平成18年度病害虫発生予察注意報第3号
平成18年7月21日
栃木県農業環境指導センター
作物名 :水 稲
病害虫名:いもち病(穂いもち)
1 発生予想 発生量 多 い
2 発生地域 県全域
3 根 拠
(1)
7月18、19日の葉いもち調査では、発病ほ場率が67.1%で平年(42.4%)より高い(表1参照)。例年、7月の調査で発生がほとんど見られない安足地域でも、発生程度は低いものの発生が見られている。
(2)
現在見られている病斑は、下位葉を中心とした停滞型病斑であるが、一部地域で進展型病斑や上位葉への進展も見られ、穂いもちへの進展が懸念される。
(3)
BLASTAM(アメダスデータを利用した葉いもち発生予測システム)
によると、7月に入り、県中北部を中心に感染好適日が断続的に出現し、出現日数も平年に比べ多い。
(4)
天気予報では、向こう1週間は曇りや雨の降る日が多いと予想されており、今後もいもち病に感染しやすい条件が続くと見込まれる。
(5)
日照不足により稲の抵抗力が弱くなっており、また、穂肥などで稲体の窒素濃度が高まっていることから、いもち病に感染しやすい状態となっている。
表1 葉いもちの発生状況(7月18、19日調査)
地 区
平成18年
平 年
発病ほ場率(%)
発病ほ場率(%) 調査ほ場数
那 須
塩 谷
南那須
河 内
上都賀
芳 賀
下都賀
安 足
59.1 (44)
100.0 (25)
88.9 (18)
88.5 (26)
84.6 (26)
73.3 (30)
40.4 (52)
15.4 (13)
47.7
58.3
66.5
47.2
49.3
36.5
25.4
1.8
平均/計
67.1 (234)
42.4
※下都賀、安足地区は普通植栽培を含む。
4 対 策
(1)
葉いもちの防除
本田の中に入ってよく観察し、発病が見られたら、早急にブラシン剤・カスラブサイド剤等の予防及び治療効果のある薬剤による防除を行い、上位葉への進展を防ぐ。
特に、箱施用剤など予防剤を散布していないほ場では、注意が必要である。
(2)
穂いもちの防除
下記のいずれかの方法で防除を行う(表2参照)。
@
茎葉散布剤(水和剤・粉剤等)による防除
防除適期は穂ばらみ期(出穂7日前頃〜前日)と穂揃い期(8〜9割出穂した時)の2回である。
A
水面施用剤(粒剤)による防除
各ほ場の出穂期を予測し、各薬剤の出穂前の使用時期に遅れないように散布する。また、散布は湛水状態で行い、散布後4〜5日間は落水やかけ流しをしない。なお、現在葉いもちが発生しているほ場では、粒剤散布前に茎葉散布剤で葉いもちを防除しておく。
(3)
薬剤は、使用基準に基づき使用するとともに、周辺作物への飛散に十分注意する。また、薬剤耐性菌の出現を防ぐため、同一系統の薬剤の連用を避ける。
(4)
県内でMBI-D剤耐性菌の発生が確認されているため、箱処理剤でウィン剤又はデラウス剤を使用した場合、本田では異なる系統の薬剤を使用する。
表2 いもち病に登録のある主な薬剤(平成18年7月12日現在)
薬剤名
使用量又は
希釈倍数
使用時期/使用回数
茎葉散布剤
ブラシンフロアブル
カスラブサイドゾル
ノンブラスフロアブル
1,000倍
1,000〜1,500倍
1,000倍
収穫21日前まで/2回以内
収穫14日前まで/5回以内(穂ばらみ期以降は4回以内)
収穫21日前まで/2回以内
水面施用剤(粒剤)
オリゼメート粒剤
※
コラトップ粒剤5
※
フジワン1キロ粒剤
アチーブ粒剤7
イモチエース粒剤
イモチミン粒剤
3〜4kg/10a
3〜4kg/10a
1〜1.5kg/10a
3〜4kg/10a
3kg/10a
3kg/10a
出穂3〜4週間前(収穫14日前まで)/2回以内
出穂30〜5日前まで/2回以内
出穂10〜30日前(収穫45日前まで)/3回以内
出穂5〜30日前(収穫21日前まで)/3回以内
収穫35日前まで/1回
収穫45日前まで/1回
※
は他にパック剤がある。
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