平成22年度 病害虫発生予報 第12号
平成23年3月18日
栃木県農業環境指導センター
 
○トマト灰色かび病が多発しています!
 
予想期間3月下旬〜4月下旬
予報の根拠で、(+)は増加要因、(−)は減少要因を表す。
 
1 いちご 灰色かび病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根  拠

 
現在の発生量は平年並。(±)

 
日中の換気の際に、開口部が大きく開くようになるため、発病にやや不適となる。(−〜±)
(3)対  策



 

 
下葉の葉柄等に発生が多く見られるので、下葉を取り除き、風通しを良くするとともに、かん水は必要最小限にとどめる。
発病部位は伝染源となるので速やかに取り除き、施設外で処分する。

 
発生がみられる場合は、ロブラール500アクア、フルピカフロアブル、アミスター20フロアブル等を散布する。
 
2 いちご ハダニ類
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根  拠
 
現在の発生量はやや多い。(+)
向こう1カ月の平均気温は平年並の見込みである(±)
(3)対  策


 


 
発生が見られたら、下葉かきを行い、発生密度を下げ、エコピタ液剤等の気門封鎖系薬剤をスポット散布するか、カネマイトフロアブル、ダニサラバフロアブル等を散布する。
薬剤散布は、葉裏に十分に薬剤が付着するよう丁寧に行う。
 
3 いちご アザミウマ類
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠

 
現在の発生量は多い。(+)

 
日中の換気の際に、開口部が大きく開くようになるため、ハウス内への飛び込みが増える可能性がある(+)
(3)対  策



 
雑草はアザミウマ類の増殖源になるため、施設内外の除草を行う。

 
ベッド上の株の高さの位置に青色粘着トラップを設置し、アザミウマ類の早期発見に努める。

 
発生初期からカスケード乳剤[適用害虫:ミカンキイロアザミウマ]、モスピラン水溶剤等を散布する。
(4)備  考 アザミウマ類は花に集中して寄生しているため、花の中をよく観察する。
 
4 トマト 灰色かび病
(1)発生予想   発生量:多い
(2)根  拠

 
現在の発生量は多い。(+)

 
夜温が高くなり、暖房機の稼働時間が減少するため、ハウス内が多湿となりやすい。(+)
(3)対  策




 

 
施設内が多湿にならないように換気やかん水に注意する。また、循環扇や暖房機等を稼働し、植物体表面の結露を除去する。

 
咲き終わった花弁や発病果、発病葉は伝染源となるので早急に取り除き、施設外で処分する。

 
発生初期にセイビアーフロアブル20、トータレックス顆粒水和剤等を散布する。
 
5 トマト コナジラミ類
(1)発生予想   発生量:やや少ない
(2)根   拠
 
現在の発生量はやや少ない。(−)
向こう1カ月の平均気温は平年並みの見込みである。(±)
(3)対  策





 

 
生育に応じて葉かきを実施し、葉裏に寄生した幼虫や蛹を除去する。除去した葉は、ビニル袋等で密封して枯死させてから処分する。
施設内や施設周辺に黄色粘着トラップを設置し、成虫を捕殺する。

 
エコピタ液剤、サンクリスタル乳剤等の気門封鎖系薬剤を定期的に散布し、低密度に抑える。

 
発生が見られたほ場では、モスピラン水溶剤、チェス顆粒水和剤等を散布する。
 
6 にら 白斑葉枯病
(1)発生予想   発生量:やや多い
(2)根   拠

 
現在の発生量は多い。(+)

 
日中に換気が徐々に行われるようになるため、発病にやや不適となる。(−〜±)
(3)対  策
 
ハウス内が多湿にならないよう、日中に適度な換気を行う。
発生初期にストロビーフロアブル、ポリオキシンAL水溶剤等を散布する。
 
7 なし 黒星病
(1)発生予想   発生量:平年並
(2)根   拠


 

 
昨年は、なしの生育初期から発生量が多かったが、8月には平年並みに落ち着いた。(±〜+)

 
向こう1カ月の降水量は少ないまたは平年並みの見込みで、発生にやや不適である。(−〜±)
(3)対  策

 


 
一次伝染時期となるりん片脱落期から開花期は最重要防除時期となる。果そう基部病斑(芽基部病斑)の摘み取りを徹底し、2分咲きから落花直後に治療効果があるDMI(EBI)剤を散布する。
 
8 その他の病害虫            
    現 況 発生予想     現 況 発生予想
  いちご うどんこ病 平年並 平年並 きゅうり アザミウマ類  多  多
    萎黄病 やや多 平年並 にら ネダニ類  多  多
    アブラムシ類 やや多 やや多 たまねぎ 黒点葉枯病  多 やや多
  トマト うどんこ病  多 やや多 きく 白さび病  少  少
    黄化葉巻病 平年並 やや少   ハダニ類  多  多
  きゅうり 褐斑病 やや多 平年並   アザミウマ類 平年並 平年並
 
東北地方太平洋沖地震に伴う農作物・施設技術対策について







 
東北地方太平洋沖地震や、計画停電(輪番停電)に伴う農作物・施設技術対策については、栃木県公式ホームページの緊急情報(平成23年度東北地方太平洋沖地震に関する情報)、もしくはとちぎアグリネットのトピックス(地震に伴う農業技術対策情報)をご覧ください。

栃木県公式ホームページ
URL:http://www.pref.tochigi.lg.jp/index.html
とちぎアグリネット
URL:http://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/index.cgi
 
農薬を適正に使いましょう!
ミツバチやマルハナバチに対する安全日数を目安に薬剤を選択する。
同一薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーション散布する。
ハウス内で薬剤を散布するときは、午前中のうちに葉裏にも薬剤がよくかかるように散布する。
 
1か月気象予報(予報期間3月12日から4月11日 3月11日気象庁発表)
 天気は数日の周期で変わるでしょう。平年に比べ、晴れの日が多い見込みです。週別の気温は、1週目は平年並の確率が50%です。2週目は、高い確率が50%です。3〜4週目は、平年並または低い確率ともに40%です。
  低い(少ない)確率 平年並の確率 高い(多い)確率
○気 温 30% 40% 30%
○降水量 40% 40% 20%
○日照時間 20% 40% 40%
 
  NEWS & INFORMATION

 
「平成23年度 農作物等病害虫雑草防除の手引」は4月上旬に発行されます。お求めの方は、(社)栃木県植物防疫協会(028−683−5533)にお問い合わせ下さい。
 
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