平成19年度 病害虫発生予報 第3号
                                  平成19年6月22日
                               栃木県農業環境指導センター
予想期間6月下旬〜7月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。





 
1 水稲 いもち病(葉いもち)
(1)発生予想 発生時期:やや遅い 発生量:やや少ない
(2)根  拠

 

 
BLASTAMによる感染好適日の出現はやや少ない。現在の発生量はやや少ない。(−)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(−〜±)
(3)対  策




 

 
常発地で箱施用剤による予防を行っていない場合は、早急にオリブライト1キロ粒剤等を散布して予防する。
ほ場を良く見回り、発生が見られた場合は、早急にカスラブサイドゾルブラシンフロアブルなど治療効果のある薬剤を散布する。
耐性菌発生防止のため、本田での使用農薬は系統の異なる剤をローテーション使用する。
(4)備  考


 
窒素肥料の多施用はいもち病の発生を助長するので避ける。
20℃前後で弱い連続降雨のあるときなどが感染の好適条件となる。
アメダスデータを利用した感染好適日(BLASTAM)の情報を5日間隔を目安に、当センターホームページに掲載中














 
2 水稲 紋枯病
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:平年並
(2)根  拠
 
昨年8月後半〜9月の県全体発病株率は、平年より低く、ほ場で越冬した菌核は少ない。(−)
今後の気象予報は、気温が高い。(+)
(3)対  策
 
昨年発生が見られたほ場では今年も発生する可能性が高いので、モンカット粒剤リンバー粒剤等を出穂前の適期に散布する。






 
3 いちご(親株) 炭疽病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠
 
現在の発生量はやや少ない。(−)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(±)
(3)対  策




 
強いかん水は発病を助長するので、点滴チューブかん水や底面給水方式でかん水する。
デランフルアブル、アントラコール顆粒水和剤を散布し、発生を予防する。
被害株、被害ランナーは見つけ次第取り除き、肥料袋等に詰め、空気を排出し口をしっかり閉じて、日当たりの良い野外に放置し、嫌気的発酵処理する。
(4)備  考
 
微生物農薬バイオトラスト水和剤を使用する場合は、7〜10日間隔で定期的に散布する。











 
4 いちご(親株) うどんこ病
 
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠
 
現在の発生量は平年並。(±)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(±)




 
(3)対  策



 
ベルクート水和剤フルピカフロアブルなどを散布し発生を予防する。
発生の多いほ場ではパンチョTF顆粒水和剤等のEBI剤を散布する。(耐性菌発生防止のため、EBI剤はあわせて一作2回以内の使用とする。)
本ぽでのうどんこ病は、菌の付着した苗の持ち込みによって発生するため、罹病株を本ぽに持ち込まないよう、防除を徹底する。
5 いちご(親株) ハダニ
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(+)
(3)対  策


 
発生初期での防除が効果的であるため、葉裏を良く観察し、防除時期を逃さないようにする。発生が見られたらコテツフロアブルコロマイト水和剤等を葉裏に良くかかるように散布する。
本ぽにハダニを持ち込まないよう、親株床から防除を徹底する。



 野菜類 コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠
 
現在の発生量はトマト・なすで平年並み。(±)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(+)
(3)対  策


 

 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するため、入れない、出さない、増やさないよう防除を徹底する。

 
施設トマト栽培終了時には野外にタバココナジラミを飛散させないため、断根後40℃以上で継続した晴天日3日以上蒸し込みを行う
 野菜類 アザミウマ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠
 
現在の発生量はやや少ない〜平年並。(−〜±)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(+)
(3)対  策

 
発生源となるほ場周辺の雑草を除去する。
薬剤抵抗性の出現を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
(4)備  考

ミナミキイロアザミウマMYSVメロン黄化えそウイルスを媒介し、キュウリ黄化えそ病を発生させる。本病は栃木県では未発生であるが、近県で発生が確認されているため、ミナミキイロアミザミウマの発生には注意し、防除を徹底する。
(参照:病害虫防除のポイントNo.10 キュウリ黄化えそ病の発生に注意しましょう!)
 なし 黒星病   (植物防疫ニュース速報No.3 平成19年6月19日発表)
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量はやや多い。(+)
幸水は果実肥大後期の7月上旬から黒星病の感受性が高くなる。(+)
(3)対  策

 
発病した果そう基部、葉、果実は二次伝染源になるため、見つけ次第ほ場外に持ち出し、埋設等処分を行う。

葉に発病が多いほ場では、治療効果の期待できるスコア顆粒水和剤インダーフロアブルなどのEBI剤、ストロビードライフロアブルなどのQoI剤を6月下旬から7月中旬に追加して散布する。
(耐性菌対策のためEBI剤の使用は年2回以内とする。)
黒星病は感染後、発病までに15日程度の潜伏期間があるため、発病した葉や果実が見つからなくても、常になしの状況を観察し、防除を徹底する。
 果樹 カメムシ類
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠
 
フェロモントラップへの誘殺数はやや少ない。(−)
今後の気象予報は、気温が高く、降水量はやや少ない。(+)
(3)対  策 園内での発生を認めたら、薬剤を散布する。
(4)備  考
 
フェロモントラップを利用したチャバネアオカメムシ誘殺数の情報は、当センターホームページで掲載中。
10 その他の病害虫 発生予想
(1)大豆・野菜  ハスモンヨトウ 発生量:やや多い
(2)果 樹     モモシンクイガ 発生量:やや少ない

○畦畔の草刈りで斑点米カメムシ類の水田飛来を抑制しましょう
 水田畦畔や周辺のイネ科雑草は、斑点米カメムシ類の発生源になるとともに、水田内へ侵入するための中継点になります。畦畔の草刈りで斑点米カメムシ類の水田への侵入を抑制しましょう。
 
農薬は適正に使用しましょう!
◎農薬は、ラベルをよく読み、正しく使う。
  ◎農薬の飛散防止を徹底する。
◎農薬の使用状況を正確に記録する。   
             1ヶ月気象予報(気象庁6月15日発表)
                                6月16日から7月15日
 天気は平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。期間はじめは晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 40% 30% 30%
○日照時間 30% 30% 40%
NEWS & INFORMATION


 
県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」とし、農薬の適正使用について指導・啓発を行っています。農薬は適正に使用し、確実に管理しましょう。

 
トマト黄化葉巻病の蔓延を防止するため、栃木県として家庭菜園の栽培者に対し、@感染したトマト株の抜き取り処分Aタバココナジラミの防除B畑の片付けや除草をお願いしています。


 
キク茎えそ病(仮称)が、3月に塩谷町の施設キクで発生確認されました。国内で自然感染し、症状が確認されているのは、キクだけです。疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所経営普及部又は農業環境指導センターへお知らせください。

 
「平成19年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。(028)683−5533

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/