平成21年度病害虫発生予察特殊報第2号
平成21年10月29日
栃木県農業環境指導センター
ショウガ青枯病
 病原菌Ralstonia solanacearum (レース4 T型)
 作物名:しょうが
 発生経過
 栃木県内のしょうがほ場において、平成21年7月上旬頃から(特に9月上旬以降)激しい株枯れ症状が発生した。栃木県農業試験場病理昆虫研究室で本症状について、遺伝子診断手法を用いて検定を行ったところ、病原細菌Ralstonia solanacearum(レース4 T型)による青枯病であることが確認された。なお、しょうがでの発生は、高知県においてすでに確認されている。
 病 徴
 下位葉での黄化・萎凋が速やかに上位葉へと進展し、全身的な萎凋、枯死に至る。偽茎は水浸状となり、根茎から容易に離脱、倒伏する。偽茎と根茎の切断面からは白色菌泥が漏出し、維管束部は暗褐から黒変に変色する。










図1 全身萎凋・枯死した株















 図2 一部腐敗が始まっている根茎











図3 切断面から漏出する白色菌泥
 病原菌の特徴と伝染経路
 本病の病原菌は細菌であり、高温多湿時に発生しやすい。宿主植物が無くても土壌中や水中で長期間生存し伝染源となる。宿主植物が植付けられるとまず根圏で増殖し、傷口などから侵入して急激に増殖し、典型的な導管病特有の症状を引き起こす。
 汚染土壌の持込のほか、灌漑水、罹病した種株等で伝搬する。また、管理作業時の傷口などから伝染しやすくなる。
 感染植物
(1)自然感染が確認されている植物
   ショウガ科作物(しょうが、みょうが、クルクマ)
(2)人工接種により感染が確認されている植物
   トマト、ナス、ピーマン、ばれいしょ
 防除対策
 本病に対する有効な薬剤はないので、下記の耕種的防除に努める。
(1)既発生圃場の土壌を未発生圃場に持ち込まない。
(2)病原菌は高温多湿を好むので、ほ場の排水をよくする。
(3)発病株は感染源となるため、見つけ次第処分する。ただし、引き抜くと隣の株の
  根を傷め、感染を助長するので、周囲の株を傷つけないように注意する。発病株は、
  ほ場外に持ち出して処分する。
(4)連作ほ場で発生しやすいので、イネ科作物などを導入した輪作を行う。また、セ
  ンチュウ類が多発すると発病を助長するので、土壌消毒によるセンチュウ類防除を
  行う。
詳しくは農業環境指導センターにお問い合わせください。
TEL 028−626−3086
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/