平成22年度 病害虫発生予察注意報 第4号
平成23年3月18日
栃木県農業環境指導センター
 作物名 :トマト(越冬・冬春作型)
 病害虫名:灰色かび病
1 発生予想 発生量 多い 
2 発生地域 県内全域
3 注意報発表の根拠
 (1)

 
3月の巡回調査におけるトマト灰色かび病の発生状況は、発生ほ場率62.5%(平
年32.2%)、発生株率8.8%(平年3.8%)と平年のほぼ2倍の高い数値であり、
全県下において越冬作型、冬春作型とも多発している(表1)。
 (2) 本格的にサイド換気ができる時期までは、ハウス内は多湿となりやすいため、灰
色かび病菌の増殖に好適な環境にあり、今後も発生が増加する恐れがある(図1)。
 (3) 3月11日の地震に伴う停電によって低温障害を受けており、灰色かび病が発生し
やすい条件となっているので一層注意が必要である。
表1
 
越冬・冬春トマトにおける灰色かび病
の発生状況
調査時期  発生ほ場率(%) 発生株率(%)
本年 平年 本年 平年
10月 0.0 3.8 0.0 0.1
11月 0.0 0.0 0.0 0.0
12月 4.2 4.5 0.1 0.2
1月 17.4 11.3 0.6 0.9
2月 30.4 19.4 2.4 2.1
3月 62.5 32.2 8.8 3.8
4 防除対策
(1)灰色かび病の発生しやすい条件は15〜23℃と比較的低温で、多湿条件であること
  から、ハウス内の温度及び湿度管理に注意する。特に曇雨天日が続く場合は、循環
  扇、暖房機を稼働し、ハウス内の湿度を下げ、植物体表面の結露を除去する。
(2)灰色かび病は腐生性が強いため、発病果実・葉、枯死葉、花びら等は、すみやか
  に除去し、ハウス外に持ち出して適切に処分する。
(3)ボトキラー水和剤を使用する場合は、低温条件下では効果が現れにくいので、10
  ℃以上の温度を確保するよう努める。また本剤は予防剤であるため、発病後は化学
  農薬中心の防除に切り替える。
(4)曇雨天時は液剤の使用を控え、くん煙剤等を使用すると過湿防止に有効である。
(5)同一系統薬剤の連用を避け、系統の異なる薬剤とのローテーション散布を行う。
トマト灰色かび病に登録のある農薬例(平成23年3月14日現在の登録状況)
系統名 薬 剤 名 希釈倍率等 使用時期/使用回数
ベンゾイミダゾール系 ゲッター水和剤 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/5回以内
アニリノピリミジン系 フルピカフロアブル 2,000倍〜3,000倍 収穫前日まで/4回以内
抗生物質 ポリオキシンAL水溶剤 2,500倍〜5,000倍 収穫前日まで/3回以内
ジカルボキシイミド系 ロブラールくん煙剤 ※1 収穫前日まで/3回以内
その他
カンタスドライフロアブル 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
セイビアーフロアブル20 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
トータレックス顆粒水和剤 1,000倍〜1,500倍 収穫前日まで/3回以内
※1 くん煙室容積300〜400m(高さ2m、床面積150〜200u)当り100g(50g×2個)
☆トマト灰色かび病の薬剤感受性検定結果については当センターHPを参照下さい。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012