平成18年度 病害虫発生予報 第4号 |
平成18年7月27日
栃木県農業環境指導センター |
|
予想期間7月下旬〜8月下旬 |
予報の根拠で、(+)は多発要因、(−)は少発要因を表す。 |
1 水稲 いもち病(穂いもち) (注意報第3号 平成18年7月21日発表) |
(1)発生予想 |
|
発生量:多い |
(2)根 拠
(3)対 策
|
・
・
・
|
7月18、19日の葉いもち調査では、発病ほ場率が67.1%で平年(42.4%)より高い。一部の地域では進展型病斑や上位葉への進展も見られ、穂いもちへの進展が懸念される。(+)
日照不足により稲の抵抗力が弱くなっており、穂肥などで稲体の窒素濃度が高まっていることから、いもち病に感染しやすい状態となっている。(+)
葉いもちの発生が見られるほ場では、ブラシン剤・カスラブサイド剤等の予防及び治療効果のある薬剤による防除を行い、上位葉への進展を防ぐ。 |
・ |
茎葉散布剤(水和剤・粉剤等)による防除を行う場合は、穂ばらみ期と穂揃い期に散布する。 |
・ |
粒剤による防除を行う場合は、各ほ場の出穂期を予測し、各薬剤の出穂前の使用時期に遅れないように散布する。また、葉いもちが発生しているほ場では、粒剤散布前に茎葉散布剤で葉いもちを防除しておく。 |
|
・ |
県内でMBI-D剤耐性菌の発生が確認されているため、箱施用剤でウィン剤又はデラウス剤を使用した場合、本田では異なる系統の薬剤を使用する。 |
|
|
2 水稲 紋枯病 |
(1)発生予想 |
|
発生量:平年並 |
(2)根 拠
|
・
・
|
現在の発生量はやや少ない。(−)
昨年の県全体発病株率は、8月29〜30日の調査で15.0%と平年よりやや多い発生であったため、ほ場で越冬した菌核はやや多い。(+) |
・ |
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並である。(±〜+) |
(3)対 策 |
・
・ |
7月末から8月初旬で発病株率が20%以上のほ場では被害が大きくなるので、穂ばらみ期から穂揃い期にモンカットフロアブル、バリダシン液剤5等を散布する。
普通植栽培で昨年発生が多かったほ場は、モンカット粒剤、リンバー粒剤等で予防する。 |
3 いちご(苗) 炭疽病 |
(1)発生予想
(2)根 拠
(3)対 策 |
・
・
・
・
・ |
発生量:平年並
7月中旬の親株での発生量は平年並(±)
病原菌は25℃から30℃の多湿条件下を好むが、今後の気象予報は気温が平年並か高く、降水量は平年並である。(±)
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、肥料袋等に詰め、空気を排出し口をしっかり閉じて、日当たりの良い野外に放置し、嫌気的発酵処理する。
強いかん水は発病を助長するので、点滴チューブかん水や底面給水方式でかん水する。
親株での発生が多かったほ場では、アントラコール顆粒水和剤、ベルクート水和剤等を散布する。 |
4 いちご(苗) うどんこ病 |
(1)発生予想 |
|
発生量:平年並 |
(2)根 拠 |
・ |
7月中旬の親株での発生量はやや多い。(+) |
・ |
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(−) |
(3)対 策
(4)備 考 |
・
・
・
・
・ |
うどんこ病は一度激しく発生すると防除が困難になるため、予防に努める。
本ぽでのうどんこ病は、菌の付着した苗の持ち込みによって発生するため、罹病苗を本ぽに持ち込まないようにする。
8月の高温期には菌の活動が抑えられ、病徴が見えにくくなるが、この時期にベルクート水和剤等で薬剤防除を行い、以後定期的に予防散布を行う。
バイオトラスト水和剤などの微生物農薬も有効である。ただし、多発時はアミスター20フロアブル等の治療効果のある薬剤を散布してから使用する。
EBI剤は耐性菌防止のため、あわせて1作2回までの使用とする。 |
|
5 いちご(苗) ハダニ類 |
(1)発生予想 |
|
発生量:多い |
(2)根 拠 |
・
・ |
7月中旬の親株での発生量は多い。(+)
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(±〜+) |
(3)対 策 |
・
・ |
発生が見られたら防除を徹底し、本ぽへの持ち込みを防ぐ。
薬剤散布に当たっては系統を替えてローテーション散布を行い、薬剤感受性の低下を防ぐように留意する。 |
6 いちご・野菜共通 コナジラミ類 |
(1)発生予想 |
|
発生量:やや多い |
(2)根 拠 |
・
・ |
現在の発生量はいちご、なすでやや多い。(+)
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(±〜+) |
(3)対 策
|
・
・ |
ほ場周辺の除草を徹底する。
発生が見られたら異なる系統の薬剤をローテーション散布する。 |
