植物防疫ニュース(速報 No.1)
     平成21年4月3日
 栃木県農業環境指導センター

麦類赤かび病の防除を徹底しましょう
 麦類の赤かび病を発生させる病原菌のなかには、人や家畜に中毒症状を引き起こすかび毒(デオキシニバレノール:DON等)を産生するものがあり、農産物検査規格では、食用麦の赤かび粒の混入限度は全麦種で0.0%以下となっています。
 赤かび病の発生した麦は商品価値がなくなるので、麦類赤かび病の防除を必ず実施しましょう。
 今年産の麦類の生育は暖冬により早まっていましたが、3月下旬〜4月第1週目の低温により平年並に近づき、一部の地域では不稔粒の発生が懸念されるので注意が必要です。
 気象庁の季節予報によると4月2〜4週目の気温は平年並の確率が30%、高い確率が40%と予想されています。麦の生育ステージに合わせて的確に防除を行いましょう。

防除対策の決め手は予防的防除

 ・麦の生育状況を良く観察し、適期を逃さない防除が重要
  
 ・六条大麦や追肥をした小麦(タマイズミ等)は、2回防除が基本
防除適期
 麦 種
    基本となる防除     多発のおそれがある場合

(不稔粒発生や登熟期に曇りや降雨が多い場合)
二条大麦 穂揃い期7〜10日後 1回目の7〜10日後に2回目散布
六条大麦 開花始めと開花10日後の2回散布 3回目散布
 小 麦 開花始めと開花20日後の2回散布 3回目散布

平年並〜気温が1℃高く推移した場合の出穂予測  農業試験場(宇都宮市)4月2日現在
ミカモゴールデン(二条大麦): 平年より1〜3日早い

シュンライ(六条大麦): 平年より1〜4日早い(出穂から開花始めまでの日数:5〜7日)
                                         
農林61号(小麦) : 平年より2〜5日早い(出穂から開花始めまでの日数:5〜8日)


表 麦類赤かび病に登録のある主な薬剤(平成21年4月2日現在)
薬剤名 作物名 希釈倍数 使用時期(収穫前日数)/使用回数

トップジンM水和剤
 
麦類(小麦を除く) 1,000〜1,500倍 30日前まで/3回以内(出穂期以降は1回以内)
小麦 1,000〜1,500倍 14日前まで/3回以内(出穂期以降は2回以内)
シルバキュアフロアブル 小麦     2,000倍 7日前まで/2回以内

チルト乳剤25
 
大麦 1,000〜2,000倍 21日前まで/1回以内
小麦 1,000〜2,000倍 3日前まで/3回以内
ストロビーフロアブル 麦類(小麦を除く) 2,000〜3,000倍
14日前まで/3回以内
小麦
<無人ヘリコプターによる散布の登録がある薬剤>
薬剤名 作物名 希釈倍数 使用時期(収穫前日数)/使用回数

チルト乳剤25
 
大麦       8倍 21日前まで/1回以内
小麦       8倍 7日前まで/3回以内

トップジンMゾル
麦類(小麦を除く)       8倍 21日前まで/3回以内(出穂期以降は1回以内)
小麦       8倍 14日前まで/3回以内(出穂期以降は2回以内)
同系統薬剤の連用を避け、収穫前日数に留意して使用薬剤を選定する。
詳しくは、農業環境指導センターhttp://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。п@028−626−3086