平成21年度 病害虫発生予報 第10号
平成22年1月22日
栃木県農業環境指導センター
○灰色かび病、ハダニ類の発生に注意しましょう!
予想期間1月下旬〜2月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策


 
スパイデックス[適用作物:野菜類(施設栽培)]等の天敵農薬を使用する場合は、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。
発生が見られた場合、下葉かきを行い発生密度を下げ、サンクリスタル乳剤[適用作物:野菜類]等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 サンクリスタル乳剤は、高温時には薬害を生じることがあるので使用を避ける。
2 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠
 
現在の発生量はやや少ない。(−)
今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策
 
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病果実等は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生の初期にダイマジン、フルピカフロアブル等を散布する。
降雨が続いて湿度が高い場合は、スミレックスくん煙顆粒等の使用も効果的である。
3 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策


 
軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。

 
発生初期にアミスター20フロアブル、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 アミスター20フロアブルは高温多湿条件下では薬害が生じるので使用しない。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤[適用作物:野菜類]のダクト内投入を行う。また発生初期に、ゲッター水和剤、セイビアーフロアブル20等を散布する。

5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策




生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニール袋等で密封し枯死させてから処理する。
施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
サンクリスタル乳剤[適用作物:野菜類]等を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。
コナジラミ類の発生が見られる場合は、チェス顆粒水和剤、モスピラン水溶剤等を散布する。
(4)備  考 サンクリスタル乳剤は、高温時には薬害が出やすいので使用を避ける。
6 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期に、ストロビーフロアブル、セイビアーフロアブル20等を散布する。
7 きく 白さび病
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並もしくは高い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策
軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。
発生が見られる場合はEBI剤、ポリオキシンAL水溶剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 ポリオキシンAL水溶剤は薬害を生じる恐れがあるので、着蕾期以降、高温時の散布は避ける。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 やや少 平年並 きゅうり アザミウマ類  少 やや少
コナジラミ類 平年並 やや多 コナジラミ類  少 やや少
トマト 葉かび病 平年並 平年並 きく ハダニ類 やや少 平年並 
きゅうり うどんこ病 やや少 やや少 アザミウマ類 平年並 やや多
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。 
1か月気象予報(予報期間1月16日から2月15日 1月15日気象庁発表)
 向こう1か月の天気は、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。平均気温は平年並または高い確率ともに40%、降水量と日照時間は平年並の確立が40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
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