平成21年度 病害虫発生予報 第5号
平成21年8月21日
栃木県農業環境指導センター
○水稲の普通植栽培で葉いもち病が多発しています!
○ハスモンヨトウ成虫の誘殺数が多くなっています!
予想期間8月下旬〜9月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 水稲(普通植栽培) いもち病(穂いもち病)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の普通植栽培の発生は多い。(+)
向こう1か月の降水量は少ない見込みで、発生にやや適していない。(−〜±)
(3)対  策
 

 
葉いもち病の発生がみられるほ場は、出穂始めにアミスターエイト、カスラブサイドゾルなどの予防・治療効果の高い薬剤を散布する。
(4)備  考 「植物防疫ニュース(速報No.5)県南部の普通植で葉いもち病が増えています!」参照。
2  野菜類・大豆  ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在、フェロモントラップへの誘殺数がやや多く、大豆ほ場での発生は平年並。(±〜+)
向こう1か月の降水量は少ない見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策



 
施設栽培では、開口部に寒冷紗等を張り、侵入を防ぐ。

 
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り、土中に埋める。

 
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
3 いちご  うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや多い 発生時期:やや早い
(2)根  拠
現在の発生はやや多い。(±〜+)

 
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生にやや適した気温になる。(±〜+)
日照不足の影響で軟弱な苗が多く、うどんこ病の発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策


 
高温期に病徴が見えない場合でも、この時期にタフパール、ハーモメイト水溶剤等で予防する。

 
発生が見られたら、パンチョTF顆粒水和剤、サンヨール等を散布し、本ぽへのうどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。 
(4)備  考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
4 いちご  ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の発生量はやや多い。(±〜+)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生にやや適していない。(−〜±)
(3)対  策 育苗期に防除を行い、本ぽへの持込みを防ぐ。
葉裏を注意深く観察し、発生を認めたら気門封鎖系薬剤をスポット散布する。
発生が多く見られる場合は、コロマイト水和剤、コテツフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。
5 いちご  炭疽病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
現在の発生量はやや多い。(±〜+)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生にやや適していない。(−〜±)
(3)対  策 強いかん水は、発病を助長するので避ける。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
被害株の周辺や発生の恐れがある場合には、発生を予防するため、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))、アミスター20フロアブル等を散布する。
6 トマト  コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠 夏秋トマトでの現在の発生量は平年並。(±)
例年この時期に発生が多くなるが、向こう1か月の平均気温は低い見込みで、やや増殖に適していない。(−〜±)
(3)対  策



 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
育苗期、定植時にベストガード粒剤、スタークル粒剤(アルバリン粒剤)を使用する。
(4)備  考 近紫外線カットフィルム、粒剤は、マルハナバチに影響があるので注意する。
7 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 穂いもち病(早植) 平年並 平年並 ね ぎ 黒斑病 やや多 やや多
縞葉枯病 やや多 やや多 野菜類 アブラムシ類 やや少 やや少
   カメムシ類 やや少 やや少 アザミウマ類 やや少 やや少
ニカメイガ やや少 やや少 オオタバコガ 平年並 平年並

 
(県南)ヒメトビウンカ やや多
やや多
な し
 
黒星病  多   −
ナシヒメシンクイ やや少 やや少
ヨコバイ類  少   少 ぶどう べと病 やや多  −
大 豆 カメムシ類 平年並 やや少 りんご ハダニ類 平年並 平年並

 
フタスジヒメハムシ やや少
 
やや少
果 樹 カメムシ類  少   少
き く ハダニ類  多   多
いちご 萎黄病  少 やや少 白さび病  少 やや少
な す ハダニ類 平年並 平年並
○大豆の紫斑病・カメムシ類防除について
紫斑病とカメムシ類の防除適期は隣接しているため、同時防除が可能です。
防除適期 紫斑病:開花期20日後から9月上旬 
     カメムシ類:開花期15日後から10〜14日間隔
○農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
1か月気象予報(予報期間8月15日から9月14日 8月14日気象庁発表)
 天気は数日の周期で変わるでしょう。向こう1か月の平均気温は、平年並または低い確率ともに40%です。週別の気温は、1週目は平年並または低い確率ともに40%です。2週目は低い確率60%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 40% 40% 20%
○降水量 40% 30% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
各種トラップにおける害虫の誘殺数のグラフは、当ホームページに掲載しています。
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