平成22年度 病害虫発生予察注意報 第2号
平成22年8月23日
栃木県農業環境指導センター
 作物名 :いちご
 病害虫名:炭疽病
1 発生予想 発生量 多い 
2 発生地域 県内全域
3 注意報発表の根拠
 (1)
 
 8月上中旬の巡回調査の結果、発生ほ場率は20.3%(平年4.1%)、発病株率は2.0
%(平年0.1%)で、過去10年間で最も高い(図1、表1)。
 (2)  病害虫防除員の報告によると、一部でほとんどの苗に発生し苗不足となったり、全ての苗を廃棄したほ場もあった。
 (3)  平成22年度8月20日付け気象庁1か月予報によると、向こう1か月の平均気温は高い見込み。そのため今後の発生増加が予想される。




 写真1 汚斑状の病徴                 写真2 葉柄の病徴
 
4 防除対策
 (1)
 発病株(写真1、2)は、感染源となるので、周辺の株も含めて取り除き、肥料袋等に詰め、空気を排出し口をしっかり閉じて、日当たりのよい野外に放置し、嫌気的発酵処理を行う(圃場やその周辺に放置しない)。
 (2)
 
 イチゴ炭疽病菌は水滴の飛散等で伝染するので、できるだけ水の跳ね返りがないようなかん水を行う。
 (3)  ポットの間隔を広げるなどして風通しを良くするとともに、茎葉の濡れ時間が長くならないよう、かん水はできるだけ晴天日の午前中に行い、曇雨天日及び夕方のかん水を控える。
 (4)  症状が出てからの防除は困難なので、発生前から定期的に予防散布を行う(表2)。
 (5)
 
 気温が高い時期は、防除の間隔が長くなると感染の危険性が高まるので、7〜10日間隔で防除する。
 (6)  耐性菌の発生回避のため、同一系統の薬剤を連用しない。

表2 イチゴ炭疽病に登録のある主な防除薬剤注1
  薬   剤   名   希 釈 倍 数  使用時期/使用回数
EBI剤
バイコラール水和剤 2,500倍 育苗期/3回以内
サンリット水和剤 2,000倍 収穫前日まで/3回以内
グアニジン系
ベルクート水和剤 1,000倍 育苗期(定植前)/5回以内
ベンゾイミダゾール系
ゲッター水和剤 1,000倍 定植前日まで/3回以内
有機銅剤
オキシンドー水和剤80 1,000倍 育苗期/3回以内注2
キノンドーフロアブル 500〜800倍 育苗期/3回以内注2
有機塩素系
オーソサイド水和剤80 800倍 収穫30日前まで/3回以内
その他
デランフロアブル 1,000倍 育苗期/2回以内
微生物農薬
タフパール注3 2,000〜4,000倍 育苗期〜収穫前日まで/−
注1)平成22年8月19日現在の農林水産消費安全技術センターの農薬登録情報に基づい    て作成している。
注2)オキシンドー水和剤80とキノンドーフロアブルの有効成分はいずれも有機銅で  あるため、両薬剤の使用回数は合わせて3回以内とする。
注3)タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
詳しくは、農業環境指導センターまでお問い合わせください。
TEL028−626−3086
http://www.jppn.ne.jp/tochigi/