平成22年度病害虫発生予察特殊報第1号
平成22年9月1日
                           栃木県農業環境指導センター
 
アワダチソウグンバイ
 
1 害虫名
 アワダチソウグンバイ Corythucha marmorata (Uhler)
 
2 発生作物
 鉢物ひまわり(鑑賞用)
 
3 発生確認に至った経緯
 平成22年7月、栃木県北部の花き栽培農家の鉢物ひまわり(鑑賞用)の葉にかすり状の脱色斑点が生じ、多数のグンバイムシ類の寄生が認められた。そのため、那須農業振興事務所より農業環境指導センターに、それらのグンバイムシ類の持ち込みがあり、確認したところ、アワダチソウグンバイの疑いがあった。そこで、現地で採集した成虫を農林水産省横浜植物防疫所に同定依頼した結果、アワダチソウグンバイであることが確認された。アワダチソウグンバイが本県で栽培作物を加害した例は初めてである。
 本種は北米からの侵入種であり、平成12年8月に兵庫県で発生が確認されて以来、平成22年8月26日までに30都府県で確認されている。また、本県では平成19年6月にセイタカアワダチソウで採集されたグンバイムシ類を、同横浜植物防疫所に同定依頼した結果、アワダチソウグンバイであることが確認されていた。
 
4 被害の特徴
 成・幼虫の吸汁により葉にかすり状の脱色斑点が生じるとともに、黒い粘液状の排泄物が付着して汚れる。
 
5 形態
 卵は葉裏の葉脈沿い等に産卵される。黒色で楕円形の靴のような形をしており、灰色円形のふたが付いている。下部は組織内に埋め込まれている。
 幼虫は体長約2mmに達し、全身が褐色の紡錘形で、多数の棘がある。
 成虫の体長は約3mm。前翅には周縁部と一部の翅脈上に顕著な棘を列生し、特徴的な褐色斑がある。
 
6 生活史・生態
 大阪府の調査では、本種は6〜8月に発生し、成虫の発生ピークは7月下旬と8月下旬、幼虫の発生ピークは8月上旬と下旬であった。また、セイタカアワダチソウ等のキク科雑草で成虫越冬することが確認されている。
 本種はひまわりの他にもきく、なす等の作物を加害することが知られており、今後、それら作物への発生の拡大が懸念される。
 
7 防除対策



 
(1)
 
ほ場周辺のセイタカアワダチソウ等のキク科雑草は発生源となるので、除草を行う。
(2)
 
平成22年8月26日現在、ひまわりでは、本種に対して登録のある薬剤はない。











 











 
図1.被害株 図2.被害葉












 












 
図3.葉裏に産みつけられた卵 図4.卵と幼虫











 











 
図5.葉裏に群生した幼虫 図6.成虫
 
 
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
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