平成19年度 病害虫発生予報 第12号
平成20年3月19日
栃木県農業環境指導センター
予想期間3月下旬〜4月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 麦類 赤かび病
(1)発生予想 発生時期:平年並   発生量:やや多い
(2)根  拠
 
全般的に生育は並。(±)
気象予報は気温高く、降水量多く発生に適している。(+)
(3)対  策








赤かび粒が混入すると、販売できなくなるので予防を中心とした防除を行う。
二条大麦は穂揃い期7〜10日後が薬剤防除適期である。多発の恐れがある場合(不稔粒発生・登熟期連続降雨等)は、1回目散布の7〜10日後を目安に2回目の散布を行う。
六条大麦は開花期と開花10日後に2回薬剤散布する。多発の恐れがある場合は(登熟期連続降雨等)、さらに3回目の散布を行う。
小麦は開花期と開花20日後に2回薬剤散布する。多発の恐れがある場合は(登熟期連続降雨等)、さらに3回目の散布を行う。
麦種により農薬の総使用回数が異なるので使用基準を順守し、トップジンM水和剤チルト乳剤25ストロビーフロアブルなど系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
(4)備  考 防除開始時期を逃さないように麦の生育状況を常に把握することが防除の最重要ポイントである。
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
気温が上昇するため、発生に適している。(+)
(3)対  策
 

 
早期発見に努め、発生が見られる場合はマイトコーネフロアブル、バロックフロアブルなどをローテーション散布する。
3 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は平年並。(±)
今後の気象予報は発病に適している。(+)
(3)対  策
使用回数に制限のない硫黄粒剤を用いた、くん煙を活用する。

多発すると防除は極めて難しいので、防除は予防を基本とし、ハーモメイト水溶剤、サンヨール、フルピカフロアブルなど系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
発生が見られたら、EBI剤、アミスター20フロアブルなどを散布する。
(4)備  考 EBI剤は耐性菌の発生を防止するため、親株床から本ぽの収穫終了まで合わせて2回までの使用とする。
4 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多。(+)
今後の気象予報は発病にやや適している。(±〜+)
(3)対  策
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き、風通しを良くするとともに、伝染源となる発病果実などは早めにハウス外で処分し、かん水は必要最小限にとどめる。

 
発生の初期からセイビアーフロアブル20、ダイマジンなど系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
5 トマト 灰色かび病
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
今後の気象予報は発病に適している。(+)
(3)対  策



ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。
今後は暖房機の稼働時間が少なくなり、ハウス内の環境が灰色かび病の発生に適してくるので、多機能ファン、暖房機を稼働し、空気を循環させる。

 
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので早急に取り除き、ほ場外で処分する。

 
発生が見られる場合は、サンヨール、セイビアーフロアブル20などをローテーション散布し、まん延防止に努める。
 
 
 
6 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠 現在の発生はやや少ない。(−)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策




 
生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋等で密封してから処分するか土中に埋める。

 
粘着くん液剤、オレート液剤等を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。

 
タバココナジラミが発生しているほ場では、アプロードエースフロアブル、サンマイトフロアブルなどを散布する
(4)備  考
 
タバココナジラミの優占しているほ場では、ラノーテープの効果が劣り、有効な薬剤が限られるので注意する。
7 なし 黒星病
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠   昨年の発生は平年並であったが、県中南部の一部ほ場でやや多かった。(±)
  今後の気象予報は発病に適している。(+)
(3)対  策 芽基部に病斑が発生している場合は摘み取る。
予防を基本とし、開花前にビスダイセン水和剤などを、2分咲き時にEBI剤又はEBI混合剤を散布する。
8 その他の病害虫
稲    苗立枯病
きゅうり べと病
き  く ハダニ類
発生予想
平年並
やや多
やや多
水稲の種子消毒・箱施用剤について
☆種子消毒はテクリードCフロアブル、ヘルシードTフロアブルなどを使用しましょう。
水稲の本田初期害虫の防除やいもち病常発地での葉いもち防除は、箱施用剤が効果的です。
・地域によって発生する病害虫の種類が違うことから、薬剤の選定は適切に行いましょう。
・箱施用剤は年次ごとにローテーションで使用しましょう。
・本田防除剤は箱施用剤と異なる系統の薬剤を使用しましょう。  
農薬を上手に使いこなしましょう!
☆薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布し、夕方には作物
 の表面が乾くようにする。
☆同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
☆薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。
農薬は適正に使用しましょう!
◎農薬は、ラベルをよく読み、正しく使う。
◎農薬の飛散防止を徹底する。      
◎農薬の使用状況を正確に記録する。   
関東甲信地方1ヶ月気象予報(気象庁3月14日発表)
3月15日から4月14日
 向こう1か月の平均気温は高い確率60%です。天気は、数日の周期で変わるでしょう。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 30% 60%
○降水量 30% 30% 40%
○日照時間 30% 30% 40%
NEWS & INFORMATION

メロン黄化えそウイルス(Melon Yellow Spot Virus)によるキュウリ黄化えそ病の発生が埼玉県、群馬県で拡大しつつあります。本県での発生は未確認ですが、疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所又は当センターへご連絡下さい。症状、対策については、ホームページの「病害虫防除対策のポイントNo.10」を参考にして下さい。

「平成20年度農作物等病害虫雑草防除の手引き」は4月上旬に発行予定です。詳しくは
(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。
Tel 028―683−5533 Fax 028―683−5530

詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
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