロセウス
ボタニガードES ボーベリア バシアーナ
マイコタール バーティシリウム レカニ
※農薬の使用に当たっては、ラベルを確認してから使用する。
 
 
 
島島島島 詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください。島島島島
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