平成17年度 病害虫発生予報 第9号
平成17年12月20日発表
栃木県農業環境指導センター

予想期間:12月下旬〜1月下旬
予想の根拠で(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。

1 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 ・現在の発生量はやや多い。(+)
         ・今後、ハウス内の環境は発生にやや適してくる。(±)
(3)対  策 ・薬剤による防除は予防を基本とし、ハーモメイト水溶剤、サンヨール、 フルピカフロ
         アブルなどを散布する。発生が見られたら、EBI剤などを散布する。
          ・薬剤を散布するときは、午前中のうちに、葉裏にも十分にかかるよう
      に病斑を洗い流すつもりで散布する。
         ・同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
         ・くん煙剤の使用も効果的である。
(4)備  考 ・EBI剤は耐性菌防止のため、一作2回以内の使用とする。

2 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 ・現在の発生量は少ない。(−)
         ・今後、ハウス内の環境は発生にやや適してくる。(±)
(3)対  策 ・ハウス内が多湿にならないように、換気やかん水に注意する。
         ・発生が見られる果実や葉は伝染源となるので、早急に取り除き、ほ場外で処分す
          る。
        ・発生の初期からセイビアーフロアブル20、ダイマジンなど系統の異なる薬剤をロー
         テーション散布する。

3 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 ・現在の発生量はやや多い。(+)
         ・今後の気象予報は発生にあまり適していない。(−)
(3)対  策 ・発生が見られる場合は、コロマイト水和剤、ニッソラン水和剤、ダニトロンフロアブ
         ルなどをローテーション散布する。
         ・厳冬期には、ハダニ類の移動は少ないため、発生箇所の部分散布も有
      効である。
(4)備  考 ・薬剤散布に当たっては、ミツバチに対する安全日数を考慮する(他の病害虫も同
          様)。

4 いちご アブラムシ類
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠  ・現在の発生量は平年並である。(+)
          ・今後の気象予報は発生にあまり適していない。(−)
(3)対  策  ・発生が見られる場合は、バリアード顆粒水和剤、アーデント水和剤など系統の異
          なる薬剤を葉裏に良くかかるように、ローテーション散布する。
          ・モスピランジェット等のくん煙剤の使用も効果的である。

5 いちご・トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 ・現在の発生量はやや多い。(+)
         ・今後の気象予報は発生にあまり適していない。(−)
(3)対  策 ・発生が見られる場合は、いちごではモスピラン水溶剤、チェス水和剤を、トマトでは
         モスピラン水溶剤、サンマイトフロアブルなどを散布する。
         ・ラノーテープの使用に当たっては、使用量や設置高等、基本事項を守り使用
      する。

6 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 ・現在の発生量は少ない。(−)
         ・今後、ハウス内の環境は発生にやや適してくる。(±)
(3)対  策 ・ハウス内が多湿にならないように、換気やかん水に注意する。特に雨や
          雪の日は、暖房機を空運転するなどして、施設内の空気を循環させる。
         ・発病した果実や茎葉は伝染源となるので早急に取り除き、ほ場外で処分する。
         ・薬剤による防除は予防を基本とし、ハーモメイト水溶剤、ベルクートフロアブル、フ
          ルピカフロアブルなどをローテーション散布する。

7 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 ・現在の発生量は平年並である。(±)
         ・今後の気象予報は発生に適している。(+)
(3)対  策 ・発生は低温多湿条件で多いので、ハウス内が低温にならないように管理す
      る。
         ・薬剤による防除は予防を基本とし、セイビアーフロアブル20、アミスター20フロア
          ブルなどをローテーション散布する。
         ・発生した葉は除去し、ハウス外で処分する。

その他の病害虫
○きゅうり   アザミウマ類  発生量:やや少ない 発生初期から防除する。
○き  く    白さび病     発生量:多い      施設内を多湿にしない。
         アブラムシ類   発生量:平年並    発生初期から防除する。

☆ヒメトビウンカ・ツマグロヨコバイ越冬前密度調査結果について
 11月下旬に調査したところ、ヒメトビウンカ・ツマグロヨコバイともに平年並の越冬密度でした。
(ヒメトビウンカはイネ縞葉枯病を、ツマグロヨコバイはイネ黄萎病を媒介する害虫。)( )内は平成
7〜16年の平均 単位は頭/10u

                ヒメトビウンカ                ツマグロヨコバイ
          幼虫      成虫    合計     幼虫       成虫    合計
県全体平均 20.7(27.3) 0.6(0.3) 21.3(27.6) 107.7(153.1) 3.1(8.3) 110.8(161.4)
県北部平均   37.8(19.4)  0.0(0.1)   37.8(19.5)    31.8(98.5)   0.9(4.7)    32.7(103.2)
県中部平均    7.7(20.7)  0.8(0.2)   8.4(20.9)    64.9(90.0)   4.3(8.6)     69.2(98.6)
県南部平均   24.3(51.0)  0.9(0.6)   25.2(51.6)  252.0(343.7)  3.3(11.5)   255.3(355.2)


あぜ道等枯れ草の焼却について
 実施については、地域における病害虫の発生状況を踏まえ、上記の越冬前密度調査結果を参
考にし、必要性について検討する。また、実施に当たっては、安全対策に十分配慮する。

『農薬は適正に使用しましょう!』
 農薬は農薬取締法によって使用できる農作物の種類、適用病害虫、希釈倍率、収穫前日数、総
使用回数などが定められています。ラベルをよく読んで正しく使用しましょう。
 下記の農薬検査所のホームページから農薬の登録内容を検索することができます。
http://www.acis.go.jp./searchF/vtllm000.html

関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁12月16日発表)
 天気は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
              低い(少ない)確率  平年並の確率  高い(多い)確率
      気 温      70%         20%        10%
      降水量      30%         40%        30%
      日照時間     30%          40%         30%  

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせ下さい。
TEL028-626-3086 FAX028-626-3012
http:www.jpp.ne.jp/tochigi/