平成22年度 病害虫発生予報 第10号
平成23年1月21日
栃木県農業環境指導センター
○いちごハダニ類、トマト灰色かび病を適正に防除しましょう!
予想期間1月下旬〜2月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
1 いちご ハダニ類
(1)発生予想 発生量:やや多い 
(2)根   拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生に不適である。(−)
(3)対  策


発生が見られた場合、下葉かきを行い発生密度を下げ、サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル、コロマイト水和剤等を葉裏にもよくかかるように散布する。
スパイデックス等の天敵農薬を使用する場合は、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。
(4)備  考 サンクリスタル乳剤は、高温時には薬害を生じることがあるので注意する。
スパイデックス等を使用している場合は、天敵に影響のある薬剤(コロマイト水和剤等)は使用しない。
2 いちご 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠
 
現在の発生量は少ない。(−)
向こう1か月の降水量は少ない見込みである。(−)
今後、保温等により施設を密閉するため、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策
 
ハウス内の低温多湿が発生助長要因となるので、下葉を取り除き風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病果実等は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
発生初期にフルピカフロアブル、アミスター20フロアブル等を散布する。
降雨が続いて湿度が高い場合は、ロブラールくん煙剤等の使用も効果的である。
3 いちご うどんこ病
(1)発生予想 発生量:やや少ない
(2)根  拠 現在の発生量はやや少ない。(−)
向こう1か月の平均気温は低い見込みである。(−〜±)
(3)対  策


 
軟弱徒長すると発生が多くなるので、適切な温度管理やかん水を行う。
発生を予防するため、硫黄粒剤によるくん煙を行う。

 
発生初期にカリグリーン、ベルクートフロアブル等を葉裏にもよくかかるように散布する。
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想 発生量:多い
(2)根  拠 現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1か月の降水量は少ない見込みである。(−)
今後、保温等により施設を密閉するため、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 生育に応じて葉かきを実施し、ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う。また発生初期に、ゲッター水和剤、サンヨール等を散布する。
5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想 発生量:やや少ない 
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生に不適である。(−)
(3)対  策




生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニル袋等で密封し枯死させてから処理する。
施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。
粘着くん液剤[適用害虫:タバココナジラミ類]等を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。
タバココナジラミは黄化葉巻病を媒介するので、タバココナジラミの発生が見られる場合は、サンマイトフロアブル、クリアザールフロアブル等を散布する。
(4)備  考 粘着くん液剤の散布後は、過湿を避け薬液が乾くようにする。原則として他剤との混用は避ける。
6 きゅうり アザミウマ類
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生量は多い。(+)
向こう1か月の平均気温は低い見込みで、発生に不適である。(−)
(3)対  策 青色粘着トラップを施設内に設置し、アザミウマ類の早期発見に努める。
発生初期にアーデント水和剤[適用害虫:ミカンキイロアザミウマ]、コテツフロアブル[適用害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ]等を散布する。
7 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想 発生量:やや多い
(2)根   拠 現在の発生量は平年並。(±)
今後、施設を密閉し保温性高めるため、施設内が多湿となりやすく、発病に好適となる。(+)
(3)対  策 ハウス内が多湿にならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期に、セイビアーフロアブル20、アミスター20フロアブル等を散布する。
 その他の病害虫
現 況 発生予想 現 況 発生予想
いちご アブラムシ類 平年並 平年並 にら ネダニ  多  多 
コナジラミ類 やや少 やや少 きく 白さび病 平年並 平年並 
トマト 葉かび病 やや少 やや少 アブラムシ類 平年並 平年並
黄化葉巻病 やや多 平年並 ハダニ類 平年並 やや少
きゅうり 褐斑病 やや多 平年並 アザミウマ類 やや多 やや多
農薬を上手に使いこなしましょう!
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
薬剤散布については、ミツバチ、マルハナバチに対する安全日数を十分考慮する。 
1か月気象予報(予報期間1月15日から2月14日 1月14日気象庁発表)
 週別の気温は、1週目は、低い確率が60%です。2週目は、低い確率が50%です。3〜4週目は、平年並または低い確率ともに40%です。
低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 60% 30% 10%
○降水量 50% 30% 20%
○日照時間 20% 30% 50%
NEWS & INFORMATION
 植物防疫ニュース(速報 No.9)「ウンカ類幼虫の生息密度とイネ縞葉枯病の保毒虫率について」を平成23年1月14日に発表しました。
詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。
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