平成22年度 病害虫発生予報 第11号 |
平成23年2月17日 栃木県農業環境指導センター |
○ハダニ類、灰色かび病等の発生に注意しましょう! |
予想期間2月下旬〜3月下旬 | |
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。 |
1 水稲 縞葉枯病(ヒメトビウンカ媒介) | ||
(1)発生予想 | 発生量:やや多い | |
(2)根 拠 |
・ |
ヒメトビウンカの越冬世代幼虫の発生量は多く、県南部の一部では越冬世代の縞葉枯病保毒虫率も高い(平成22年11月時点)。(+) |
(3)対 策 |
・ | 地域の発生状況、発生情報に注意を払う。 |
・ |
保毒虫率が高い地域で罹病性品種(コシヒカリ、なすひかり等)を作付する場合は、ダントツ箱粒剤[適用害虫:ウンカ類]、アドマイヤー箱粒剤[適用害虫:ウンカ類]またはこれらを含む混合箱施用剤を使用する。 | |
・ |
平成22年度植物防疫ニュース(速報No.9)「ウンカ類幼虫の生息密度とイネ縞葉枯病の保毒虫率について」参照。 | |
(4)備 考 |
・ |
縞葉枯病抵抗性品種(あさひの夢等)を作付する場合は、チョウ目(イネツトムシ、フタオビコヤガ等)、ツマグロヨコバイに適用のある箱施用剤を選択する。 |
2 いちご ハダニ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 |
・ | 現在の発生量はやや多い。(+) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 |
・ |
天敵農薬(スパイデックス等)を使用する場合は、放飼前に必ず防除を行い発生密度を低下させる。 |
・ |
発生が見られた場合、下葉かきを行い発生密度を下げ、サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、スターマイトフロアブル、マイトコーネフロアブル等を葉裏にもよくかかるように丁寧に散布する。 | |
(4)備 考 | ・ | サンクリスタル乳剤は、高温時には薬害を生じることがあるので注意する。 |
3 いちご アザミウマ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:やや多い | |
(2)根 拠 |
・ | 現在の発生量は平年並。(±) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 |
・ | 雑草はアザミウマ類の増殖源になるので、施設内外の除草を行う。 |
・ |
ベッド上の株の高さの位置に青色粘着トラップを設置し、アザミウマ類の早期発見に努める。 | |
・ |
発生初期から、マッチ乳剤[適用害虫:ミカンキイロアザミウマ]、スピノエース顆粒水和剤等を散布する。 | |
(4)備 考 |
・ |
アザミウマ類は花の時期に加害することで被害果が発生するので、花の中をよく観察する。 |
4 トマト 灰色かび病 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 |
・ | 現在の発生量はやや多い。(+) |
・ | 向こう1か月の降水量は多い見込みで発病に好適となる。(+) | |
・ | 今後、施設内が多湿となりやすく、発病に好適である。(+) | |
(3)対 策 |
・ |
生育に応じて葉かきを実施し、ハウス内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、植物体表面の結露は発病を助長するため、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。 |
・ |
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので速やかに取り除き、ハウス外で処分する。 | |
・ |
防除は予防を基本とし、暖房機を利用したボトキラー水和剤のダクト内投入を行う。また発生初期に、カンタスドライフロアブル、ジャストミート顆粒水和剤等を散布する。 |
5 トマト コナジラミ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:やや多い | |
(2)根 拠 |
・ | 現在の発生量は平年並。(±) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 |
・ |
生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は埋設やビニル袋等で密封し枯死させてから処理する。 |
・ | 施設内に黄色粘着板を設置し、コナジラミ類を捕殺する。 | |
・ |
粘着くん液剤[適用害虫:タバココナジラミ類]等を定期的に散布し、コナジラミ類を低密度に抑える。 | |
・ |
タバココナジラミは黄化葉巻病を媒介するので、タバココナジラミの発生が見られる場合は、アプロードエースフロアブル、クリアザールフロアブル等を散布する。 | |
(4)備 考 |
・ |
粘着くん液剤の散布後は、過湿を避け薬液が乾くようにする。原則として他剤との混用は避ける。 |
6 きく ハダニ類 | ||
(1)発生予想 | 発生量:多い | |
(2)根 拠 |
・ | 現在の発生量は多い。(+) |
・ | 向こう1か月の平均気温は高い見込みで、増殖に適している。(+) | |
(3)対 策 |
・ |
下葉や葉裏に多く発生するので、その部分に薬剤がよくかかるように散布する。生育初期から防除することでその後の発生密度を抑制できる。 |
・ |
葉裏をよく観察し、発生が認められたら、粘着くん液剤等気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、マイトコーネフロアブル[適用害虫:ナミハダニ]、ダニサラバフロアブル等を散布する。 | |
(4)備 考 |
・ |
粘着くん液剤の散布後は、過湿を避け薬液が乾くようにする。原則として他剤との混用は避ける。 |
7 その他の病害虫 | |||||||||
現 況 | 発生予想 | 現 況 | 発生予想 | ||||||
いちご | 灰色かび病 | 平年並 | やや多 | きゅうり | うどんこ病 | やや少 | やや少 | ||
うどんこ病 | やや少 | やや少 | アザミウマ類 | 多 | 多 | ||||
アブラムシ類 | 多 | 多 | にら | 白斑葉枯病 | やや少 | 平年並 | |||
トマト | うどんこ病 | 平年並 | 平年並 | ネダニ | 多 | 多 | |||
きゅうり | 褐斑病 | やや少 | 平年並 | きく | 白さび病 | 少 | やや少 |
春の病害虫防除対策 | ||
○水稲 イネドロオイムシ | ||
・ |
前年発生が多く見られたほ場の周辺では、イネドロオイムシ成虫が多く越冬していると考えられます。成虫は5月下旬に本田への侵入を開始し産卵するため、被害が懸念されるほ場ではイネドロオイムシに適用のある箱施用剤を使用しましょう。 | |
・ |
平成22年度植物防疫ニュース(速報No.5)「県中北部でイネドロオイムシ幼虫による被害が拡大しています!」をご覧ください。 | |
○いちご親株 ハダニ類 | ||
・ |
雨よけ施設はハダニ類の発生が多くなるので、定植する親株はハダニ類がついていない株を選び、施設に持ち込まないようにしましょう。また、発生初期に殺ダニ剤を散布して防除しましょう。 |
1か月気象予報(予報期間2月12日から3月11日 2月11日気象庁発表) | |||
天気は、平年に比べて晴れの日が少ないでしょう。向こう1か月の平均気温及び降水量は、高い(多い)確率50%、日照時間は平年並または少ない確率40%です。週別の気温は、1〜2週目は、平年並または高い確率ともに40%、3〜4週目は、高い確率40%です。 | |||
低い(少ない)確率 | 平年並の確率 | 高い(多い)確率 | |
○気 温 | 20% | 30% | 50% |
○降水量 | 20% | 30% | 50% |
○日照時間 | 40% | 40% | 20% |
☆ 携帯サイトからも「ご意見・ご質問」が送信できるようになりました。ご活用下さい。 詳しくは農業環境指導センター(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。 当センター携帯サイト(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/keitai.htm)もご利用ください。 Tel(028)626-3086 Fax(028)626-3012 |