植物防疫ニュース(速報 No.10)      平成21年12月4日
  栃木県農業環境指導センター
来年のイネ縞葉枯病の発生拡大が懸念されます!
  11月中に調査したウンカ類幼虫の生息密度は全県平均で平年比4.2倍(3.3uあたり本年31.2頭、平年7.5頭)と高く、気象庁の3か月予報でも暖冬が予想され、今冬のウンカ類の越冬量は多くなることが予想されます。
 同時にヒメトビウンカ幼虫のイネ縞葉枯病ウイルスの保毒虫率検定を実施した結果、小山市の2地点の保毒虫率が要防除水準の目安である10%を超え、また、県中部の一部では昨年度に比較してやや高くなりました(表・図1)。
 本年の本ぽと再生稲における調査では、発生株率が西方町や鹿沼市で昨年よりも高くなり発生拡大が確認されました(HPの病害虫発生予察データ参照)。
 以上から来年のイネ縞葉枯病の発生拡大が懸念されるため、対策が必要です。

表・図1 ヒメトビウンカ幼虫のイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫率検定結果
  調査地点 検定  保毒虫率(%)
虫数  H21  H20
大田原市戸野内 100  0.0  0.0
那須烏山市滝田  73  0.0  0.0
矢板市矢板  35  0.0  0.0
さくら市蒲須坂  61  0.0  0.0
高根沢町花岡  38  2.6   -
芳賀町祖母井  24  0.0  0.0
真岡市粕田  18  5.6   -
真岡市青田  25  0.0   -
宇都宮市瓦谷町  90  2.2  0.0
鹿沼市酒野谷 100  4.0  1.4
小山市小薬  25  4.0  7.2
小山市下国府塚 100  14.0  18.0
小山市石の上 100  11.0  2.5
壬生町助谷 100  2.0  3.0
栃木市惣社町 100  0.0  8.7
藤岡町冨吉 100  8.0  3.3
佐野市堀米町 100  1.0  0.0
足利市上渋垂町 100  1.0  0.0
*調査方法:11月中〜下旬に水田および辺畦畔より幼虫を採取し、エライザ法により検定した。
*‐:検定頭数が10頭未満
*イネ縞葉枯病の要防除水準:越冬世代幼虫の保毒虫率が10%以下の地域では、防除の必要はない。

防除対策
○ ヒメトビウンカは畦畔等の雑草地で越冬するため、ほ場周辺の除草等により越冬場 所をなくす。秋耕していないほ場は速やかに行う。
○ 縞葉枯病抵抗性品種「あさひの夢」の作付割合を増やす。
○ ダントツ箱粒剤、アドマイヤー箱粒剤またはこれらの成分を含む混合箱施用剤を使 用する(表2)。

表2 ウンカ類に登録のある主な箱施用剤  (平成21年12月4日現在)
農 薬 名   使 用 量    使用時期/使用回数
ダントツ箱粒剤
アドマイヤー箱粒剤
育苗箱1箱あたり50g
育苗箱1箱あたり50~80g
移植3日前〜移植当日 /1回
移植2日前〜移植当日 /1回
 *育苗箱(30×60×3cm、使用土壌約5L)
 
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012