植物防疫ニュース(速報 No.11)      平成22年2月4日
  栃木県農業環境指導センター
ダイズ紫斑病菌の薬剤耐性検定結果について
 21年産の大豆は紫斑粒の発生が多くなりました。そこで、ダイズ紫斑病の薬剤耐性検定を行った結果、イミノクタジン剤 (ベルクートフロアブル)、アゾキシストロビン剤(アミスター20フロアブル)、イミベンコナゾール剤(マネージDF)では耐性菌が確認されず、大豆紫斑病の多発はこれらの薬剤に対する耐性菌が原因ではないと考えられました。チオファネートメチル剤(トップジンM水和剤)は17年産の調査結果と比較し耐性菌株率が減少しましたが、引き続き使用を控える必要があります。

1 検定方法
 平成21年12月に県内55ほ場から収集した罹病子実から紫斑病菌株を分離し、
400菌株を簡易検定に供試した。登録上の最低濃度を添加したPDA培地上で、生育の見られる菌株を耐性菌と判定した(表1)。

2 結果
 1)イミノクタジン剤(ベルクートフロアブル)、アゾキシストロビン剤(アミスター20フロアブル)、イミベンコナゾール剤(マネージDF)では耐性菌は確認されな  かった(表2)。
 2)チオファネートメチル剤(トップジンM水和剤)は耐性菌株率が21.8%となった(表2)。

表1 検定薬剤および濃度
    薬剤名    商品名 検定濃度(ppm) 希釈倍率(倍)
  チオファネートメチル剤
  イミノクタジン剤
  アゾキシストロビン剤
  イミベンコナゾール剤
 トップジンM水和剤
 ベルクートフロアブル
 アミスター20フロアブル
 マネージDF
  700
  300
  66.7
  100
1000
 1000
 3000
3000
*アゾキシストロビン剤はAOX阻害剤として検定培地に没食子酸n-プロピルを4mM添加した。
 
表2 各種薬剤に対するダイズ紫斑病菌の耐性菌株率
 地 域
ほ場数


 
供試菌


株数
        耐性菌株率(%)        
チオファネー トメチル剤  イミノク
 タジン剤
アゾキシス
トロビン剤
イミベンコ
ナゾール剤
 河 内   3   26  65.4   0.0   0.0   0.0
 上都賀   3   31   6.5   0.0   0.0   0.0
 芳 賀   12   96  19.8   0.0   0.0   0.0
 下都賀   2   13  15.4   0.0   0.0   0.0
 塩 谷   9   50   22.0   0.0   0.0   0.0
 那 須   12  77   16.9   0.0   0.0   0.0
 南那須    9  71   15.5   0.0   0.0   0.0
 安 足   4   22   54.5   0.0   0.0   0.0
栃木農試   ―   14   0.0   0.0   0.0   0.0
 合 計   55 400   21.8   0.0   0.0   0.0
(参考)平成17年産調査結果 (67.2)   ―   ―   ―

参考資料
 1)平成21年度植物防疫ニュース(速報No.9)
 2)平成17年度植物防疫ニュース(速報No.5)
 3)平成18年植物防疫年報(平成19年3月)
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
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