平成20年度 病害虫発生予報 第12号
平成21年3月19日
栃木県農業環境指導センター
予想期間3月下旬〜4月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
夜温が高くなって暖房機の稼働時間が減少し、ハウス内が多湿となりやすい。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう換気やかん水に注意する。
植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機の送風により、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にセイビアーフロアブル20、トータレックス顆粒水和剤等を散布する。
2 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並から高い見込みで発病に適している。(±〜+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。
発生初期にアミスター20フロアブル、フルピカフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
3 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
日中に換気が十分行われるようになるため、発病にやや不適となる。(−)
(3)対  策 ハウス内の多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病部位は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にセイビアーフロアブル20、カンタスドライフロアブル等を散布する。
4 いちご、きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 発生ほ場率がいちごでは平年の約2倍、きくでは平年の約8倍と高い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並から高い見込みで、引き続き発生が予想される。(±〜+)
(3)対  策 発生密度が高くなると防除が困難となるので、発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布してハダニ類を低密度に抑える。
いちごでは、下葉かき作業後に、スターマイトフロアブル、マイトコーネフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。
きくでは、コロマイト水和剤[適用害虫:ナミハダニ]、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]等を葉裏によくかかるように散布する。
5 なし 黒星病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 昨年の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の降水量は少ないから平年並の見込みで、発生にやや不適である。(−〜±)
(3)対  策 芽基部に病斑がある場合は摘み取る。
発芽期〜開花前(4月上・中旬)にアントラコール顆粒水和剤又はビスダイセン水和剤を散布する。
2分咲き時(4月中旬)に1回、落花直後(4月下旬)に1回、EBI剤を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類  少 やや少 きゅうり コナジラミ類 やや多  多
トマト 葉かび病  多  多 にら 白斑葉枯病  多 やや多
うどんこ病  少  少  アザミウマ類  少 やや少
コナジラミ類 やや多  多 きく 白さび病  多  多
きゅうり うどんこ病 やや少 やや少 アザミウマ類  少 やや少
褐斑病  多  多 大麦 縞萎縮病  少  少
早春の病害虫防除対策
○水稲 病害虫防除
温湯処理による種子消毒は、適正な温度(60℃)と処理時間(10分)をきちんと守らないと効果が不足したり、種子の発芽障害を生じる恐れがありますので、処理量を守り、浸漬後上下に攪拌するとともに、処理後は流水で速やかに冷やしましょう。
○麦類 赤かび病
麦の生育状況をよく観察し、適期に防除を必ず行いましょう。特に、六条大麦や追肥をした小麦(タマイズミ等)は2回防除を徹底しましょう。
(防除適期)
二条大麦:穂揃い期7〜10日後
六条大麦:開花始め(おおむね出穂4日後)と開花10日後の2回
小  麦:開花始め(おおむね出穂7日後)と開花20日後の2回
農薬を上手に使いこなしましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択する。
同一系統薬剤の連続使用を避け、異なる系統の薬剤によるローテーション散布を行う。
農薬を散布する場合には、周辺住民に周知を図り、散布の時間帯に十分注意する。
1か月予報(予報期間 3月14日から4月13日 3月13日気象庁発表)
 向こう1か月の平均気温は平年並または高い確率40%です。降水量は平年並または少ない確率ともに40%です。日照時間は平年並または多い確率ともに40%です。週別の気温は、1週目は高い確率70%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 40% 40% 20%
○日照時間 20% 40% 40%
NEWS & INFORMATION
「平成21年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」は4月上旬に発行されます。お求めの方は、社団法人 栃木県植物防疫協会(028−683−5533)にお問い合わせ願います。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012