平成20年度 病害虫発生予報 第6号
平成20年9月26日
栃木県農業環境指導センター
予想期間9月下旬〜10月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご・野菜類  ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策


 
施設栽培では、開口部に寒冷紗等を張り、侵入を防ぐ。
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り、土中に埋める。
幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
2 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠
現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適正な肥培管理を行う。

 
うどんこ病が発生しやすい時期なので、病徴が見えない場合でも、この時期にタフパール、ハーモメイト水溶剤等で予防する。
発生が見られる場合はEBI剤、ストロビーフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
育苗期に発生が見られた場合は、ほ場内に菌を持ち込んでいる可能性が高いので特に注意する。
3 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策



 
葉裏をよく観察し、発生がみられたら、早めに気門封鎖系薬剤をスポット散布して拡大を防ぐ。

 
マルチをする前の下葉かきにあわせてマイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を散布する。
スパイカルEX等の天敵農薬を使用する場合は、放飼前に徹底した防除を行う。
(4)備  考 薬剤の散布にあたっては、ミツバチに対する安全日数を考慮して使用する。
4 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
育苗期または定植時にベストガード粒剤、アルバリン粒剤又はスタークル粒剤を使用する。
(4)備  考
近紫外線カットフィルム、粒剤は、マルハナバチに影響があるので注意する。
ベストガード粒剤の使用回数は、生育期間を通して1回なので注意する。
アルバリン粒剤とスタークル粒剤は同じ成分(ジノテフラン)なので、総使用回数に注意する。
 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策
 

 
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、コロマイト水和剤、ダニサラバフロアブル等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご 炭疽病 やや少 やや少 ね ぎ 黒斑病 やや多 やや多
萎黄病 少ない やや少 野菜類 オオタバコガ やや多 やや多
コナジラミ類 平年並 平年並 果樹類 モモシンクイガ やや少 やや少
きゅうり アザミウマ類 やや多 やや多 き く 白さび病 少ない やや少
に ら 白斑葉枯病 少ない やや少
○稲縞葉枯病
・8月29日に植物防疫ニュース(速報No.7)「県南部での縞葉枯病が増えています!」を発
表しました。
・再生稲での発生は次年度の伝染源になるので、早めに秋耕を行いましょう。
 
○麦類縞萎縮病





・コムギ縞萎縮病が県内全域で発生しています。今年度被害がみられたところは次の対策を実施しましょう。
@農林61号、タマイズミは罹病しやすいため、イワイノダイチや大麦に作付転換を行う。
A土壌感染を防止するため、作業順序に気を配り、作業機の洗浄に心がける。
B排水対策を行う。
C早播きをしない。
 参考:植物防疫ニュース(速報No.2)「コムギ縞萎縮病が発生しています」
○なし黒星病
・病原菌は、芽や落葉で越冬し翌年の発生源となるので、収穫終了後は必ず薬剤散布を行い、園内外の落葉を集めて適切に処分してください。
1か月予報(予報期間9月20日から10月19日 9月19日気象庁発表)
 天気は、数日の周期で変わるでしょう。予報期間の前半は、気温の変動が大きい見込みです。
向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 40% 30% 30%
○日照時間 30% 30% 40%
NEWS & INFORMATION
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。
「平成20年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012