平成21年度 病害虫発生予報 第8号
平成21年11月20日
栃木県農業環境指導センター
 
○灰色かび病、うどんこ病、ハダニ類の発生に注意しましょう!
 
予想期間11月下旬〜12月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
 
1 いちご うどんこ病
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生は平年並。(±)

 

 
向こう1カ月の平均気温は高く、降水量が多い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
  ハウスサイドを降ろし、加温を開始したら、硫黄粒剤でくん煙する。
  発病した葉は伝染源となるため、生育に応じて葉かきを行う。
  フルピカフロアブル、カリグリーン等で予防する。

 

 
発生が見られる場合、ストロビーフロアブル、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
 
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生は多い。(+)
  向こう1カ月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 ハダニ類は下葉にいることが多いので、必要に応じて下葉かきを行う。

 

 
発生初期に、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤、マイトコーネフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考
 

 
ハダニ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
 
3 トマト 灰色かび病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根   拠  現在の発生は少ない。(−)

 

 
向こう1か月の平均気温は高く、降水量が多い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
  今後、ハウス内が多湿となりやすく、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策
 

 
施設内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。

 

 
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は、伝染源となるので早急に取り除き、施設外で処分する。

 

 
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入による防除を行う。
  発生初期にベルクートフロアブル、サンヨール等を散布する。
(4)備  考
 

 
暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入は、薬剤等で灰色かび病の密度を下げてから行う。

 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠  現在の発生はやや少ない。(−)
  向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去するため、生育に応じて葉かきを実施する。
  施設内外に黄色粘着トラップを設置し、コナジラミ類を捕殺する。

 

 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、施設の開口部に目合0.4mm以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。

 

 
発生初期に粘着くん液剤[適用害虫:タバココナジラミ類(シルバーリーフコナジラミを含む)]、サンマイトフロアブル等を散布する。
(4)備  考
 

 
粘着くん液剤の散布後は、薬液が乾くよう、過湿を避ける。また原則として、他剤と混用しない。
 
 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠  現在の発生は多い。(+)
  向こう1カ月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策
 

 
ミナミキイロアザミウマはキュウリ黄化えそ病を媒介するため、施設開口部に銀色の防虫ネット等を張り、施設内への侵入を防ぐ。
  青色粘着トラップを施設内に設置し、アザミウマ類の早期発見に努める。

 

 
発生初期にスピノエース顆粒水和剤、アファーム乳剤[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ]等を散布する。
(4)備  考
 

 
アザミウマ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。

 

 
植物防疫ニュース(速報No.8)「キュウリ新病害(退緑黄化病(仮称)、黄化えそ病)の発生が拡大しています!」を参照。
 
 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠  現在の発生は平年並。(±)
  向こう1カ月の降水量は多い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)

 

 
ビニール被覆後、施設内が多湿となりやすく、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 施設内が多湿とならないよう、日中に適度な換気を行う。

 

 
捨て刈りした葉は伝染源になるので、施設外へ持ち出し、土中に埋めるなど適切に処分する。

 

 
発生初期にアミスター20フロアブル、ポリオキシンAL水溶剤等を散布する。
 
 その他の病害虫
    現 況 発生予想       現 況 発生予想
  いちご 灰色かび病  少 平年並   にら アザミウマ類 やや少 平年並
    アブラムシ類 平年並 やや少     ネダニ やや多 やや多
    コナジラミ類  多  多   野菜類 ハスモンヨトウ やや多 平年並
  トマト うどんこ病  多  多     オオタバコガ  少  少
  きゅうり うどんこ病 平年並 やや多   きく 白さび病 やや多  多
    コナジラミ類 やや少 平年並     ハダニ類  多  多
 
大豆の紫斑粒が多くなっています!
 今年の大豆の子実調査では、紫斑粒の発生ほ場率、発生粒率がともに過去10年で最高の値となりました(11月9日に、植物防疫ニュース(速報No.9)「大豆の紫斑粒が多くなっています!」を発表しました)。出荷調整や来年度用の採種に注意が必要です。
<防除対策>
  発病したほ場は速やかに秋耕を行いましょう。

 

 
種子を更新しましょう。やむを得ず自家採種する場合、紫斑粒を丁寧に除去し、健全粒を使用しましょう。
  来年度は種子消毒を必ず行い、生育期の防除を徹底しましょう。
 
1か月予報(予報期間11月14日から12月13日 11月13日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は、数日の周期で変わるでしょう。平年に比べ曇りや雨の日が多い見込みです。週別の気温は、1週目は平年並の確率50%、2週目は高い確率60%、3〜4週目は高い確率50%です。
  低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 30% 60%
○降水量 20% 30% 50%
○日照時間 50% 30% 20%
 
農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。

 
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。

 
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
 
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
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