平成22年度 病害虫発生予報 第1号
平成22年4月23日
栃木県農業環境指導センター
○麦類赤かび病の防除をしましょう!
○ハダニ類、コナジラミ類、アザミウマ類の防除は早めに実施しましょう!
予想期間4月下旬〜5月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 麦類 赤かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 気象予報では降水量は多い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 出穂期〜乳熟期の降雨・曇天の連続は、感染が急激に拡大する恐れがあるので、予防散布を行う。
二条大麦は穂ぞろい期7〜10日後、六条大麦は開花始めと開花10日後、小麦は開花始めと開花10〜20日後に散布し、多発の恐れがある場合はさらに追加防除を行う。
シルバキュアフロアブル、ストロビーフロアブル、チルト乳剤25など系統の異なる薬剤をローテーション散布する。
2 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い。(+)
日中に換気が十分行われるようになるため、発病にやや不適となる。(−)
(3)対  策
 
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病部位は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生の初期にダイマジン、フルピカフロアブル等を散布する。
3 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−〜±)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生初期にEBI剤、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 EBI剤・EBI混合剤は耐性菌の発生を防止するため、合わせて年2回以内の使用とする。
4 いちご、きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は、いちごで平年並、きくでやや多い。(±〜+)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策 発生密度が高くなると防除が困難となるので、発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布してハダニ類を低密度に抑える。
いちごでは、下葉かき作業後に、マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏によくかかるように散布する。
きくでは、ダニサラバフロアブル〈適用作物:花き類・観葉植物〉、サンマイトフロアブル等を葉裏によくかかるように散布する。
(4)備  考 雨よけ施設のいちご親株床では、ハダニの発生が多くなるので注意する。
親株床にハダニを持ち込まないように本ぽの管理作業とは別に作業を行う。
発生がみられる場合はランナー発生が多くなる前に、ダニの初期防除を行う。
5 いちご、きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策


 
雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、施設内外の除草を行う。
青色粘着紙を設置し、発生状況を把握するとともに早期防除を行う。
発生が見られた場合は、スピノエース顆粒水和剤、アーデント水和剤などをローテーション散布する。
6 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 現在の発生量は多い。(+)
日中に換気が十分行われるようになるため、発病にやや不適となる。(−)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう換気やかん水に注意する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ポリオキシンAL水溶剤、ベルクートフロアブル等を散布する。
7 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
気温の上昇とともに、発生が増加する。(+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋等で密封してから処分するか土中に埋める。
タバココナジラミが発生しているほ場では、アプロードエースフロアブル、クリアザールフロアブルなどを散布する。
8 なし 黒星病
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 昨年の発生は多かった。(+)
気象予報では平均気温は低く、降水量は多く発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 芽基部病斑は摘み取る。
芽基部病斑上の胞子形成抑制のためEBI剤、チオノックフロアブル(トレノックスフロアブル)、デランフロアブルなどを散布する。
(4)備  考 昨年多発した園では、防除を徹底する。

 
EBI剤・EBI混合剤は耐性菌の発生を防止するため、合わせて年2回以内の使用とする。
チオノックフロアブル、トレノックスフロアブルは同じ成分(チウラム)なので、総使用回数に注意する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 平年並 やや多 きゅうり コナジラミ類 平年並 やや多
コナジラミ類 平年並 やや多 たまねぎ べと病 やや多 平年並
トマト 葉かび病 やや少 平年並 果樹 モモシンクイガ 平年並 平年並
きゅうり 褐斑病 平年並 平年並 きく 白さび病 やや多 やや多
イネ縞葉枯病に注意しましょう!
昨年11月に実施しましたウンカ類の調査では、ウンカ類幼虫の越冬前密度が平年より高く、ヒメトビウンカ幼虫のイネ縞葉枯病保毒虫率も県中部から県南部の一部で高くなっています。イネ縞葉枯病の発生拡大が懸念されますので、コシヒカリなど(感受性品種)では、防除効果の高い箱施用剤などを利用し、防除対策を実施しましょう。
農薬を上手に使いこなしましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択する。
農薬を散布する場合には、周辺住民に周知を図り、散布の時間帯に十分注意する。
施設栽培では今後大きくサイド換気されるので、薬剤散布する場合はドリフトに注意しましょう。
1か月気象予報(予報期間4月17日から5月16日 4月16日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は1週目は曇りや雨の日が多くなりますが、2週目以降はおおむね数日の周期で変わり、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 50% 40% 10%
○降水量 30% 30% 40%
○日照時間 40% 30% 30%
NEWS & INFORMATION
「平成22年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」は4月上旬に発行されています。お求めの方は、社団法人 栃木県植物防疫協会(028−683−5533)にお問い合わせ願います。
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詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
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