平成22年度 病害虫発生予報 第5号
平成22年8月23日
栃木県農業環境指導センター
○いちご炭疽病の防除をしましょう!
○ハスモンヨトウ、ハダニ類、コナジラミ類、アザミウマ類の防除は早めに実
 施しましょう!
予想期間8月下旬〜9月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1  野菜類・大豆  ハスモンヨトウ
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在、フェロモントラップへの誘殺数はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並から少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



 
施設栽培では、開口部に寒冷紗等を張り、侵入を防ぐ。

 
定期的にほ場をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した卵塊や分散前の幼虫は寄生葉とともに摘み取り、土中に埋める。

 
ハスモンヨトウの幼虫は齢期が進むと薬剤が効きにくくなるので、発生初期に薬剤を散布する。
2 いちご  炭疽病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
 
現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 強いかん水は、発病を助長するので避ける。
被害株、被害茎葉及びランナーは見つけ次第取り除き、ほ場外で処分する。
被害株の周辺や発生の恐れがある場合には、発生を予防するため、バイコラール水和剤、ベルクート水和剤(育苗期(定植前))等を散布する。
3 いちご  うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや少ない 発生時期:やや遅い
(2)根  拠

 
現在の発生はやや少ない。(−)

 
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生にやや不適な条件となっている。(±〜−)
(3)対  策


 
高温期に病徴が見えない場合でも、この時期にタフパール[適用作物:野菜類]、ジーファイン水和剤[適用作物:野菜類]等で予防する。

 
発生が見られたら、パンチョTF顆粒水和剤、サンヨール等を散布し、本ぽへのうどんこ病菌の持ち込みを防ぐ。 
(4)備  考 タフパールは微生物農薬であるため、他の殺菌剤との混用を避ける。
4 いちご  ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並から少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 育苗期に防除を行い、本ぽへの持込みを防ぐ。
葉裏を注意深く観察し、発生を認めたら気門封鎖系薬剤をスポット散布する。
発生が多く見られる場合は、アファーム乳剤、コロマイト水和剤等を葉裏によくかかるように散布する。
5 トマト  コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 夏秋トマトでの現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並から少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策



 
タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルスを媒介するので、施設の開口部に0.4mm目以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。光反射シートや近紫外線カットフィルムも効果がある。
今後定植する作型では、育苗期、定植時にベストガード粒剤、スタークル粒剤(アルバリン粒剤)を使用する。
(4)備  考 近紫外線カットフィルム、粒剤は、マルハナバチに影響があるので注意する。
6 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並から少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 施設開口部に銀色の防虫ネット等を張るとともに、近紫外線カットフイルムや光反射シート等を利用して、施設内へのアザミウマ類の進入を防ぐ。
今後定植する作型では、定植時にベストガード粒剤[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ]、オンコル粒剤5[適用害虫:ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ]等を使用する。
発生が見られる場合は、スピノエース顆粒水和剤、コテツフロアブル[適用害虫:ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ]等を葉裏によくかかるように散布する。
7 きく ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠
現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高く、降水量は平年並から少ない見込みで、発生に適している。(+)
(3)対  策 下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、コロマイト水和剤[適用害虫:ナミハダニ]、コテツフロアブルなどを散布する。
8 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
水 稲
  
穂いもち病(普通植) 少  少 な し
 
黒星病 平年並 平年並
縞葉枯病  多  多 ナシヒメシンクイ やや少 平年並
いちご 萎黄病 やや少 平年並 ぶどう べと病 やや多 平年並
な す
 
ハダニ類 平年並 やや多 りんご ハダニ類 やや多  多
アザミウマ類  多  多  果 樹 カメムシ類 やや少 平年並
ね ぎ 黒斑病 平年並 平年並 き く 白さび病  少   少
アザミウマ類  多  多    
○大豆の紫斑病・カメムシ類防除について
紫斑病とカメムシ類の防除適期は隣接しているため、同時防除が可能です。
防除適期 紫斑病:開花期20日後から9月上旬
カメムシ類:開花期15日後から10〜14日間隔
○水稲の縞葉枯病の発生に注意しましょう!
本年は、発生地域が県全域に拡大しています。出穂後は後期発病(出すくみ)が見やすくなるため、ほ場での発病状況を確認し、次作への対策を検討しましょう。
○セイヨウオオマルハナバチの導入には許可が必要です!
セイヨウオオマルハナバチは、特定外来生物に指定され、飼養等が規制されています。規制の対象外である在来種マルハナバチへの切替えをしましょう。
やむを得ずセイヨウオオマルハナバチを飼養する場合には、環境省の許可を取得してください。
具体的な手続きは、関東地方環境事務所Tel(048)600-0817までお問い合わせください。
詳しくは外来生物法サイト(http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html)をご覧ください。
1か月気象予報(予報期間8月14日から9月13日 8月13日気象庁発表)
 天気は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は高い確率70%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 10% 20% 70%
○降水量 40% 40% 20%
○日照時間 20% 40% 40%
NEWS & INFORMATION
各種トラップにおける害虫の誘殺数のグラフは、当ホームページに掲載しています。
「平成22年度 農作物等病害虫雑草防除の手引き」のお求めは、(社)栃木県植物防疫協会にお問い合わせください。Tel (028)683-5533 Fax (028)683-5530
携帯サイトからも「ご意見・ご質問」が送信できるようになりました。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012