平成20年度 病害虫発生予報 第7号
平成20年10月24日
栃木県農業環境指導センター
予想期間10月下旬〜11月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策 発生初期に、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、アファーム乳剤、カネマイトフロアブル等を散布する。
(4)備  考 薬剤の散布にあたっては、ミツバチに対する安全日数を考慮して使用する。
ハダニ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
「植物防疫ニュース(速報No.8)いちごのハダニ類はマルチ前までに防除を徹底しましょう」を発表しました。
2 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適正な温度管理や、かん水を行う。

 
うどんこ病が発生しやすい時期なので、病徴が見えない場合でも、この時期にハーモメイト水溶剤、サンヨール等で予防する。
発生が見られる場合は、EBI剤、アミスター20フロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
ハウスサイドを降ろし、加温を開始したら、硫黄粒剤でくん煙する。
3 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。
育苗期または定植時にベストガード粒剤、アルバリン粒剤又はスタークル粒剤を使用する。
葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去するため、生育に応じて葉かきを実施する。
施設内や施設周辺に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
発生初期に、気門封鎖系薬剤、チェス顆粒水和剤等を散布する。
(4)備  考 粒剤は、マルハナバチに影響があるので注意する。
ベストガード粒剤の使用回数は、生育期間を通して1回なので注意する。
アルバリン粒剤とスタークル粒剤は同じ成分(ジノテフラン)なので、総使用回数に注意する。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:平年並 
(2)根   拠 現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にあまり適していない。(±)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので早急に取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にカリグリーン、フルピカフロアブル等を散布する。
(4)備  考 暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う場合は、薬剤等で灰色かび病菌の密度を下げてから使用する。
 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策
 
発生初期に、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、カネマイトフロアブル、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
 いちご アブラムシ類 多 い 多 い はくさい 白斑病 多 い 多 い
  コナジラミ類 多 い 多 い べと病 多 い 多 い
 トマト 葉かび病 平年並 平年並 野菜類 ハスモンヨトウ やや少 平年並
 きゅうり 褐斑病 多 い やや多 オオタバコガ やや少 平年並
コナジラミ類 やや多 多 い 果 樹 モモシンクイガ 少ない 少ない
 に ら 白斑葉枯病 やや多 やや多
秋冬期の病害虫防除対策
○イネ縞葉枯病、イネ黄萎病

 
イネ縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカ、イネ黄萎病を媒介するツマグロヨコバイは畦畔等の雑草地で越冬するため、ほ場周辺の除草を徹底しましょう。

再生稲におけるイネ縞葉枯病、イネ黄萎病の調査を行ったところ、一部の地域で多発しているほ場が見られました。再生稲での発病株は次年度の伝染源になるので、早めに秋耕を行いましょう。
○麦類種子伝染性病害(班葉病、裸黒穂病等)
トリフミン水和剤、ベンレートT水和剤20等で必ず種子消毒を行いましょう。
○麦類縞萎縮病
ほ場の排水が悪いと、発病を助長するため、必ず排水対策を行いましょう。
縞萎縮病の発生が予想されるほ場には種する場合、は種適期の晩限までは種を遅らせましょう。
 地域別のは種適期
 県北部:10月25日〜11月 3日
 県中部:10月31日〜11月10日
 県南部:11月 5日〜15日
○なし黒星病
病原菌は芽のりん片や落葉中で越冬するので、収穫終了後に必ず薬剤散布を行うとともに、園内外の落葉を適切に処分してください。
1か月予報(予報期間 10月18日から11月17日 10月17日 気象庁発表)
 向こう1か月の平均気温は高い確率60%です。週別の気温は、1週目は高い確率80%です。2週目は平年並または高い確率ともに40%です。3〜4週目は平年並または高い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 30% 60%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
11月12日〜13日に農薬使用者を対象とした「栃木県農薬管理指導士」等養成研修が開催されます。(申込締切:10月29日)詳しくは、栃木県ホームページ「栃木県農薬管理指導士・ゴルフ場農薬適正使用士養成研修の開催について」を参照して下さい。
各種トラップにおける害虫の誘殺数データは、当センターホームページに掲載しています。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012