平成20年度 病害虫発生予報 第11号
平成21年2月20日
栃木県農業環境指導センター
予想期間2月下旬〜3月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−〜±)
向こう1か月は降水量が多く、平均気温は高い見込みで発病に適している。(+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。
発生初期にEBI剤、ハーモメイト水溶剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 EBI剤は、耐性菌発生防止のため、親株床から本ぽの収穫終了まで2回以内の使用とする。
2 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月は降水量が多く、平均気温は高い見込みで発病に適している。(+)
(3)対  策 ハウス内の多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病部位は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にジャストミート顆粒水和剤、ハーモメイト水溶剤等を散布する。
3 いちご、きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 前月に引き続き発生量は多く、発生ほ場率、発生株率とも平年の約2倍と高い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、引き続き発生が予想される。(+)
(3)対  策 発生密度が高くなると防除が困難となるので、発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布してハダニ類を低密度に抑える。
いちごでは、下葉かき作業後に、ダニサラバフロアブル、アファーム乳剤等を葉裏によくかかるように散布する。
きくでは、カネマイトフロアブル、テデオン乳剤等を葉裏によくかかるように散布する。
4 いちご、トマト、きゅうり コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量はいちご、きゅうりで平年並、トマトでやや多い。(±〜+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニール袋等で密封し枯死させてから処理する。
施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
気門封鎖系薬剤を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。
いちごで発生が見られた場合は、バリアード顆粒水和剤、モスピラン水溶剤等を散布する。
トマト、きゅうりで発生が見られた場合は、アプロードエースフロアブル、モレスタン水和剤[適用害虫:オンシツコナジラミ]等を散布する。
(4)備  考 モレスタン水和剤は、日中の高温時には所定範囲内の低濃度で使用する。
5 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(±〜+)
向こう1か月は降水量が多く、平均気温は高い見込みで発病に適している。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。
植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う。また発生初期に、カンタスドライフロアブル、ジャストミート顆粒水和剤等を散布する。
6 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量はやや多い。(±〜+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 発生が見られた場合、スピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ]を葉裏にもよくかかるように散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 | 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 平年並 やや多 | にら 白斑葉枯病  多  多
トマト 葉かび病 平年並 やや多 | アザミウマ類 平年並 やや多
うどんこ病 平年並 やや多 | きく アザミウマ類  少 やや少
きゅうり うどんこ病  多  多 |
褐斑病  多  多 |
早春の病害虫防除対策
○いちご親株 ハダニ類
雨よけ施設はハダニ類の発生が多くなるので、定植する親株はハダニ類がついていない株を選び、施設にハダニ類を持ち込まないようにしましょう。また、ハダニ類の発生初期に殺ダニ剤を散布して防除しましょう。
農薬を上手に使いこなしましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択する。
同一系統薬剤の連続使用を避け、異なる系統の薬剤によるローテーション散布を行う。
薬剤散布は、葉かき作業後に行う等、病害虫の発生部位に薬剤が十分かかるようする。
1か月予報(予報期間 2月14日から3月13日 2月13日 気象庁発表)
 向こう1か月の平均気温は高い確率70%です。日照時間は平年並または少ない確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 20% 70%
○降水量 30% 30% 40%
○日照時間 40% 40% 20%
NEWS & INFORMATION
キュウリ退緑黄化病(仮称)、キュウリ黄化えそ病が、11月に県内の施設きゅうりで初めて確認されました。
詳細は、当センターのホームページ内にある「特殊報第2号 キュウリ退緑黄化病(仮称)」「特殊報第3号 キュウリ黄化えそ病」を参照してください。
「平成21年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」は4月上旬に発行されます。お求めの方は、社団法人 栃木県植物防疫協会(028−683−5533)までご連絡下さい。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012