植物防疫ニュース(速報 No.8)         平成18年7月27日発表

  栃木県農業環境指導センター

県内で優占しているのはタバココナジラミ バイオタイプQ

タバココナジラミの発生状況調査結果

タバココナジラミは多くの系統が報告され、国内では、在来系統、シルバーリーフコナジラミ(バイオタイプB)およびバイオタイプQが確認されている。しかし、シルバーリーフコナジラミ(バイオタイプB)とバイオタイプQは、形態上の差異が成・幼虫ともに認められていないため、肉眼での識別は不可能であった。そこで、農業振興事務所の協力を得て、本年5月および6月に県内各地の野菜及び花きほ場よりサンプルを採集し、遺伝子診断を実施したところ、県内の14市町でタバココナジラミが確認され、そのほとんどがバイオタイプQであることが明らかとなった(表1、図1)。

表1 本県で採集したタバココナジラミのバイオタイプ(平成18727日現在)

採集地域

採集地点数

供試虫数

バイオタイプQ

シルバーリーフコナジラミ

(バイオタイプB)

河 内

11

 70

 68

2

上都賀

 2

  4

     4

0

芳 賀

 1

 10

 10

0

下都賀

21

122

122

0

那 須

 4

 18

 18

0

安 足

 9

 48

 41

7

合 計

48

272

 26396.7%)

93.3%)

2 タバココナジラミの特徴

(1)寄主範囲

タバココナジラミの寄主範囲は広く、主な植物は以下のとおりであるが、野菜や花き類、雑草などの多くの植物が報告されている。

 ナス科:トマト、なす、ピーマン   ウリ科:きゅうり、メロン

 アブラナ科:茎ブロッコリー     ユリ科:アスパラガス

 ヒルガオ科:サツマイモ       シソ科:シソ

 トウダイグサ科:ポインセチア    キク科:ガーベラ

(2)被害

タバココナジラミ バイオタイプQは、シルバーリーフコナジラミ(バイオタイプB)と同様、トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)を媒介する。また、多発した場合、成虫の吸汁による生育阻害や着色異常、成虫の排泄物によるすす病の被害が発生する。

(3)薬剤感受性

タバココナジラミ バイオタイプQは、ピリプロキシフェン剤や一部のネオニコチノイド系薬剤、合成ピレスロイド系薬剤に対する感受性の低下がみられ、有効な薬剤が限られる。

 

3 防除対策

コナジラミ類の防除には、物理的防除や耕種的防除を含めた総合防除対策の徹底が必要である。また、『入れない、出さない、増やさない』封じ込め対策が重要である。

(1)施設栽培では、開口部に防虫ネット(0.4o以下)を設置し、侵入を防ぐ。また、光反射マルチや紫外線カットフィルム、黄色粘着板等を活用する。

(2)コナジラミ類の増殖源になるため、施設内外の雑草を除去するとともに、施設内に不要な鉢物等を持ち込まないようにする。

(3)薬剤散布に当たっては、抵抗性発達を回避するためローテーション散布を行う。

(4)栽培終了後は施設の密閉(蒸し込み)処理を実施し、コナジラミ類を完全に死滅させてから作物を片付ける。

島島島島 詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください。島島島島

TEL 028−626−3086

http://www.jppn.ne.jp/tochigi/