植物防疫ニュース(速報 No.13)
     平成22年3月25日
 栃木県農業環境指導センター

麦類赤かび病の防除を徹底しましょう
 麦類の赤かび病を発生させる病原菌には、人や家畜に中毒症状を引き起こすかび毒等(デオキシニバレノール:DON等)を産生するものがあり、農産物検査規格では、食用麦の赤かび粒の混入限度は全麦種で0.0%以下となっています。赤かび病の発生した麦は商品価値がなくなるので、麦類赤かび病の防除を必ず実施しましょう。
 今年の出穂期は昨年同様、平年よりもやや早まることが予想されています。

◎ (参考) 農業試験場(宇都宮市)での出穂予測  3月22日現在
   麦  種
今後の気象経過による出穂予測日
平年の出穂日
 
出穂から開花

までの日数
 平年並 平年より1℃高い
ミカモゴールデン(二条大麦)  4/14   4/11   4/17
シュンライ(六条大麦)  4/19   4/14   4/19  5〜7日
農林61号(小麦)   4/27   4/23   4/29  5〜8日

◎ 防除対策
  ・麦の生育状況を良く観察し、適期を逃さない防除が重要

  ・六条大麦や追肥をした小麦(タマイズミ等)は、2回防除が基本
  (薬剤耐性菌の発生を予防するため異なるグループの薬剤を使用する)
 麦 種
       防除適期

 
   多発のおそれがある場合

(不稔粒発生や登熟期に曇りや降雨が多い)
二条大麦 穂揃い期7〜10日後 1回目の7〜10日後に2回目散布
六条大麦 開花始めと1回目の10日後の2回散布 3回目散布
 小 麦 開花始めと1回目の10〜20日後の2回散布 3回目散布

表 麦類赤かび病に登録のある主な薬剤(平成22年3月25日現在)
グループ名     薬剤名   作物名   希釈倍数
 
   使用時期
 収穫前日数/使用回数
ベンゾイミダゾール系
トップジンM水和剤
 
麦類(小麦を除く) 1,000〜1,500倍 30日前まで/3回以内(*1)
  小麦 1,000〜1,500倍 14日前まで/3回以内(*2)



EBI剤



シルバキュアフロアブル
  大麦     2,000倍 14日前まで/2回以内
  小麦     2,000倍  7日前まで/2回以内

チルト乳剤25
 
  大麦 1,000〜2,000倍 21日前まで/1回
  小麦 1,000〜2,000倍  3日前まで/3回以内
ワークアップフロアブル   小麦     2,000倍 14日前まで/2回以内
ストロビルリン系 ストロビーフロアブル 麦類(小麦を除く) 2,000〜3,000倍 14日前まで/3回以内

<無人ヘリコプターによる散布の登録がある薬剤>
グループ名     薬剤名   作物名   希釈倍数
 
   使用時期
収穫前日数/使用回数
ベンゾイミダゾール系
トップジンMゾル
 
麦類(小麦を除く)       8倍 21日前まで/3回以内(*1)
 小麦       8倍 14日前まで/3回以内(*2)

EBI剤
 

チルト乳剤25
 
  大麦       8倍 21日前まで/1回
 小麦       8倍  7日前まで/3回以内
注) *1:出穂期以降は1回以内  *2:出穂期以降は2回以内
  ・収穫前日数、無人ヘリでの使用農薬に留意して使用薬剤を選定する。
 
詳しくは、農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
п@028−626−3086