平成19年度 病害虫発生予報 第4号
平成19年7月26日
栃木県農業環境指導センター
予想期間7月下旬〜8月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち病    (植物防疫ニュース(速報 No.5)平成19年7月24日発表)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−)
今後の気象予報は感染に適している。(+)
7月に入ってからの日照不足により、稲の抵抗力が弱くなっている。(+)
(3)対  策 本田における葉いもちの発生状況をよく観察し、発病が見られるほ場では早急にカスラブサイドゾル、ノンブラスフロアブルなどの予防および治療効果のある薬剤を散布する。
特に、昨年いもち病の発生が多かったほ場や、箱施用剤などの予防剤を使用していないほ場では、本田での発生に注意する。
穂いもち防除を行う場合、粒剤は出穂期前に湛水状態で、茎葉散布剤は出穂始めから穂揃い期に薬剤を散布する。本年は、稲の生育が早期栽培で平均5日程度早まっているので、散布時期を逃さないようにする。
2 水稲 斑点米カメムシ類 (植物防疫ニュース(速報 No.4)平成19年7月6日発表)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 7月中旬の斑点米カメムシ類の発生量は平年並。(±)
本年は雑草地におけるカスミカメ類の発生量がやや多い。(+)
(3)対  策 出穂期と乳熟期(出穂期の7〜10日後)にほ場の畦畔際をよく観察して斑点米カメムシ類の発生が認められた場合は、トレボンEW、Mr.ジョーカーEWなどを散布する。乳熟期以降も畦畔際に斑点米カメムシ類が見られる場合には追加散布を行う。
(4)備  考 カスミカメ類は内外頴の隙間から吸汁するので、割れ籾に斑点米の被害が発生しやすい。本年は、割れ籾の発生を助長する気象が続くことから、本田でのカスミカメ類の発生に注意する。
3 大豆・野菜共通 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:平年並 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
今後の気象予報は発生に適していない。(−)〜(±)
(3)対  策 施設栽培では開口部に寒冷紗を張り侵入を防ぐ。
ほ場をよく観察し、早期発見に努め卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り土中に埋める。
齢期が進むと薬剤の効果が低下するので、発生初期に散布を行う。
4 いちご 炭疽病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 現在の発生量は少ない。(−)
今後の気象予報は感染に適している。(+)
(3)対  策 被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、肥料袋等に詰め、嫌気的発酵処理する。
強いかん水は発病を助長するので、点滴チューブかん水や底面給水方式でかん水する。
親株での発生が多かったほ場では、アントラコール顆粒水和剤、ベルクート水和剤等を散布する。
5 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
(3)対  策 本ぽでのうどんこ病は、苗に付着した菌の持ち込みによって発生するため、育苗時に防除を徹底して、菌を持ち込まないようにする。
8月の高温期には菌の活動が抑えられ、病徴が見えにくくなるが、この時期にフルピカフロアブル、ベルクート水和剤等で予防し、本ぽへのうどんこ病の持ち込みを防ぐ。
(4)備  考 EBI剤は耐性菌防止のため、親株床から本ぽの収穫終了まであわせて2回までの使用とする。
6 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報は発生に適している。(+)
(3)対  策 発生初期での薬剤散布が効果的であるため、葉裏を良く観察し、散布時期を逃さないようにする。
発生が見られたらコロマイト水和剤、マイトコーネフロアブルなどを葉裏によくかかるように散布する。系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
(4)備  考 施設害虫は早期発見が防除の基本。ハダニ類は特に小さいので注意が必要。
7 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報は発生に適している。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、0.4mm以下の防虫ネットを設置し、侵入を防ぐ。反射マルチや近紫外線カットフィルムも有効である。
施設栽培では、育苗期にベストガード粒剤、スタークル(アルバリン)粒剤を株元散布する。
8 果樹 カメムシ類
(1)発生予想 発生量:少ない 
(2)根   拠 現在の発生量は少ない。(−)
今後の気象予報は発生に適していない。(−)〜(±)
(3)対  策 園内をよく観察して、発生を認めたら薬剤を散布する。
多目的防災網の隙間から侵入することもあるので注意する。
 その他の病害虫 発生予想
・水  稲  ツマグロヨコバイ 平年並
・野菜・花き アザミウマ類 平年並
・な  し  黒星病 やや多い
・果  樹  モモシンクイガ やや少ない
農薬は適正に使用しましょう!
    ◎農薬は、ラベルをよく読み、正しく使う。
◎農薬の飛散防止を徹底する。      
◎農薬の使用状況を正確に記録する。
1ヶ月気象予報(気象庁7月20日発表)
7月21日から8月20日
 7月に入ってからの日照時間が平年を大幅に下回っており、向こう1か月も前半を中心に少ない見込み。天気は、前半は平年と比べて曇りや雨の日が多く、後半は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 40% 40% 20%
○降水量 30% 30% 40%
○日照時間 40% 30% 30%
NEWS & INFORMATION
住宅地における病害虫防除は、農薬の飛散が周辺住民や子供等に健康被害を及ぼすことがないように、@病害虫の早期発見に努めA被害部のせん定や捕殺を優先的に行いBやむを得ず農薬を使用する場合は最小限の区域の散布とし、散布の時間帯に最大限配慮してください。また、散布する場合は、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類について十分な周知に努めてください。
県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」とし、農薬の適正使用について指導・啓発を行っています。農薬は適正に使用し、確実に管理しましょう。
トマト黄化葉巻病の蔓延を防止するため、栃木県として家庭菜園の栽培者に対し、@感染したトマト株の抜き取り処分Aタバココナジラミの防除B畑の片付けや除草をお願いしています。
キク茎えそ病(仮称)が、3月に塩谷町の施設キクで発生確認されました。国内で自然感染し、症状が確認されているのは、キクだけです。疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所経営普及部又は農業環境指導センターへお知らせください。
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/