平成22年度 病害虫発生予報 第8号
平成22年11月22日
栃木県農業環境指導センター
○ハダニ類、コナジラミ類、アザミウマ類の発生がやや多めです!
予想期間11月下旬〜12月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:平年並
(2)根  拠 現在の発生はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
現在発生が見えなくても今後発生する可能性があるため、硫黄粒剤でくん煙する。
発生初期にサンヨール、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 ハダニ類は下葉にいることが多いので、必要に応じて下葉かきを行う。
発生初期に気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
(4)備  考 ハダニ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
当センターHPに「いちごのナミハダニの卵の薬剤感受性検定」「いちごのナミハダニの雌成虫の薬剤感受性検定」を掲載中。
3 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根   拠  現在の発生は少ない。(−)
今後、ハウス内が多湿となりやすく、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 施設内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は、伝染源となるので早急に取り除き、施設外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入による防除を行う。なお本剤は発病前からの継続した使用が効果的である。
発生初期にフルピカフロアブル、サンヨール等を散布する。
(4)備  考 暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入は、薬剤等で灰色かび病の発生密度を下げてから行う。
 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠  現在の発生は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去するため、生育に応じて葉かきを実施する。
施設内や周辺に黄色粘着トラップを設置し、成虫を捕殺する。
発生初期に粘着くん液剤[適用害虫:タバココナジラミ類(シルバーリーフコナジラミを含む)]、サンクリスタル乳剤等の物理的防除剤で防除する。
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するので、施設の開口部に0.4mm目以下の防虫ネットを張り侵入を防ぐ。
タバココナジラミが発生しているほ場では、アプロードエースフロアブル、サンマイトフロアブル等をローテーション散布する。
(4)備  考 粘着くん液剤の散布後は、過湿を避け薬液が乾くようにする。また原則として他剤との混用は避ける。
 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠  現在の発生は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+)
(3)対  策 ミナミキイロアザミウマはキュウリ黄化えそ病を媒介するため、施設開口部に銀色の防虫ネット等を張り、施設内への侵入を防ぐ。
青色粘着トラップを施設内に設置し、アザミウマ類の早期発見に努める。
発生初期にスピノエース顆粒水和剤、ダントツ水溶剤[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ]等を散布する。
(4)備  考 アザミウマ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
当センターHPに「きゅうりから採集したミナミキイロザミウマの薬剤感受性検定」を掲載中。
 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根  拠  現在の発生は平年並。(±)
ビニル被覆後、施設内が多湿となりやすく、発生に好適な条件となっている。(+)
(3)対  策 施設内が多湿とならないよう、日中に適度な換気を行う。
捨て刈りした葉は伝染源になるので、施設外へ持ち出し、土中に埋めるなど適切に処分する。
発生初期にセイビアーフロアブル20、ポリオキシンAL水溶剤等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
トマト うどんこ病 やや少 平年並 にら ネダニ  多 やや多
黄化葉巻病 やや多 平年並 野菜類 ハスモンヨトウ やや多 平年並
きゅうり うどんこ病 平年並 やや多 きく 白さび病  少  少
褐斑病 やや多 平年並 ハダニ類 平年並 やや多
冬期の病害虫防除対策
イネ縞葉枯病、イネ黄萎病
再生稲での発生は次年度の伝染源となるので水田の耕起を早めに行いましょう。またヒメトビウンカやツマグロヨコバイ等は水田及びその周辺の雑草で越冬するので、密度を下げるため畦畔等の除草を行いましょう。
1か月予報(予報期間11月13日から12月12日 11月12日気象庁発表)
 関東甲信地方の天気は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は高い確率50%です。週別の気温は、1週目は平年並または高い確率40%、2週目は高い確率50%、3〜4週目は高い確率40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 20% 30% 50%
○降水量 30% 40% 30%
○日照時間 30% 40% 30%
農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択しましょう。
農薬を散布する場合には、周辺の人や農作物等にかからないように十分注意し、周辺住民に周知を図るとともに散布の時間帯にも気を配りましょう。

 
農薬を使用する場合は必ず農薬容器のラベルをよく読み、使用方法・使用上の注意事項を守りましょう。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/ )までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
Tel(028)626-3086  Fax(028)626-3012