平成18年度 病害虫発生予報 第2号
平成18年5月25日
                                栃木県農業環境指導センター

予想期間5月下旬〜6月下旬
予報の根拠で、(+)は多発要因、(−)は少発要因を表す。

1 水稲 いもち病(葉いもち)
(1)発生予想 発生時期:やや早い  発生量:やや多い
(2)根  拠 今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(+)
(3)対  策 取り置き苗は発生源になりやすいので早急に処分する
常発地で、箱施用を実施していないほ場等は、本田初発の1週間程度前までに粒剤を散布する(本県の平年初発時期は6月第4半旬)。
発生が見られた場合は、早急にカスラブサイド・ブラシンなど予防・治療効果のある薬剤を散布する。
(4)備  考
 
20℃前後で弱い連続降雨のあるときが感染の好適条件となるため、常発地では特に注意する。
アメダスデータを利用した感染好適日(BLASTAM)の情報を、6月から5日間隔を目安に、当センターホームページに掲載します。

2 水稲 イネミズゾウムシ    
(1)発生予想   発生時期:平年並  発生量:平年並
(2)根  拠  

 

 
5月22〜23日の本田調査では、50株当たりの成虫数は5.1頭で平年並の発生であった。(±)
今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜−)
(3)対  策   箱施用を実施していないほ場等で、移植2週間後に成虫が20株当たり10頭以上いた場合、トレボン粒剤、シクロパック粒剤などを水面施用する。

 
土手や畦畔から進入するため、畦畔から3m以内を重点的に防除する額縁散布も効果的である。

3 水稲 ニカメイガ  
(1)発生予想   発生量:やや少ない
(2)根  拠   越冬量は少なかった。(−)

5月第1〜4半旬の予察灯、フェロモントラップへの誘殺数は少ない。(−)今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜−)
(3)対  策 

 

 
早植栽培では、発蛾最盛日7〜14日後に粒剤、又は同10〜14日後に乳剤か粉剤を散布する。(普通植栽培の散布時期は移植後の日数)
昨年発病の多かったほ場では発生が多くなりやすいので注意する。
(4)備  考
 
箱施用剤の普及により県南部では発生が減少したが、近年県北中部の一部地域で発生の目立つほ場がある。
発蛾最盛日の平年月日
  大田原:5月27日、宇都宮:6月14日、小山:6月13日

4 いちご(親株) 炭疽病
(1)発生予想   発生時期:平年並  発生量:やや多い
(2)根  拠   今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜+)
(3)対  策  


 
降雨は発病を助長するので雨よけを行う。また、排水対策を徹底し、チューブ潅水などにより強い潅水は避ける。
発生を予防するため、キノンドーフロアブル、ベルクート水和剤などをていねいに散布する。
(4)備  考 微生物農薬(バイオトラスト水和剤)を使用する場合は、7〜10日間隔で定期的に散布する。

5 トマト・野菜 コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根   拠  

(3)対  策
現在の発生量はトマトでやや多い。(+)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)

 
シルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するため、「入れない、出さない、増やさない」よう防除を徹底する。
栽培終了時には野外にシルバーリーフコナジラミを飛散させないため、40℃以上で10日以上蒸し込みを行う

6 なし 黒星病
(1)発生予想   発生時期:平年並  発生量:平年並
(2)根   拠   昨年の発生は平年並〜やや少なかった。(±〜−)
現在、平年並の発生である。(±)
今後の気象予報は気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜+)
(3)対  策   罹病した葉や果実は伝染源となるので早急に除去し、園外で処分する。
アントラコール顆粒水和剤、サニパーなどを予防散布する。
発生が見られる場合は、バイコラール水和剤等のEBI剤で防除する。
降雨が続くときは薬剤の散布間隔を短くする。

7 りんご 斑点落葉病    
(1)発生予想   発生時期:平年並  発生量:平年並
(2)根   拠   現在、少ない発生である。(−)
今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜+)
(3)対  策  パルノックスフロアブル、オーソサイド水和剤80、ベルクートフロアブルなどを散布する。

8 果樹 カメムシ類    
(1)発生予想   発生時期:平年並〜やや遅い  発生量:平年並〜やや多い
(2)根   拠   成虫の越冬量はやや多かった。(+)
フェロモントラップへの誘殺数は平年並。(±)
今後の気象予報は、気温が平年並か低く、降水量は平年並か多い。(±〜−)
(3)対  策  園内での発生を認めたら、薬剤を散布する。
多目的防災網の隙間から侵入することがあるので注意する。

9 その他の病害虫  発生予想
・野菜・果樹・花き アブラムシ類 発生量:やや少ない
・野菜・花き     アザミウマ類 発生量:平年並
・果  樹       モモシンクイガ 発生量:少ない

○大豆種子伝染性病害(紫斑病)の防除について
 6月には、は種作業が始まりますが、紫斑病の発生を防ぐため、種子消毒を実施しましょう。
 主な種子消毒薬剤:キヒゲンR−2フロアブル、ゲッター水和剤、ベルクート水和剤 
耐性菌の発生が確認されたベンズイミダゾール系成分を含む薬剤(トップジンM水和剤、ベンレートT水和剤20、ホーマイ水和剤等)の使用は避けましょう。              
【平成18年1月26日発表 植物防疫ニュース(速報第5号)参照】

1ヶ月気象予報(気象庁5月19日発表)
5月20日から6月19日
天気は数日の周期で変わるでしょう。平年に比べ曇りや雨の日が多いでしょう。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 40 40 20%
○降水量 20% 40 40
○日照時間 40 40 20%

NEWS & INFORMATION
うり科野菜の果実汚斑細菌病について
 昨年、スイカ果実汚斑細菌病(Acidovorax avenae subsp. citrulli)が、長野県及び熊本県のすいかで、また、北海道及び茨城県のメロンで確認されました。本県では未発生ですが、うり科野菜における本病の発生に注意しましょう。また、疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所経営普及部又は農業環境指導センターへお知らせください。
「平成18年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。(028)683−5533

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/
NEWS & INFORMATION