平成21年度 病害虫発生予察注意報 第1号
平成22年1月27日
栃木県農業環境指導センター
 作物名 :トマト(越冬・冬春作型)
 病害虫名:灰色かび病
1 発生予想 発生量 多い 
2 発生地域 県内全域
3 注意報発表の根拠
 (1)

 
1月の巡回調査におけるトマト灰色かび病の発生状況は、発生ほ場率29.6%(平年8.4%)、発生株率4.6%(平年0.5%)と過去10年間で最も高い数値であり、特に越冬作型で多発している(表1)。
 (2) 本格的にサイド換気ができる時期までは、ハウス内は多湿となりやすいため、灰色かび病菌の増殖に好適な環境にあり、今後も発生が増加する恐れがある(図1)。

表1 越冬・冬春トマトにおける灰色かび病
  の発生状況
調査時期  発生ほ場率(%) 発生株率(%)
本年 平年 本年 平年
10月 0.0 3.8 0.0 0.1
11月 0.0 0.0 0.0 0.0
12月 15.4 3.0 0.8 0.1
1月 29.6 8.4 4.6 0.5

 
4 防除対策
(1)灰色かび病の発生しやすい条件は15〜23℃と比較的低温で、多湿条件であること  から、ハウス内の温度および湿度管理に注意する。特に曇雨天日が続く場合は、循  環扇、暖房機を稼働し、ハウス内の湿度を下げ、植物体表面の結露を除去する。
(2)疫病などによる枯死葉、花びら、発病葉、発病果をすみやかに除去し、ハウス外  に持ち出して適切に処分する。
(3)ボトキラー水和剤のダクト内投入を行う場合、低温条件下では効果が現れにくい  ので、10℃以上の温度を確保するよう努める。また本剤は予防剤であるため、発病  後は化学農薬と組み合わせた防除を実施する。
(4)曇雨天時は液剤の使用を控え、くん煙剤等を使用すると過湿防止に有効である。
(5)同一系統薬剤の連用を避け、系統の異なる薬剤とのローテーション散布を行う。
トマト灰色かび病に登録のある農薬例(平成22年1月25日現在の登録状況)
系統名 薬 剤 名 希釈倍率等 使用時期/使用回数
ベンズイミダゾール系
   +ジエトフェンカブル
ゲッター水和剤 1,000倍〜1,500倍
収穫前日まで/5回以内
アニリノピリミジン系 フルピカフロアブル 2,000倍〜3,000倍 収穫前日まで/4回以内
抗生物質 ポリオキシンAL水溶剤 2,500倍〜5,000倍 収穫前日まで/3回以内
その他 カンタスドライフロアブル 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
ジャストミート顆粒水和剤 2,000倍〜3,000倍 収穫前日まで/3回以内
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
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