平成21年度 病害虫発生予報 第7号
平成21年10月23日
栃木県農業環境指導センター
○うどんこ病、ハダニ類の発生に注意しましょう!
○イネ縞葉枯病、黄萎病予防のため、早めに秋耕しましょう!
予想期間10月下旬〜11月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策



 
軟弱徒長すると発生が多くなるので、適正な温度管理や、かん水を行う。
タフパール、ハーモメイト水溶剤、サンヨール等で予防する。
発生が見られる場合はEBI剤、アミスター20フロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
ハウスサイドを降ろし、加温を開始したら、硫黄粒剤でくん煙する。
(4)備  考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い          
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)  
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策

 
発生初期に、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、アファーム乳剤、カネマイトフロアブル等を散布する。
スパイカルEX等の天敵農薬を使用する場合は、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。
(4)備  考 ハダニ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
3 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根   拠 現在の発生量はやや少ない。(−〜±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 ほ場周辺の除草を徹底する。

 
育苗期または定植時にベストガード粒剤、スタークル粒剤(アルバリン粒剤)を使用する。
発生初期に、サンクリスタル乳剤、チェス顆粒水和剤等を散布する。
葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去するため、生育に応じて葉かきを実施する。
施設内や施設周辺に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
(4)備  考 粒剤、近紫外線カットフィルムは、マルハナバチに影響があるので注意する。
ベストガード粒剤は、育苗培土混和、育苗期の株元処理及び定植時の土壌混和は合計1回以内なので注意する。
サンクリスタル乳剤は、高温時には薬害が出やすいので使用を避ける。
「特殊報第1号 ToCVによるトマトの病害について」を発表した。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:少ない
(2)根   拠 現在の発生量は少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にあまり適していない。(±)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので早急に取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にカリグリーン、フルピカフロアブル等を散布する。
(4)備  考 草勢過多の場合は天候不順により発生しやすいので注意する。
暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う場合は、薬剤等で灰色かび病菌の密度を下げてから使用する。
5 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)    
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、カネマイトフロアブル、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 やや多 やや多 きゅうり コナジラミ類 平年並 やや多  
コナジラミ類  多 にら 白斑葉枯病 平年並 平年並
トマト うどんこ病 やや多  多 野菜類 ハスモンヨトウ やや多 平年並
きゅうり うどんこ病 やや多  多 オオタバコガ 平年並 平年並
アザミウマ類  多 果樹 モモシンクイガ  少
秋冬期の病害虫防除対策
○イネ縞葉枯病、イネ黄萎病
再生稲での発生は次年度の伝染源になるので、早めに秋耕を行う。
イネ縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカ、イネ黄萎病を媒介するツマグロヨコバイは畦畔等の雑草地で越冬するため、ほ場周辺の除草を徹底する。
○麦類種子伝染性病害(斑葉病、裸黒穂病等)
トリフミン水和剤、ベンレートT水和剤20等で種子消毒を行う。
○コムギ縞萎縮病
農林61号、タマイズミは罹病しやすいため、イワイノダイチや六条大麦に作付転換を行う。
土壌感染を防止するため、作業順序に気を配り、作業機の洗浄に心がける。
排水対策を行う。特に湿田および基盤整備を行ったほ場では、暗きょ等の積極的な対策を行う。
早播きすると発生しやすいので、発生が予想されるほ場に作付する場合、は種適期の晩限までは種を遅らせ、播種量をやや多めにする。
  地域別のは種適期
   県北部:10月26日〜11月4日
   県中部:11月3日〜12日
   県南部:11月6日〜15日
○なし黒星病
病原菌は、芽や落葉で越冬し翌年の発生源となるので、収穫終了後は徒長枝の先端までまんべんなく薬液がかかるよう丁寧に薬剤散布を行い、園内外の落葉を集めて適切に処分する。防除の際は周辺へ飛散(ドリフト)しないよう十分注意する。
農薬を上手に使いこなしましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
1か月気象予報(予報期間10月17日から11月16日 10月16日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。週別の気温は、1週目は高い確率50%、2週目以降は、平年並または高い確率ともに40%です。 
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION
「栃木県農薬管理指導士」養成研修会が11月10日、11日にとちぎ男女共同参画センター(パルティ)において開催されます。詳しくは農政部経営技術課環境保全型農業担当までお問い合わせください。Tel(028)623-2286
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
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