植物防疫ニュース(速報No.11)
                                                      平成18年9月28日
                                              栃木県農業環境指導センター

トマトすすかび病の発生について
 
   平成18年9月、県内のトマトの葉の一部が黄変し、その裏側が黒褐色の斑点を生じた株が発見さ
 れた。葉かび病に似た病徴であったが、耐病性品種であることから県農業試験場病理昆虫研究室で
 同定した結果、トマトすすかび病であることが確認された。
 
1 病原菌Pseudocercospora fuligena (Roldan)Deighton)
   糸状菌の1種で不完全菌類に属する。分生子は棒状で葉かび病の分生子よりはるかに長いこと
  が特徴である。
   生育適温は26〜28℃(葉かび病菌は23℃)、分生子の形成適温は18〜22℃、分生子の発芽適温は
  26℃付近である。
 
2 病 徴
    初め葉裏に不明瞭な淡黄色の病斑が現れ、やがて灰褐色粉状のかびを生ずる。病斑はしだいに
  拡大して、円形あるいは葉脈に囲まれた不整形病斑となり、灰褐色から黒褐色に変わる。葉の表面
  には裏面よりやや遅れて不明瞭な淡黄褐色の病斑を生じ、かびを生じるが裏面に比べて少ない。
  (「日本植物病害大辞典」より抜粋)
   病徴は葉かび病に酷似しており、肉眼での判別は困難であるが、すすかび病の方が少し黒
  味が強い。また、葉かび病は生育後期になってから発病することが多いが、すすかび病は生育初期
  から発病を始めることがある。
 
                   すすかび病の病斑(撮影:茨城県病害虫防除所)
            葉表の病斑                          葉裏の病斑
 
3 防除対策
 ・多湿になると発生しやすいので、密植、過繁茂、換気不十分にならないようにする。
 ・被害残渣で越年し翌年の伝染原となるので発病葉等は施設外に持ち出し、適切に処分する。

               詳しくは農業指導センターにお問い合わせください。
                   Tel(028)626-3086 Fax(028)626-3012
                      http://www.jppn.ne.jp/tochigi/