平成20年度 病害虫発生予報 第3号
平成20年6月19日
栃木県農業環境指導センター
予想期間6月下旬〜7月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち病(葉いもち)
(1)発生予想 発生時期:やや遅い 発生量:少ない
(2)根  拠 現在の発生は少ない。(−)
今後の気象予報は、降水量は少なく、日照は多い。(−)
(3)対  策 箱施用剤を使用していない常発地のほ場は、初発前にオリゼメート粒剤、アチーブ粒剤7などを散布する(本県の平年初発時期は6月第5半旬頃)。
発生が見られた場合は、早急にノンブラスフロアブルなど予防・治療効果の高い薬剤を散布する。
(4)備  考 ・  アメダスデータを利用した感染好適日(BLASTAM)の情報を当センターホームページに掲載しています。
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策 苗による本ぽへの持ち込みを防ぐため、防除を徹底する。
  発生が多い場合、採苗前にマイトコーネフロアブル、ダニサラバフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。
3 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
今後の気象予報は、降水量は少なく、日照が多い。(−〜±)
(3)対  策 ・  本ぽでのうどんこ病は、苗に付着した菌の持ち込みによって発生するため、親株床及び育苗時に防除を徹底して、菌を持ち込まないようにする。
高温期には菌の活動が抑えられ病徴が見えにくくなるが、この時期にハーモメイト水溶剤、バイオトラスト水和剤(育苗期)等で薬剤防除を行い、以後定期的に予防散布を行う。
発生が見られるほ場ではEBI剤を散布する(EBI剤は、耐性菌発生防止のため、親株床から本ぽの収穫終了まで2回以内の使用とする。)。
4 いちご 炭疽病
(1)発生予想 発生量:少ない
(2)根   拠 現在の発生は少なく、今後の気象予報は、降水量が少ない。(−)
(3)対  策 ・  降雨及び強いかん水は発病を助長するので、雨よけ、点滴チューブかん水を行う。
発生を予防するため、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))、バイコラール水和剤(育苗期)等をていねいに散布する。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生は多い。(+)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策 ・  葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去するため、生育に応じて葉かきを実施する。除去した葉は、ビニ−ル袋等で密封してから処分するか土中に埋める。
・  発生が見られる場合は、アルバリン顆粒水溶剤又はスタークル顆粒水溶剤、サンヨール等を散布する。
施設外にタバココナジラミを出さないため、トマト栽培終了時に、断根して40℃以上で継続した晴天日3日以上蒸し込みを行う。
(4)備  考 蒸し込み時の過度な高温は、施設内の器具を傷めることがあるので注意する。
 野菜・花き アザミウマ類
(1)発生予想   発生量:やや多い 
(2)根  拠 青色粘着板の誘殺数は平年並。(±)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策 雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、ほ場内外の雑草防除を行う。
・  施設栽培では、紫外線カットフィルムを被覆したり、施設開口部に防虫ネットを張ることにより、アザミウマ類の侵入を防ぐ。
(4)備  考 ・  アザミウマ類はウイルス病(ニラえそ条斑病:IYSV、キク茎えそ病:CSNVなど)を伝搬するので、早めに防除することが重要である。
薬剤抵抗性の出現を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
 なし 黒星病
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠   現在の発生はやや多い。(+)
今後の気象予報は、降水量は少なく、日照は多く、発病に適していない。(±)
(3)対  策 発生の見られる葉及び果実は伝染源となるので見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。発生が多いほ場では、治療効果の高いストロビードライフロアブル、ベルクートフロアブル等を散布する。なお、降雨が続くときは薬剤の散布間隔を短くする。
(4)備  考 植物防疫ニュース(速報No.4)なし黒星病の発生に注意しましょう!」を発表しました。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 | 現 況 発生予想
 水 稲 ニカメイガ 平年並 平年並 | な し 赤星病 少ない やや少
 いちご 萎黄病 平年並 平年並 | ぶどう べと病 少ない やや少
 トマト 疫病 少ない やや少 | 果 樹 カメムシ類 やや少 平年並
 きゅうり べと病 やや多 やや多 | モモシンクイガ 平年並 平年並
うどんこ病 平年並 平年並 | き く ハダニ類 多 い 多 い
 な す コナジラミ類 やや多 多 い |
○斑点米カメムシ類対策は、除草が基本です
 水田内や水田周辺の雑草は、斑点米カメムシ類の発生源や本田内へ侵入するための中継点になりますので、除草を行うなど、カメムシ類の生息しにくい環境をつくり、斑点米の発生を防ぎましょう。
 ・ホームページの「病害虫防除対策のポイント14を参照してください。    
1か月予報(予報期間 6月14日から7月13日 6月13日 気象庁発表)
 天気は、前半は平年に比べて晴れの日が多く、後半は平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。
 向こう1か月の平均気温は平年並または低い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 40% 40% 20%
○降水量 40% 30% 30%
○日照時間 30% 30% 40%
NEWS & INFORMATION
県では6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」と定め、農薬の適正使用や農薬使用による事故防止を推進する運動を行っています。
・農薬を使用する場合は、必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
・農薬を散布する際には、周辺の人や農作物等にかからないように、十分注意しましょう。
CSNVによるトマト茎えそ病(仮称)の発生が国内で初めて群馬県で確認されました。
・茎に明瞭なえそ、葉に退緑・えそ症状等の疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所又は当センターへご連絡下さい。

 
「平成20年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012