平成21年度 病害虫発生予報 第3号
平成21年6月26日
栃木県農業環境指導センター
○いちごときくでハダニ類が多発していますので注意しましょう!
○県南の水稲で縞葉枯病が発生しています。ほ場をよく観察しましょう!
予想期間6月下旬〜7月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち(葉いもち)
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生はやや少ない。(−〜±)
今後の気象予報では気温は高く、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みで発生に適している。(+)
箱施用剤の普及により、近年の発生量は少ない。(−)
(3)対  策 発生が見られた場合は、早急にアミスターエイト、カスラブサイドゾル等予防・治療効果のある薬剤を散布する(平年初発時期は6月第5半旬頃)。
(4)備  考 平均気温が20℃前後で弱い連続降雨のあるときが感染の好適条件となるため、常発地では特に注意する。
窒素肥料の多施用は発生を助長する。堆肥の過剰施用で多発しているほ場が見受けられるので注意する。
アメダスデータを利用した感染好適日(BLASTAM)の情報を当センターホームページに掲載。
2 水稲 縞葉枯病 (県南部)
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:やや多い
(2)根  拠
 
下都賀地区でヒメトビウンカの第1世代保毒虫率が高い。(+)
下都賀地区で6月第5半旬に縞葉枯病の発生が見られている。(+)
(3)対  策 縞葉枯病に抵抗性のない品種(コシヒカリ、なすひかり等)では、縞葉枯病の地域の発生状況、発生情報に注意を払い、ほ場を良く観察する。
(4)備  考


以下、当センターホームページに掲載中。
植物防疫ニュース(速報No.2)「イネ縞葉枯病ウイルスの保毒虫率が高い地域があるので縞葉枯病の発生に注意しましょう!」
防除対策のポイントNo.15「イネ縞葉枯病に注意しましょう」
3 いちご     ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報では気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策 発生が多い場合、採苗前にマイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏にも良くかかるように散布する。
苗による本ぽへの持ち込みを防ぐため、育苗時の防除を徹底する。
4 いちご     うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の発生量はやや多い。(±〜+)
今後の気象予報は、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みで発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 本ぽでのうどんこ病は、苗に付着した菌の持ち込みによって発生するため、育苗時に防除を徹底して、菌を持ち込まないようにする。
高温期には菌の活動が抑えられ病徴が見えにくくなるが、この時期にハーモメイト水溶剤、サンヨール、タフパール(微生物農薬のため他剤との混用に注意)等で薬剤防除を行い、以後定期的に予防散布を行う。
5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 夏秋トマトでの現在の発生量は多い。(+)
今後の気象予報では気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋などで密封してから処分するか土中に埋める。
タバココナジラミが発生しているほ場では、スタークル(アルバリン)顆粒水溶剤、ベストガード水溶剤、サンマイトフロアブルなどをローテーション散布する。

 
冬春トマト栽培終了時には、施設外にタバココナジラミを飛散させないため、断根後40℃以上で継続した晴天日3日以上蒸し込みを行う。
(4)備  考 蒸し込み時の過度な高温は、施設内の器具を傷めることがあるので注意する。
6 野菜・花き アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠 青色粘着板の誘殺数は平年並。(±)
今後の気象予報では気温は高く、発生に適している。(+)
(3)対  策


雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、ほ場内外の雑草防除を行う。

 
施設栽培では、紫外線カットフィルムを被覆したり、施設開口部に防虫ネットを張ることにより、アザミウマ類の侵入を防ぐ。
栽培終了時には、ハウスを密閉して蒸し込みを行い、死滅させる。
アザミウマ類はウイルス病(きゅうり黄化えそ病:MYSV、ニラえそ条斑病:IYSV、キク茎えそ病:CSNV等)を伝搬するので、早めに防除する。
(4)備  考 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
7 なし 黒星病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根   拠 現在の発生は多い。(+)
今後の気象予報では気温は高く、降水量は平年並で発生に適している。(±〜+)
(3)対  策 発生の見られる葉及び果実は伝染源となるので見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。発生が多いほ場では、治療効果の高いストロビードライフロアブル、ベルクートフロアブル等を散布する。なお、降雨が続くときは薬剤の散布間隔を短くする。
(4)備  考 EBI剤・EBI混合剤は耐性菌の発生を防止するため、合わせて年2回以内の使用とする。
植物防疫ニュース(速報No.3)「なし黒星病の発生に注意しましょう!」を当センターホームページに掲載中。
8 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 ニカメイガ やや少 やや少 なす ハダニ類 平年並 平年並 
いちご 炭疽病 やや少 平年並 野菜類
果 樹
ハスモンヨトウ
ナシヒメシンクイ
やや多
平年並
やや多
やや多
萎黄病 平年並 平年並
トマト 疫病  少 やや少 き く ハダニ類  多   多
きゅうり 褐斑病  多  多 白さび病 やや多 やや多
○斑点米カメムシ類対策は、除草が基本です

 
水田内や水田周辺の雑草は斑点米カメムシ類の発生源や本田内へ侵入するための中継点になりますので、除草を行うなどカメムシ類の生息しにくい環境をつくり、斑点米の発生を防ぎましょう。
ホームページの「病害虫防除対策のポイントNo.14」を参照してください。
○農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
1か月気象予報(予報期間6月20日から7月19日 6月19日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。期間の前半を中心に気温が高く、週別の気温は1週目は高い確率80%、2週目は高い確率50%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 40% 30% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION

 
県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」とし、農薬に適正使用等について啓発活動を行っています。
「平成21年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは社団法人 栃木県植物防疫協会
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