平成19年度 病害虫発生予報 第5号
平成19年8月23日
栃木県農業環境指導センター
予想期間8月下旬〜9月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち病(穂いもち)普通植栽培
              (植物防疫ニュース(速報 No.5)平成19年7月24日発表)
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の葉いもち発生状況は、県南部でやや多い。(+)
今後の気象予報は、気温は平年並から高く、発生にやや不適。(±〜−)
(3)対  策



葉いもちの発生が見られるほ場では、カスラブサイドゾル、ノンブラスフロアブルなどの予防及び治療効果のある薬剤を散布する。
茎葉散布剤による防除を行う場合は、出穂始めから穂揃い期に散布する。
穂ぞろい期後、降雨が続き湿潤状態が長時間続いた場合には、枝梗いもちが多発する恐れがあるで、穂ぞろい期後7〜10日頃にさらに1回薬剤散布を行う。
(4)備  考 穂いもちは発生してからでは手遅れになるので、予防的な防除が重要。
2 大豆 カメムシ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠
現在の発生量はやや少ない。(−)
今後の気象予報は、気温は平年並から高く、発生に適している。(+)
(3)対  策




開花期の15日後に1回目の散布を行い、10〜14日おきに3〜5回、トレボンEW、スミチオン乳剤、バイジット乳剤等の薬剤を莢によくかかるように散布する。
カメムシ類は防除しても新たにほ場に侵入してくるため、ほ場をよく観察して、カメムシ類の発生が認められた場合は薬剤散布を行う。
多発ほ場では、散布間隔を短く、回数を多くする。
(4)備  考
フタスジヒメハムシやマメシンクイガなども品質低下の原因となるので、発生実態に基づいて防除を徹底する。

農薬の使用回数は成分ごとに総使用回数が制限されています。ラベルの表示を確認して正しく使用してください。
3 野菜類・大豆 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並、ただし、県南の一部でやや多い。(±)
今後の気象予報は、気温は平年並から高く、発生に適している。(+)
(3)対  策




 





 
施設栽培の場合には、施設開口部に寒冷紗等を張り、飛び込みを防ぐ。
卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り処分する。
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が高くなるほど薬剤が効きにくくなり、また分散してしまうので、若齢幼虫のうちに散布する。
薬剤抵抗性の発現を防止するため、系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
4 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
(3)対  策 本ぽでのうどんこ病は、苗に付着した菌の持ち込みによって発生するため、育苗時に防除を徹底して、菌を持ち込まないようにする。


 
高温期には菌の活動が抑えられ病徴が見えにくくなるが、この時期にベルクート水和剤、ハーモメイト水溶剤等で薬剤防除を行い、以後定期的に予防散布を行う。
(4)備  考 EBI剤は耐性菌発生防止のため、親株床から本ぽの収穫終了まであわせて2回までの使用とする。
5 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報は、気温は平年並から高く、発生に適している。(+)
(3)対  策
育苗期に防除を徹底し本ぽに持ち込まない
発生初期での薬剤散布が効果的であるため、葉裏を良く観察し、散布時期を逃さないようにする。
発生が見られたらコテツフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏によくかかるように散布する。系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
(4)備  考 施設害虫は早期発見、早期防除が防除の基本。ハダニ類は小さいので特に注意が必要である。
6 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報は、気温は平年並から高く、発生に適している。(+)
(3)対  策
育苗期に防除を徹底し本ぽに持ち込まない
ほ場周辺の除草を徹底する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、0.4mm以下の防虫ネットを設置し、侵入を防ぐ。反射マルチや近紫外線カットフィルムも有効である。


(4)備  考


定植時にスタークル粒剤、アルバリン粒剤、ベストガード粒剤等を施用する。
スタークル粒剤とアルバリン粒剤は同じ成分(ジノテフラン)を含むので、使用回数は1回とする。
 その他の病害虫 発生予想
・水稲(普通植)ツマグロヨコバイ
・大  豆    フタスジヒメハムシ
平年並
やや多い
・野菜・花き  アザミウマ類
・な  す   ハダニ類
平年並
やや多い
・な  し   黒星病 平年並
・果  樹   カメムシ類
・果  樹   シンクイムシ類
やや少ない
やや多い

野菜類のオオタバコガについて
 県南部でフェロモントラップへの誘殺数が多くなっているので、早期発見、早期防除に努め、被害を防ぎましょう。
農薬は適正に使用しましょう!
◎農薬は、ラベルをよく読み、正しく使う。
◎農薬の飛散防止を徹底する。      
◎農薬の使用状況を正確に記録する。   
1ヶ月気象予報(気象庁8月17日発表)
8月18日から9月17日
 天気は、平年と同様に晴れの日が多いですが、一時天気のぐずつく時期があるでしょう。向こう1か月の平均気温は平年並または高い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
住宅地における病害虫防除は、農薬の飛散が周辺住民や子供等に健康被害を及ぼすことがないように、@病害虫の早期発見に努めA被害部のせん定や捕殺を優先的に行いBやむを得ず農薬を使用する場合は最小限の区域の散布とし、散布の時間帯に最大限配慮してください。また、散布する場合は、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類について十分な周知に努めてください。
キク茎えそ病(仮称)が、3月に塩谷町、その後、市貝町、芳賀町の施設キクで発生確認されました。本病はミカンキイロアザミウマによって媒介されるので、防除を徹底しましょう。疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所経営普及部又は農業環境指導センターへお知らせください。
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/