植物防疫ニュース(速報 No.4) 平成21年7月3日
栃木県農業環境指導センター
斑点米カメムシ類の発生は昨年より早まっています!
 6月29日〜7月2日にイネ科雑草地ですくい取りを行った結果を平年と比較すると、斑点米カメムシ類の発生地点率は平年並〜やや高い、頭数はやや少ない〜多い状況でした。また、カスミカメ類が平年より広く発生しています。一方、昨年(6月30日〜7月2日調査)と比較すると、どの種においても発生地点率、頭数ともに上回り(表1)、発生が早い状況です。
 7〜9月の気温は平年並〜高いと予報されていることから、今後、斑点米カメムシ類の発生量が多くなることが予想されます。
 近年、斑点米カメムシ類の被害が増加傾向にあることから、水田周辺等の雑草管理を徹底するとともに、発生状況に応じて適切な薬剤防除を行いましょう。
 
 表1 イネ科雑草地の斑点米カメムシ類成虫の発生状況

 
発生地点率(%) 頭数(頭)
本 年 平 年 昨 年 本 年 平 年 昨 年
クモヘリカメムシ 50.0 55.4 2.9 10.2 45.7 0.0
ホソハリカメムシ 66.7 65.6 20.6 2.2 2.8 0.4
アカヒゲホソミドリカスミカメ 91.7 76.5 73.5 11.1 27.9 5.9
アカスジカスミカメ 75.0 45.7 61.8 22.5 6.3 6.2
 ※本年は24地点で20回振りすくい取り調査を実施
 ※平年値は平成11年〜20年の平均値(うち11年〜17年は7月中旬調査実施)
防除対策
○出穂期10日前までの対策

水田内にイネ科雑草(ヒエ等)の子実やホタルイの小穂が見られると、斑点米カメムシ類を水田へ誘引するため、できるだけ除草に努めましょう。
水田周辺の斑点米カメムシ類の生息密度を下げるため、地域全体で畦畔及び水田周辺の雑草地の草刈りを行いましょう。
なお、出穂期直前の除草は、斑点米カメムシ類を水田へ追い込み、被害を増大させる恐れがあることから、出穂期10日前までに草刈りを済ませましょう。
○出穂期以降の対策
穂揃期に斑点米カメムシ類が水田内で見られる場合は、乳熟初期(出穂期7〜10日後)までに防除しましょう。
・望ましい散布時期は、液剤は乳熟初期、粒剤は出穂期〜7日後までとなります。
その後もカメムシ類が見られる場合は、7〜10日間隔で1〜2回の追加散布を行いましょう。
 
 表2 水稲のカメムシ類に登録のある主な薬剤(平成21年7月3日現在
薬 剤 名 希釈倍数又は使用量 使用時期/使用回数
 スタークル液剤10(蚕)
  (スタークルメイト液剤10(蚕))
1000倍 収穫 7日前まで/3回以内
 スタークル粒剤(蚕)
 (アルバリン粒剤(蚕))
3s/10a
 
収穫 7日前まで/3回以内
 MR.ジョーカーEW(蚕) 2000倍 収穫14日前まで/2回以内
 トレボンEW(蚕) 1000倍 収穫21日前まで/3回以内
 スミチオン乳剤 1000倍 収穫21日前まで/3回以内
 ※(蚕)は蚕に対する毒性が長期間にわたる薬剤
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012