平成20年度 病害虫発生予報 第4号
平成20年7月25日
栃木県農業環境指導センター
予想期間7月下旬〜8月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 現在の発生はやや少ない。(−)
(3)対  策 発生が少ないほ場でも、穂いもちを予防するために、散布時期(出穂前日数、収穫前日数)に注意しながら、出穂前に粒剤による防除を行うか、又は穂揃期に茎葉散布剤を散布する。
現在、発病が多いほ場では、出穂始めにアミスターエイト、ブラシンフロアブルなどの予防・治療効果の高い薬剤を散布する。
(4)備  考 7月中旬以降、BLASTAMによる感染好適日が多く出現しているので注意する。
2 水稲 斑点米カメムシ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 穂揃期に斑点米カメムシ類が水田内で見られる場合は、乳熟初期(出穂期7〜10日後)までにMR.ジョーカーEW、スタークル液剤10又はスタークルメイト液剤10等を散布する。
  防除後も斑点米カメムシ類が見られる場合は、7〜10日間隔で1〜2回の追加散布を行う。
(4)備  考 カスミカメ類の発生が多いことから、なすひかりを栽培しているほ場では特に注意する。
「植物防疫ニュース(速報No.6)斑点米カメムシ類の発生量が増えています!を発表しました。
3 大豆・野菜共通 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 施設栽培では、開口部に寒冷紗等を張り、侵入を防ぐ。
・  定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り、土中に埋める。
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
4 いちご うどんこ病
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生はやや多い。(+)
(3)対  策 ・  高温期には病徴が見えにくくなるが、病徴が見えない場合でも、この時期にバイオトラスト水和剤、ハーモメイト水溶剤等で予防する。
・  発生が見られたら、ベルクートフロアブル、サンヨール等を散布し、本ぽへのうどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。
5 いちご 炭疽病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根   拠  現在の発生は少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並と予想され、発生が助長されやすい。(+)
(3)対  策 強いかん水は、発病を助長するので避ける。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
発生を予防するため、アントラコール顆粒水和剤(仮植栽培期)、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))等を散布する。
 いちご ハダニ類
(1)発生予想   発生量:多い 
(2)根  拠 現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策 発生初期での薬剤散布が基本となるので、葉裏を注意深く観察するなどハダニ類の早期発見に努め、発生を認めたら適期を逃さず防除する。
アカリタッチ乳剤、コロマイト水和剤、サンマイトフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。
 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠  現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
施設栽培では、育苗期にベストガード粒剤、アルバリン粒剤又はスタークル粒剤を株元に施用する。
 果樹 カメムシ類
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠  現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 園内をよく観察し、発生が見られたら、スミチオン水和剤40、MR.ジョーカー水和剤等を散布する。
多目的防災網の隙間から侵入することもあるので注意する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 | 現 況 発生予想
水 稲 ニカメイガ 平年並 平年並 | な す コナジラミ類 やや多 多 い
ツマグロヨコバイ 少ない やや少 | ね ぎ べと病 やや少 やや少
いちご 萎黄病 少ない やや少 | な し 黒星病 やや多 平年並
トマト 疫病 少ない 少ない | ぶどう べと病 少ない 少ない
きゅうり べと病 やや多 平年並 | 果 樹 モモシンクイガ 平年並 平年並
うどんこ病 平年並 平年並 | き く ハダニ類 多 い 多 い
1か月予報(予報期間7月19日から8月18日 7月18日気象庁発表)
 天気は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
県では6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」と定め、農薬の適正使用や農薬使用による事故防止を推進する運動を行っています。
農薬を使用する場合は、必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
農薬を散布する際には、周辺の人や農作物等にかからないように、十分注意しましょう。
CSNVによるトマト茎えそ病(仮称)の発生が国内で初めて群馬県で確認されました。
茎に明瞭なえそ、葉に退緑・えそ症状等の疑わしい症状が見られた場合には、最寄りの農業振興事務所又は当センターへご連絡下さい。
「平成20年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012