平成20年度 病害虫発生予報 第9号
平成20年12月19日
栃木県農業環境指導センター
予想期間12月下旬〜1月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠
 
現在の発生量は少ない。(−)
今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策
 
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病果実等は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生の初期にセイビアーフロアブル20、サンヨール等を散布する。
降雨が続いて湿度が高い場合は、スミレックスくん煙顆粒等の使用も効果的である。
(4)備  考 灰色かび病は、収穫直前の果実に発病しやすい。
2 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。
発生初期にストロビーフロアブル、サンヨール等を葉裏にもよくかかるように散布する。
3 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 発生が見られた場合、下葉かきを行い発生密度を下げ、サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、ピラニカEW、カネマイトフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 サンクリスタル乳剤は、日中の高温時には散布を避ける。
春先の多発を防ぐため、厳寒期に防除を徹底することが重要である。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は平年並。(±)
今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う。また発生初期に、フルピカフロアブル、サンヨール等を散布する。
5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニール袋等で密封し枯死させてから処理する。
施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。
タバココナジラミの発生が見られる場合は、ベストガード水溶剤、サンマイトフロアブル等を散布する。
6 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:平年並 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや不適である。(−〜±)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期に、ストロビーフロアブル、ポリオキシンAL水溶剤等を散布する。
7 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 発生が見られた場合、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤[適用害虫:ナミハダニ]、カネマイトフロアブル等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 やや少 やや少 きゅうり アザミウマ類 平年並 平年並
コナジラミ類 やや多 やや多 コナジラミ類 平年並 平年並
トマト 葉かび病 やや多 平年並 にら 乾腐病  少  少
きゅうり べと病 やや少 やや少 きく 白さび病  少  少
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。 
イネ縞葉枯病に注意しましょう!
 12月上旬の越冬前密度調査では、イネ縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカ幼虫は、やや多い結果でした。また、イネ縞葉枯病ウイルスの保毒虫率が県南部の一部で高くなっています(12月17日に植物防疫ニュース(速報No.9)を発表しました)。
 県南部を中心に発生の拡大が懸念されますので、来年の作付に向けた防除対策を実施しましょう。
1か月気象予報(予報期間12月13日から1月12日 12月12日気象庁発表)
 向こう1か月の平均気温は平年並または高い確率ともに40%です。週別の気温は、1週目は高い確率50%です。2週目は平年並または高い確率ともに40%です。

低い(少ない)確率

平年並の確率

高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
キュウリ退緑黄化病(仮称)、キュウリ黄化えそ病が、11月に県内の施設きゅうりで初めて確認されました。
詳細は、当センターのホームページ内にある「特殊報第2号 キュウリ退緑黄化病(仮称)」「特殊報第3号 キュウリ黄化えそ病」を参照してください。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012