平成20年度 病害虫発生予報 第10号
平成21年1月23日
栃木県農業環境指導センター
予想期間1月下旬〜2月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の降水量は平年並〜多く、日照は少ない〜平年並であり、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策
 
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病果実等は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生の初期にダイマジン、フルピカフロアブル等を散布する。
降雨が続いて湿度が高い場合は、スミレックスくん煙顆粒等の使用も効果的である。
(4)備  考 灰色かび病は、収穫直前の果実に発病しやすい。
2 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策


 
軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。

 
発生初期にアミスター20フロアブル、サンヨール等を葉裏にもよくかかるように散布する。
3 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 前月に引き続き発生量は多く、発生ほ場率、発生株率とも平年の約2倍と高い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に好適な条件が見込まれる。(+)
(3)対  策


 
気温の上昇に伴いハダニ類が多発生すると防除が困難となるため、この時期に防除を徹底する。
発生が見られた場合、下葉かきを行い発生密度を下げ、サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 サンクリスタル乳剤は、日中の高温時には散布を避ける。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の降水量は平年並〜多く、日照は少ない〜平年並であり、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。
植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う。また発生初期に、ゲッター水和剤、ハーモメイト水溶剤等を散布する。
5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並 
(2)根   拠 現在の発生量はやや少ない。(−〜±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策




生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニール袋等で密封し枯死させてから処理する。
施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。
タバココナジラミの発生が見られる場合は、アルバリン顆粒水溶剤、スタークル顆粒水溶剤、サンマイトフロアブル等を散布する。
(4)備  考 アルバリン顆粒水溶剤、スタークル顆粒水溶剤は同じ成分(ジノテフラン)なので、総使用回数に注意する。
6 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の降水量は平年並〜多く、日照は少ない〜平年並であり、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期に、ストロビーフロアブル、セイビアーフロアブル等を散布する。
7 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が見込まれる。(+)
(3)対  策
 

 
発生が見られた場合、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]、コテツフロアブル等を散布する。
(4)備  考 マイトコーネフロアブルの使用時期は[開花前まで]なので注意する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 平年並 平年並 きゅうり アザミウマ類 平年並 平年並
コナジラミ類 平年並 やや多 コナジラミ類  少 やや少
トマト 葉かび病 やや多 やや多 にら 乾腐病  少  少
きゅうり べと病
うどんこ病
 少
平年並
やや少
やや多
きく 白さび病
アザミウマ類
 少
 少
 少
 少
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。 
1か月気象予報(予報期間1月17日から2月16日 1月16日気象庁発表)
 向こう1か月の平均気温は高い確率60%です。降水量は平年並または多い確率ともに40%です。日照時間は平年並または少ない確率ともに40%です。週別の気温は、1週目は高い確率80%です。2週目は平年並の確率50%です。3〜4週目は平年並または高い確率ともに40%です。

低い(少ない)確率

平年並の確率

高い(多い)確率
○気 温 10% 30% 60%
○降水量 20% 40% 40%
○日照時間 40% 40% 20%
NEWS & INFORMATION



 
キュウリ退緑黄化病(仮称)、キュウリ黄化えそ病が、11月に県内の施設きゅうりで初めて確認されました。
詳細は、当センターのホームページ内にある「特殊報第2号 キュウリ退緑黄化病(仮称)」「特殊報第3号 キュウリ黄化えそ病」を参照してください。
病害虫発生現況の情報とマップを当センターホームページに掲載しています。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012