植物防疫ニュース(速報 No.1 )                平成22年5月10日
                              栃木県農業環境指導センター

麦類赤かび病の多発が懸念されます。
追加防除により拡大を抑えましょう。
 
 5月上旬の麦類病害調査において、県南部小麦ほ場の一部に赤かび病の発生が見られました。今年の発生状況は、多発年だった平成16年より高い水準です(表1)。また、4月中旬の低温による不稔(二条大麦)や穂の部分凍死(小麦・六条大麦)も見られます。このような不稔粒等の発生は赤かび病の発生を助長し、今後の天候によっては多発の恐れがあります。
 現在、麦類は開花期(小麦)〜乳熟期(大麦)で、赤かび病の感染適期にあたります。追加防除により、赤かび病の拡大を抑えましょう。 

表1 5月上旬麦類病害調査における赤かび病の発生状況(発病ほ場率)
      
       本年  平年*1 H21  H20  H19  H18  H17  H16*2  H15  H14    
     
発病ほ場率  4.3   0.2  0.0  0.0  0.0  0.0  0.0  2.4  0.0  0.0
 調査ほ場数  46   ―   55   48   55  84  79   82  48   54
   
 
  *1:H14〜21年の平均値  *2:平成16年は赤かび多発年

◎ 防除のポイント

 
 
・赤かび病の拡大防止のため、追加防除を行いましょう。
 
  ・使用薬剤は同系統薬剤の連用を避け、収穫前日数に留意して選定しましょう。

◎ 防除適期等




二条大麦:穂揃期7〜10日後、多発の恐れがある場合はさらに1回目散布の7〜10日後

六条大麦:開花始めと1回目の10日後の2回 、多発の恐れがある場合3回目

小麦:開花始めと1回目の10〜20日後の2回 、多発の恐れがある場合3回目
 

表2 麦類赤かび病に登録のある主な薬剤(平成22年5月10日現在)
グループ名     薬剤名
 
  作物名
 
  希釈倍数
 
   使用時期
 収穫前日数/使用回数
ベンゾイミダゾール系 トップジンMゾル
 
麦類(小麦を除く)     1,500倍 14日前まで/3回以内(*1)
  小麦 1,000〜1,500倍 14日前まで/3回以内(*2)



EBI剤

 
シルバキュアフロアブル   大麦     2,000倍 14日前まで/2回以内
  小麦    2,000倍 7日前まで/2回以内
チルト乳剤25
 
  大麦 1,000〜2,000倍 21日前まで/1回
  小麦 1,000〜2,000倍 3日前まで/3回以内
ワークアップフロアブル   小麦
 
    2,000倍
 
14日前まで/2回以内
 
ストロビルリン系
 
ストロビーフロアブル
 
麦類(小麦を除く) 2,000〜3,000倍 14日前まで/3回以内

 

小麦

2,000〜3,000倍

 

 
注) *1:出穂期以降は1回以内  *2:出穂期以降は2回以内
 

 
   
詳しくは、農業環境指導センターhttp://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。п@028−626−3086