平成22年度 病害虫発生予報 第2号
平成22年5月21日
栃木県農業環境指導センター
○ハウス栽培は栽培終了時に蒸しこみを行い害虫を駆除しましょう!
予想期間5月下旬〜6月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 小麦 赤かび病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生量は少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、天気はぐずつく時期もある見込みで発生に適している。(+)
(3)対  策 小麦は1回目の10〜20日後に2回目の防除を行い、多発の恐れがある場合は3回目の防除を行う。
使用薬剤は同系統薬剤の連用を避け、収穫前日数に留意して選定する。
植物防疫ニュース(速報No.1)「麦類赤かび病の多発が懸念されます。追加防除により拡大を抑えましょう。」参照。
2 水稲 縞葉枯病(ヒメトビウンカ媒介)
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠
昨年の発生量はやや多い。(+)
県中部から県南部の一部でヒメトビウンカの越冬世代保毒虫率が高い(平成21年11月時点)。(+)
(3)対  策 地域の発生状況、発生情報に注意を払い、ほ場をよく観察する。
保毒虫率が高い地域で感受性品種(コシヒカリなど)を今後作付する場合は防除効果の高い箱施用剤を使用する。
防除対策のポイントNo.15(イネ縞葉枯病に注意しましょう)参照。
平成21年度植物防疫ニュース(速報No.10)「来年のイネ縞葉枯病の発生拡大が懸念されます!」参照。
3 いちご(親株) ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠 前作の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策
 
ランナー発生数が増加する前に発生が見られる場合は、粘着くん液剤[適用作物:野菜類]、アファーム乳剤などを葉裏にも良くかかるように散布する。
本ぽから親株へハダニ類を持ち込まないように、管理作業は別に行う。
4 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:平年並 
(2)根   拠 現在の発生量はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋などで密封してから処分するか土中に埋める。
タバココナジラミが発生しているほ場では、スタークル(アルバリン)顆粒水溶剤、ベストガード水溶剤、コロマイト乳剤などをローテーション散布する。

 
冬春トマト栽培終了時には、野外にタバココナジラミを飛散させないため、断根後40℃以上で10日以上(継続した晴天日3日以上)蒸し込みを行う。
夏秋トマトの定植時にベストガード粒剤、スタークル(アルバリン)粒剤などを施用する。
(4)備  考 蒸し込み時の過度な高温は、施設内の器具を傷めることがあるので注意する。
5 なし 黒星病
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、降水量は平年並で発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 芽基部病斑は摘み取る。
芽基部病斑上の胞子形成抑制のためEBI剤・EBI混合剤、ベルクートフロアブルなどを散布する。
(4)備  考 EBI剤・EBI混合剤は耐性菌の発生を防止するため、合わせて年2回以内の使用とする。
6 なし シンクイムシ類
(1)発生予想 発生量(幼虫):やや多い 
(2)根   拠
フェロモントラップへのナシヒメシンクイ成虫誘殺数がやや多く、今後幼虫が発生すると予想される。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、降水量は平年並で発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 発生が見られる場合は、ノーモルト乳剤、サムコルフロアブル10、ダイアジノン水和剤34[適用作物:日本なし、西洋なし]などを散布する。
7 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い 
(2)根   拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は平年並〜高く、発生にやや適している。(±〜+)
(3)対  策 下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤[適用害虫:ナミハダニ]、コテツフロアブルなどを散布する。
8 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲 葉いもち  − 平年並 トマト 葉かび病  少   少
イネミズゾウムシ やや少 やや少 きゅうり アザミウマ類  多 やや多
ニカメイガ やや少 やや少 果 樹 カメムシ類 平年並 やや多
トマト 灰色かび病  多 やや多 き く 白さび病 やや多 やや多
○斑点米カメムシ類対策は、本田内の雑草対策も重要です!
 水田周辺の雑草だけでなく、本田内の雑草(ノビエ、イヌホタルイなど)も斑点米カメムシ類を誘引し、発生源となります。水田内の雑草対策でカメムシ類の生息しにくい環境をつくり、斑点米の発生を防ぎましょう。
農薬を上手に使いこなしましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を散布する場合には、周辺住民に周知を図り、散布の時間帯に十分注意しましょう。 
施設栽培で大きくサイド換気している場合には、薬剤散布時のドリフトに注意しましょう。
1か月気象予報(予報期間5月15日から6月14日 5月14日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は数日の周期で変わる見込みですが、ぐずつく時期もあるでしょう。向こう1か月の平均気温は、平年並または高い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 40% 40%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
NEWS & INFORMATION

 
県では、農薬による事故等の発生防止を図るため、6月から8月の3か月間を「農薬危害防止運動期間」とし、農薬の適正使用等について啓発活動を行います。
「平成22年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」をお求めの方は、社団法人 栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
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詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
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