平成21年度 病害虫発生予報 第4号
平成21年7月24日
栃木県農業環境指導センター
○斑点米カメムシ類、ハスモンヨトウの発生がやや早く、多めです!
予想期間7月下旬〜8月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲 いもち病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生は平年並。(±)
7月中、BLASTAMによる感染好適日はやや多くなっている。(+)
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生に好適な条件となっている。(±〜+)
(3)対  策 発病が多いほ場では、出穂始めにブラシンフロアブル、カスラブサイドゾル、アミスターエイト等の予防・治療効果の高い薬剤を散布する。
2 水稲 斑点米カメムシ類
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生量は平年並で(±)、発生時期が平年よりやや早い。
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(−〜±)
(3)対  策 穂揃期に斑点米カメムシ類が水田内で見られる場合は、乳熟初期(出穂期7〜10日後)までにMR.ジョーカーEW、スタークル液剤10(スタークルメイト液剤10)等を散布する。

 
防除後も斑点米カメムシ類が見られる場合は、7〜10日間隔で1〜2回の追加散布を行う。
(4)備  考 植物防疫ニュース(速報No.4)「斑点米カメムシ類の発生は昨年より早まっています!」をホームページに掲載しました。
3 大豆・野菜共通 ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生時期:やや早い 発生量:やや多い
(2)根   拠 成虫の誘殺量はやや多く(+)、発生時期が平年よりやや早い。
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(−〜±)
(3)対  策 施設栽培では、開口部に寒冷紗等を張り、侵入を防ぐ。

 
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り、土中に埋める。
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるため、発生初期に薬剤を散布する。
4 いちご うどんこ病
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生は多い。(+)
(3)対  策
 
高温期には病徴が見えにくくなるが、病徴が見えない場合でも、この時期にタフパール、ハーモメイト水溶剤等で予防する。

 
発生が見られたら、ベルクートフロアブル、サンヨール等を散布し、本ぽへのうどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。
(4)備考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤等との混用を避ける。
5 いちご 炭疽病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠  現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の降水量は平年並から多い見込みで、発生に好適な条件となっている。(±〜+)
(3)対  策 強いかん水は、発病を助長するので避ける。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
発生を予防するため、アントラコール顆粒水和剤(仮植栽培期)、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))等を散布する。

 
 
 いちご ハダニ類
(1)発生予想   発生量:やや多い 
(2)根  拠 現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(−〜±)
(3)対  策 苗による本ぽへの持ち込みを防ぐため、育苗床での防除を適正に行う。
葉裏を注意深く観察し、発生を認めたら気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コテツフロアブル、テデオン乳剤等を葉裏によくかかるように散布する。
 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠  現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(−〜±)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。

タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
施設栽培では、育苗期にベストガード粒剤、スタークル粒剤(アルバリン粒剤)を株元に施用する。
 果樹 カメムシ類
(1)発生予想   発生量:やや少ない
(2)根  拠  現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は低く、降水量は平年並から多い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(−〜±)
(3)対  策 4mm目以下の多目的防災網を被覆し、園内への侵入を防ぐ。多目的防災網の隙間から侵入することもあるので注意する。
園内をよく観察し、多発した場合にはアグロスリン水和剤(なし)、MR.ジョーカー水和剤等を散布する。
(4)備  考 防除剤に合成ピレスロイド剤を多用するとハダニ・カイガラムシ類が多発しやすくなるので注意する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 縞葉枯病 多 い 多 い きゅうり 褐斑病 平年並 平年並
ヒメトビウンカ 平年並 平年並 野菜類 オオタバコガ 平年並 平年並
いちご 萎黄病 やや少 平年並 な し 黒星病 やや多 やや多
トマト 灰色かび病 やや多 平年並 ぶどう べと病 少ない 少ない
な す アザミウマ類 平年並 平年並 果 樹 ハマキムシ類 少ない やや少
きゅうり べと病 平年並 平年並 き く ハダニ類 やや多 やや多
1か月予報(予報期間7月25日から8月24日 7月24日気象庁発表)
天気は、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。向こう1か月の平均気温は、低い確率50%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 50% 30% 20%
○降水量 20% 40% 40%
○日照時間 50% 30% 20%
○農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
NEWS & INFORMATION
県では6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」と定め、農薬の適正使用や農薬使用による事故防止を推進する運動を行っています。
「平成21年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012