7 トマト コナジラミ類 |
(1)発生予想
(2)根 拠
(3)対 策 |
・
・
・
・
・
・ |
発生量:やや多い
現在の発生量はやや多い。(+)
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(±〜+)
ほ場周辺の除草を徹底する。
タバココナジラミバイオタイプQ及びシルバーリーフコナジラミ(タバココナジラミバイオタイプB)はトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、0.4mm以下の防虫ネットを設置し、コナジラミ類の侵入を防ぐ。反射マルチや近紫外線カットフィルムも有効である。
オンシツコナジラミの発生が見られたら、アプロード水和剤、チェス水和剤等を散布する。
タバココナジラミの発生が見られたら、サンマイトフロアブル、ベストガード水溶剤等を散布する。また、抵抗性発達を回避するため、微生物農薬や粘着くん液剤などを防除体系に組み込む。
【平成18年3月3日発表 平成17年度病害虫発生予察特殊報第4号参照】 |
8 野菜共通 アザミウマ類 |
(1)発生予想 |
|
発生量:やや多い |
(2)根 拠 |
・
・ |
現在の発生量はきゅうりで多く、なすでやや多い。(+)
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(±〜+) |
(3)対 策
|
・
・ |
発生源となるほ場周辺の雑草を除去する。
発生初期に薬剤を散布する。 |
(4)備 考 |
・ |
本県未発生のMYSV(melon yellow spot virus)によるキュウリ黄化えそ病が、近県で発生が確認されている。本病はミナミキイロアザミウマによって媒介されるので、発生に注意する。 |
9 果樹 カメムシ類 (注意報第2号 平成18年6月7日発表) |
(1)発生予想 |
|
発生量:多い |
(2)根 拠
|
・ |
フェロモントラップへの誘殺数は多い。(+) |
・ |
今後の気象予報は、気温が平年並か高く、降水量は平年並。(±〜+) |
(3)対 策
(4)備 考 |
・
・ |
多目的防災網の隙間から侵入することもあるので注意する。
フェロモントラップを利用したチャバネアオカメムシ誘殺数の情報は、当センターホームページで掲載中です。
|
|
|
10 その他の病害虫 |
発生予想 |
・水稲 斑点米カメムシ類
・水稲 ツマグロヨコバイ |
発生量:平年並
発生量:やや多い |
・なし 黒星病 |
発生量:平年並 |
・果樹 モモシンクイガ 発生量:少
○大豆の紫斑病防除について
8月中旬から9月の上旬にかけては大豆紫斑病の防除適期です。開花後に薬剤散布を行い、紫斑病の発生を防ぎましょう。
主な薬剤:アミスター20フロアブル、ベルクートフロアブル、サンリット水和剤 |
※耐性菌の発生が確認されたベンズイミダゾール系成分を含む薬剤(トップジンM水和剤、ベンレート水和剤等)の使用は避けましょう。
【平成18年1月26日発表 植物防疫ニュース(速報 No.5)参照】 |
|
1ヶ月気象予報(気象庁7月21日発表) |
|
|
7月22日から8月21日 |
天気は平年と同様に晴れの日が多いですが、予報期間はじめは曇りや雨の日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は平年並か高いでしょう。降水量は平年並でしょう。日照時間は平年並でしょう。
|
|
低い(少ない)確率 |
平年並の確率 |
高い(多い)確率 |
○気 温 |
20% |
40% |
40% |
○降水量 |
30% |
40% |
30% |
○日照時間 |
30% |
40% |
30% |
NEWS & INFORMATION |
☆ 県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動月
間」とし、農薬の適正使用等について指導・啓発を行っています。農薬は適正に使用し、確実に管理しま
しょう。 |
☆ 農薬の飛散防止対策を徹底しましょう!
食品衛生法改正により農薬の残留基準がポジティブリスト制度に移行しました。農薬の飛散によって、隣
接するほ場の農作物に基準値を超える農薬が検出された場合、流通規制を受けるおそれがあります。
農薬を散布するときは、周辺作物への飛散防止対策の他、「周辺住民への配慮」、「家畜、ミツバチ、魚介
類などの周辺環境への配慮」も重要です。 |
☆ 「平成18年度農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い
合わせください。(028)683−5533 |
詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086 Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/
|