平成19年度 病害虫発生予報 第7号
平成19年10月31日
栃木県農業環境指導センター
予想期間10月下旬〜11月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生は平年並。(±)
今後、ハウス内の環境は発生に適してくる。(+)
(3)対  策
 
薬剤による防除は予防を基本とし、ハーモメイト水溶剤サンヨールフルピカフロアブルなどを散布する。
発生が見られたら、EBI剤アミスター20フロアブルなどを散布する。
発病果は重要な伝染源となるので早急に取り除き、ほ場外で処分する。
(4)備  考 多発すると防除が極めて難しいので、発生初期に薬剤散布を行う。
EBI剤は耐性菌発生防止のため、親株床から本ぽの収穫終了まで2回以内の使用とする。
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生は多い。(+)
今後の気象予報は、気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策 ほ場をよく観察し、早期発見に努める。

 
発生が見られる場合はバロックフロアブルカネマイトフロアブルなどをローテーション散布する。

 
散布むらがあると、防除効果が著しく低下するので散布むらのないように葉裏までていねいに散布する。

 
第1果房収穫末期頃まではハダニ類の移動が少ないため、発生箇所の部分散布も有効である。
3 いちご・施設野菜 ハスモンヨトウ 植物防疫ニュースNo.6 平成19年9月27日参照)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在いちごでの発生は平年並であるが、県南部の一部で発生が多く、フェロモントラップへの誘殺数はやや多い。(±〜+)
今後の気象予報は、気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策 施設開口部に寒冷紗やネットを張り、内部への侵入を防ぐ。
早期発見、早期防除に努める。
幼虫が集団でいるうちに、寄生葉を摘み取り土中に埋める。
発生が見られたら、葉裏や株元に届くようにていねいに薬剤を散布する。
いちごで発生がみられたら、カスケード乳剤プレオフロアブルなどをローテーション散布する。
(4)備  考
 
施設周囲にハスモンヨトウが多発したほ場があるときは、飛来が多くなるので必ず侵入防止策を講じる。
 トマト 灰色かび病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生は少ない。(−)
今後、ハウス内の環境は発生に適してくる。(+)
(3)対  策
 

 
ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。特に曇雨天日が続く場合は、多機能ファン、暖房機を稼働し、施設内の空気を循環させる。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので早急に取り除き、ほ場外で処分する。

防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入による防除を行う。また薬剤を散布する場合は、ロブラール500アクアフルピカフロアブルセイビアーフロアブル20などをローテーション散布する。
5 トマト コナジラミ類 (植物防疫ニュースNo.7 平成19年10月26日参照)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
今後の気象予報は、気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策
 

 
生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニール袋等で密封してから処分するか土中に埋める。

 
発生が見られる場合は、粘着くん液剤チェス顆粒水和剤サンマイトフロアブルなどを散布する。
(4)備  考 タバココナジラミバイオタイプQには、ラノーテープの効果が劣るので注意する。

 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病を媒介するので、施設ハウス内への侵入防止対策を徹底する。
 なし 黒星病
(1)発生予想   越冬量:平年並
(2)根  拠   今年の発生は平年並であった。(±)              
(3)対  策 落葉は重要な伝染源となるので処分する。
病原菌は芽や枝で越冬し、翌年の発生源となるので、収穫終了後に薬剤散布を必ず行う。
 麦類 縞萎縮病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠   今後の気象予報は、気温は高く、発生にやや適している。(+)
(3)対  策 発病の多かったほ場では、連作を避ける。
は種が早すぎると発生しやすいので、適期は種を心掛ける。前年に発生したほ場では、は種をは種適期晩限まで遅らせる。
は種適期 県北部:10月25日〜11月 3日
     県中部:10月31日〜11月10日
     県南部:11月 5日〜15日
排水対策を行う。
 その他の病害虫
発生予想
きゅうり うどんこ病 平年並
ねぎ 黒斑病 平年並
野菜類 オオタバコガ やや多い 県中南部での発生が多い
なし モモシンクイガ 平年並
きく ハダニ類 やや多い
※麦類種子伝染性病害(斑葉病、裸黒穂病等)について
 種子伝染性病害は、発病してからの防除ができません。トリフミン水和剤ベフラン液剤25(大麦斑葉病のみ)などの薬剤で種子消毒を行い、種子伝染性病害を予防しましょう。 
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布し、夕方には作物の表面が乾くようにする。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。
農薬は適正に使用しましょう!
◎農薬は、ラベルをよく読み、正しく使う。
◎農薬の飛散防止を徹底する。      
◎農薬の使用状況を正確に記録する。   
関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁10月26日発表)
10月27日から11月26日
 向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。天気は、数日の周期で変わるでしょう。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 20% 40% 40%
○日照時間 40% 40% 20%
NEWS & INFORMATION

12月19日、20日に「栃木県農薬管理指導士」養成研修が県総合教育センターにて開催されます。詳しくは農政部経営技術課環境保全型農業担当までお問い合わせください。(028)―623−2286

タバココナジラミによって媒介されるトマト黄化葉巻病の発生地域が拡大しています。野外で増殖したタバココナジラミの施設ハウス内への侵入が懸念されますので注意しましょう。特にタバココナジラミバイオタイプQは薬剤感受性が低下しており、有効な薬剤が限られるので、物理的防除や耕種的防除を含めた総合防除対策の徹底が必要です。詳細は植物防疫ニュース(速報No.7)を参照ください。

キク茎えそ病はミカンキイロアザミウマによって媒介されるので、ミカンキイロアザミウマの防除を徹底しましょう。疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所経営普及部又は農業環境指導センターへお知らせください。詳細は病害虫防除対策のポイントNo.11を参照ください。
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012
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