植物防疫ニュース(速報 No.13) 
平成23年10月20日
栃木県農業環境指導センター
コムギ縞萎縮病の防除対策

 コムギ縞萎縮病(WYMV)は、平成20年以降、タマイズミや農林61号作付ほ場で発生が多く見られるようになりましたが、本年4月の調査では発生ほ場率は23.3%で、河内郡・芳賀郡で発病程度の高いほ場が多く見られました(表1)。農林61号やタマイズミを作付する場合、防除対策をしっかりと行う必要があります。
 また、縞萎縮病に強いイワイノダイチも実害はほとんどない程度ですが発病が確認され、縞萎縮病とムギ類萎縮病(SbWMV)が混在するほ場も確認されました(図1)。両ウイルスが多いほ場は黄化と萎縮が激しく見られました。
 
コムギ縞萎縮病は土壌伝染性のウイルス病です。発病後に有効な防除法がないことから、は種前の対策が重要になります。発生が見られる地域では平成24年産作付に向けて対策をとりましょう。
 
表1 コムギ縞萎縮病調査結果(H23年4月)




※発病程度
 (発病面積率)
 少:1〜10%
 中:11〜30%
 多:26〜50%
 甚:51%以上
 
コムギ縞萎縮病とムギ類萎縮病の麦種による発病の有無
写真1 コムギ縞萎縮病
   
写真2 コムギ縞萎縮病発病 ほ場
※ウイルス検定:ELISA法
※検定機関:九州沖縄農業研究センター(H20)、 東京大学アジア生物資源環境研究センター(H21)、中央農業研究センター(H22,23)
※★は六条大麦でのオオムギ縞萎縮病とムギ類萎縮病の混発事例(参考)
 
図1 コムギ縞萎縮病ウイルス確認地点
 
【防除対策】
1)被害の大きい発病ほ場は休耕する。

2)コムギ縞萎縮病が発生しているほ場は、大麦またはイワイノダイチ・ゆめかおり・さとのそらに作付転換する。

3)やむを得ずタマイズミや農林61号を作付する場合は、次の対策をとる。
 @湿害は発生を助長するため、排水対策を十分行う。
 A播種適期内の遅めの時期に播種する。晩播すると穂数が減少して減収するので播種量を増やす。タマイズミの場合は施肥量も増やす。
 B土壌感染を防止するため、トラクターなどの作業は、ほ場に入る順番を考慮し、発病ほ場を最後にする。また、作業後は機械に付着した土を洗い流す。
 
詳しくは、農業環境指導センターhttp://www.jppn.ne.jp/tochigi/)までお問い合わせください。
п@028−626−3086